表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第1章  勇者の手記
29/116

28話 強さ

「はぁ!」

キン


「やぁぁ!」

ブン


リリアとヒヨルの一進一退の攻防が続く

湖のほとりで二人の刃は混じり合う


キンキン

ガッ!

ギギギ

お互いの剣が混じり合う


「やっぱ剣術では負けてるかもね」

剣越しに笑うリリア

「まだ…本気じゃありませんよ!」

フン

剣を払うヒヨル


スゥ

刀を構えるヒヨル


ドッ!

足に風を集め踏み込む



間合いはなくなり懐に入るヒヨル

(ここ!)

ザン!



振り上げた刀は空を切る

(またこれか)


すん

刀を背中に回し腕をあげる

ふぅ


ふん!

ザザザザザザっザ


ヒヨルの周りに旋風が起きる

(魔力の消費が激しいがリリアを対策するには全方位攻撃しかない)


ドッ!


な…


ヒヨルの全方位攻撃は周りを削り取る技

しかし自分の周り一定間隔には刃は通らない



ガシっ

「捕まえた〜」

ヒヨルの腹を全力で抱きしめ後ろに倒すリリア



倒れたヒヨルにまたがるリリア

「ふん!私の勝ちだね」


「はぁ負けましたよリリア」


ははは

二人は笑う



はは

遠く、丸太に座る男も笑う

(やはり脳筋は理解できん)




―――1時間前にさかのぼるーーー




馬を休ませるため近くの湖で休憩をする三人

するとリリアがおもむろに

「ねぇヒヨル、剣術教えてくれない?」

キョトンとするヒヨル

「いいですけど……急にどうしました?」


リリア

「アモグアから一日経ったし、そろそろ体動かしたいなぁ〜てね」



「では一つ条件をお願いします」


「条件?」


「魔術ありの稽古をお願いします」


「……よしやろう!」

「ちょっと待て」


二人に待ったをかけるエリック

「やるなら俺の目が届く範囲でやれ」


不満そうに歩く二人


二人は距離を置く

「じゃ行くよ」


「はい、お願いします!」


馬に水をやるエリック

(そういえば稽古用の武器……あったっけ?)


ブワァン

二振りの短剣を出すリリア

スゥ

刀を構えるヒヨル


は!

焦るエリック

「おいちょっ……」



二人は構え刃を交える

カキン


唖然とするエリック

「あ…………まぁいいか」



今に至る……


馬は日陰にエリックと共に休んでいる

二人の稽古を見るエリックの目は呆れていた

「はぁ…稽古で真剣ってどうかしてるだろ…これだから脳筋姉妹は」



二人は気持ちよく汗を流している




日が照っているが湖の近くということで暑さはなく涼しい

木陰に心地いい風が流れ横になるエリック

空は澄んでおり綺麗な空色を見る


「はぁ…いいね…うん……い…い」

すぴー




………………………






ドォォォォォォォォォォォン!!!!


んぁがぁぁぁぁ

大きな轟音と共に突風がエリックを襲う



「は…な…なんだ!」

まず状況を整理する

馬は……大丈夫

二人はどこだ



パシャァァァ


上から水飛沫がかかる

水霧の奥に尻餅をつくヒヨル


リリアは剣を湖に向け立ち尽くしている


駆け寄るエリック

「だ…大丈夫か!」



振り向くリリア

「…………び」


び?


「びっくりしたぁ!」

なぜか興奮気味のリリア


ヒヨルは言葉を失っている

「…………えっ今の」



エリックに駆け寄るリリア

「ねぇねぇ今のみた!すごいでしょ今の!」



「おま…何したんだ」



照れるリリア

「いやぁ前にさ、まだ途中だった魔術をためそうかな…て」

「それで湖が近くにあるから…ついね」

興奮が抑えられない

「これでさ、もっと特訓すればもっと強くなれるよ!」

「だからさこの先もっと私を頼っていいんだからね!」


ぐっ

リリアの胸ぐらを掴む

「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!」


え……………

エリックの顔は激怒していた


「未発達の魔術を試すだと?今の威力のどこに試す気があったんだお前は!」

困惑するリリア

「え……でも、早くしないと……って思ったから」

「それに私なら…できるって思って」


ぎっ

歯を鳴らすエリック

「未完成の魔術は段階的にやるもんだ」

「暴走時に備え、見届け人をつけて…今のお前はどうだ」

「自分の奢りで勝手に試して、あまつさえ隣にヒヨルもいる、それに回復魔術師がいないこの状況で!」

「…お前らの身になんかあったら………それは誰の責任になるんだ」



下を向くリリア



「その責任は………残った俺の責任になる」


え……



………………

「そんな責任はいらない」



はあぁ

頭を抱えるエリック

「色々旅して少しは……いやなんでもない」

「二人とも……早く着替えろもう出るぞ」


馬車に戻るエリック



「リリア………」

不安そうなヒヨル



トコトコ 

歩くリリア



カラカラ

馬車は進む二日で着く予定だったが二日目も宿場町で泊まることに


夜飯は各人で自由行動

リリアとヒヨルは出店で買い宿で食べることに



「ん〜これは美味しいですね」

肉を頬張るヒヨル


「……はは、……美味しいね」

空元気のリリア


「………………ごめんなさい」

口を開いたのはヒヨル

「私があの時見たいって言わなかったら…こんなことに」

首を振るリリア

「いや、私が打ったんだから私のせいだよ…気にしないで」


ヒヨルは納得しな

「でも!これで依頼が中断……になってしまったら私…」

泣き出すヒヨル


「大丈夫だよ、エリックは途中で投げ出さないから……でも」

「どうしよう……」





酒屋

カウンターに座るくせっ毛

「ゔぁあぁぁ」

どん

ジョッキをおく



マスター

「おい兄ちゃん、大丈夫か?」



顔が真っ赤で目が座っているエリック

「うるへぇ、飲みたい時に飲む!飲める日に飲む!だろうが!」

大声をあげる



「いやその…」

気まずそうなマスター

「まだ一杯も飲んでないだろ」



「ひっく」

バタ!

大きく机に倒れる

だからまだ一口目だろ…………


「んっ」

目がさめる


「おぉ起きたか兄ちゃん」



「ここは……」

寝ていたのは一室



「俺の家だよ」


え……………


「勘違いする前にいうが、ここに連れてきたのは女房の指示だからな」


「女房?」


トコトコ 

奥から水を持った褐色の女房らしき人が歩いてくる

「あぁ起きたか、あんたあんな所で寝るなんて不用心にも程があるよ」

はい

水を渡されるエリック

「あぁどうも」

ぐびっぐびっ



「で…これからどうするんだ?」

ドサ

ソファに座る



「宿に戻ります……色々すみませんでした」

家から出ようとするエリック


座る二人は目を合わせる



「なぁあんた!」

男の呼び止めに応じるエリック

「なんですか?」




ガシガシ

頭をかく男

「まぁなんだ、俺も元冒険者だからあれだけど」

「仲間のことで悩んでたら包み隠さずに打ち明けること」

「これが遠いようで一番近い道だよ」



「はぁ」



ぐっ

「今度も何かあったらウチへおいで」

「俺はデュランダル、こっちはメイシャ……であんたは?」



ギィィィ

扉を開けるエリック

「ビスタス………と言います」


ガチャ


街中は点々と光が灯っている

道ゆく人は光の反射で見える程度



はぁ

ため息をつくエリック

(なんで昼はあんなことを言ったんだろ…)

(強くなろうとするのは良いことなのに…)

(リリアだってこれから先の戦いを見越してのこと…なのに頭に血が登ってあんなことを‥)

(あいつが強くなんないと俺にも不利益が生じる、それをなんで考えなかった……)



どうして怒ってしまったんだ……………




橋から川をのぞくエリック

(考えてみりゃあいつまだ15のガキだった………くぅぅ)

宿に帰るか


トボトボ自室へ戻るエリック


ガチャ


部屋に行くとリリアがいる


「おう……まだ寝てなかったのか」


気まずそうなリリア

「うん………ねぇ」

「今から言いたい事全部いうから全部聞いてから殴ってくれない!」


!!?

思考が追いつかないエリック

「………はい?」

モジモジするリリア

「ん……だから!昼の事があってその…全部隠さずに本音いうから聞いて」

「それでも不満だったら殴るなり罵倒するなりして良いから……お願い」



唖然とするエリック

お前…………

「俺をなんだと思ってんだよ」



椅子に座り向かい合う二人

口をひらくリリア

「最初に昼のことは……ごめんなさい」

「あれは…私が全部悪かったと思うし、実際そう」


「あ…俺もちょっといいか」


「俺も言い方を考えれば良かった…すまん」


リリアは笑った

「うん、いいよ許してあげる」


「お前な…」


「それで本題なんだけど…私が強くなりたい理由」


エリック

「これからの戦いに備えてじゃないのか?」


「それもそうだし、8割はそうだけど…」


「8割?残りは」



モジモジするリリア

なかなか喋らない


「どうした?」


あ………


「あ?」

聞き返すエリック



「あんたに……認めてほしいな…て思ってるの」





ぽかんとするエリック

「…………………はぁ」

「何よその反応!人がせっかく本音で喋ってんのにさ!」


「いや予想外すぎて…一瞬思考が止まった」


ふん!

胸を張るリリア

「これが私の本音!私こう見えても考えてるんだからね」



手をつくエリック

「そうか…わかったよ……じゃ次俺だな」



「良いよ別にこれは私の意志なんだから」



「いや、これから一緒に戦うなら言っておくべきだな」

「俺は一つ」

「あんま無茶すんな」



………うん

頷くリリア

「昼の事を俺なりに考えたが…お前の無茶を見過ごすと取り返しがつかないことになると思った愛のむちだと受け取ってくれ」


ふふ

「何それ」

笑うリリア


「まぁつまり……途中で死なれると困るから……なんかあったら俺にも相談してくれ」

「それなりに考えるから……一人で走るな」



笑みを浮かべるリリア

ふふ


エリック

「なんだよその顔」


「いやさ、最初はお前のことなんて知らん!って感じだったのに……ね?」


はぁ

「まぁ…俺にも色々あったんだよ」

「とりあえず……」



手をだすエリック

「関係悪化は今後の仕事にも影響が出る…ほら」

ぎゅ

笑顔で手を握るリリア

「これからもよろしくね!」



…………………がらっ

「よがっだですぅ」

ドアが開きヒヨルが現れる

「ドアの前で何してんだお前は」

呆れるエリック



笑うリリア

「じゃあエリックも稽古付き合ってね」


「それは断る」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ