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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第1章  勇者の手記
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3話 スラム街

──スラム街──

ここは居住区の家賃を払えなかった者、仕事につけずに王政から生活を保護されているものが住む保護地区

しかし実情は週一の配給はお粗末なもので、スラム街の犯罪数は上昇傾向にある危険地区となっている




エリックはボロボロの街並みを見ながら

「ここ来るのは初めてか?」

「うん初めて…でも話には聞いてる」

「みんなここには関わらない方が身のためだって…」



クスッと笑うエリック

「まあ間違いではないな」

リリアは建物を見ている

「でもここにいる人たちは…ここに来るしかなかった人もいるんだよね」

「そう考えると…みんなが言ってる事なんかひどいと思う」



肩をポンと叩き

「そう思うなら結構、でも実際はここに来るしかない奴と来ることしかなかった奴の半々だけどな」

「まぁここは俺に任せとけって」




「……私も最大限助力する」




歩く二人、一帯が三階建てのレンガ造りのボロ屋に洗濯物がさがっている

空は明るいが進む道には光がなく道に倒れている人たちは生死の区別がつかいない




「お前歴史の勉強はどこまでした?」



不意の質問に少し間を置いて



「人類誕生から魔王征伐まではやった…かな」

「じゃあここができた由来は?」


リリアは頭を傾げ

「詳しくは教わってないかな…授業では魔王支配の100年間がテストにも必修だったからそれ以外はあんまり」


「じゃあここで歴史の勉強だ、ここは魔王支配により食糧、経済難だった…そこで王政がうった政策」


「奴隷制度でしょ」

「なんだ知ってんのかよつまんねぇの」


リリアは続けるように

「奴隷の人達は労働にも売買に使われた…それはひどい、本当にひどい時代だったって」

「どれもこれも全部魔王のせい、魔王がいなければ領土も魔獣に食い荒らされることもなかった…」

下を向くリリアに

「それを救ったのがお前の父さんだろ」



リリアは頷き



「うん…そうだね」

エリックは話を続け

「魔王征伐後、奴隷地区は生活困窮者保護地区になったが…今じゃいうまでもないか」



するとそこに3人の大男

棍棒を持つ太った男、ガタイがよく手に金属グローブをはめている男、長剣を持った細男

「おいおい、ここはデートスポットじゃねぇんだよ」

「あるもの全部置いてけば命だけは助けてやるよ……運が良ければなぁ!」

「ケッケッケ綺麗な格好しやがって、ここは底辺しか入れねぇんだよ」


エリックは一言

「あまり自分を底辺っていうな、こっちが寂しくなる」



細男は返すように

「ちっちげぇよ、お前らも底辺に引きずり込んでやろうかって脅し文句だろうが!」

…………

「何も違くないだろ…なぁリリア」

「うん、結局自分も底辺だって言ってる」



ブチっ



「兄貴たちは手を出すなよ」

「俺が殺してやらぁ!!」

襲いかかる細男

エリックは鞄から何かを取り出し

「まぁ落ち着けこれをみ……」


バッ!


エリックの前にリリアが立つ

「下がっててここは私が!」

リリアは空中から剣を取り出す

(こいつ空間魔術も使えるのかよ)


カキン!

交わる剣


両者攻防が繰り広げられる中エリックは

「おいリリアそいつ殺すなよ」

「え!…わかった」

リリアは剣を交わし距離を取る



細男は焦った表情を浮かべあたりを見渡す

「はぁ!あの女どこいきやがった!」

後ろの大男

「何ふざけてんだ!目の前にいるだろ」

「ふざけてんのは兄ちゃんだろどこにも…」

ドン!

細男の腹に腕がめり込む

「寝てて」


ドサッ 


倒れる細男

リリアは剣を突き出し

「じゃ次は誰?二人でもいいけど」

リリアの腕を掴み前に出るエリック

「まあまあ落ち着いて…お二人さんこれを見て」

紙を突き出すエリック

それを見て二人は驚愕する

「そっそれはぁ!」



ザサァー



二人は地面に額をこすりつけ

「すみませんでしたぁーーーーー」

「このことは姉さんには何卒、何卒ぉぉ」



エリックはニヤリと微笑み



「まあこっちにも非はあるからお互い黙っておこうや……な?」

「ありがとうございます!おっお名前をお伺いしても?」

「俺は……マジェット、でこっちがアジュ」


二人は細男を抱え

「本当にすみませんでした、何かあれば我々に連絡くださいなんでもします!」

「名前は……」

エリックは遮るように

「急いでるから棍棒、グローブ、細男って覚えるから名前はまたあったらでいいや」



「はい!またお会いしましょぉぉ」

3人はそそくさと裏路地に入って行った



リリアは不思議そうに

「何見せたの?」

「これ」

紙には見覚えのない紋章と血印

「何これ?」

「これから会うスラムを仕切ってるやつとの……友好の印かな」

「へぇ……本当にあんた何者?」




スラム街の中心部に構える大きな屋敷他のボロ屋と違い派手な光が辺りを包み込む

二階建ての一階部分では違法カジノが行われている




入り口に着く二人

イカつい顔の男女が左右に構えている

「よぉディー、メルガ通してくれ」



エリックの顔を見ると男は……

「よぉエリック今回はどこから巻き上げるんだよ」

「今回は別件だ」


女がリリアを見て

「なんだいエリック、こんなお子様を連れ回してそんな趣味があったんだねぇ」

リリアは強めの口調で

「誰がお子様よ!私はもう15立派な大人なんだからねっ!」

「はっはっは、悪かったよさぁ入りな」



案内されるとリリアは屋内の異常な熱気に驚く

テーブルにはカードを扱ったゲームや玉を転がし何かを叫ぶ、人は皆笑顔にも似た狂気の表情だった


「ここは本当にスラム街なの…」



エリックはリリアの背中を押し

「あんま止まんなよ、ここは無法地帯だ物すられても自己責任」

「豪華だからって金持ちが集まる場所とは思うなよ」



フロアの最奥の扉を開けると暗がりの細道

進む4人に会話はなくただ案内されるがままその道を歩く

階段を上がると目の前に大きい扉のような物が見える



ディーが戸を叩く

「姉さんエリックが来ましたよ」

向こうから透き通った女の人の声が聞こえてくる

「はいよ、二人は下に戻りな」

指示通り二人は階段を降りていく

「なぁディー、メルガお前たちを雇うのに何エトラ必要だったっけ?」

するとメルガは紙を渡し

「ここに手紙をよこしな、あんたなら一人3万エトラで雇われてあげるよ♡」

「そっさんきゅ」

二人は階段を降りて行った



「リリアこれからは『はい』か『いいえ』返事をしてくれ」

困惑するリリア

「え?なんで」

「これから話す奴には心を開かない方がいい、少しでも善人かもと思った時点で奴の手駒に成り下がる」

ゴクリと息を飲み

「うん、大丈夫」

「じゃあいくか」



二人は戸を開け、スラム街の支配者と対面する


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