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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第1章  勇者の手記
26/116

25話 救済の夜明け

ダン!

ダッダダダ

フン

ザシュ


ヒヨルの魔術{旋風せんぷう}は周囲の風を操り自身の力に変える魔術

操る精度が上がれば上がる程、攻撃力とスピードは上昇する

上昇に上限は無い


はぁはぁ

ヒヨルはボロボロだった

(やはり…判断を誤ったか、私がもっと強ければ…)


ガウ!

襲いかかる狼


「ふん!」

刀をすくいあげる

ブワァァ

ダァン!

狼は刀に触れる前に吹き飛ぶ

風を回転させ刃の範囲外にも斬撃を与える技



――――飛燕斬ひえんざん――――


狼の体には血が噴き出る

グサ

刀を地面につき刺し膝をつくヒヨル

「くそっ…あと何回打てば大人しくしてくれる」

上を見る

「結界もいつ解かれるかわからないし」

ふぅ

立ち上がるヒヨル

前方には狼

シャキ

「最後まで付き合ってもらいます!」



はっはっは

村を走るリリア

「言っても遠くへは行ってないはず」

辺りを見るリリア

「でも…なんであの人が狼に」



ズシャァ!

血が滴る


狼の腕が切り落とされる


「はぁ…ごめんなさい、私が弱いせいで」

「あなたを殺します」


刀を狼に向ける

スゥゥゥ

カチャ

刀の刃を並行にする

ガ…ヴ………ヴゥゥ

狼はひとりでに宙にうく


狼は何かに縛り付けられるように苦しむ

宙に浮き身動きができなくなる

スゥ

刀を両手に構える

「せめて、苦しまず」

一撃必殺の技




――――早贄はやにえ――――




グッ

「ちょっと待って!」


目線の先にはリリアがいる


「リリア…倒しましたか!」


リリア

「はぁ…間に合ってよかった」

「殺しちゃ…ダメだからね」

ヒヨルは苦しそうに訴える

「それはわかっています…でもこのままでは」


剣を構えるリリア

「うん…ありがとう」

「ここからは私が相手するから」


「でもどうやってですか!」

………………

「彼はもう自我がないんです!」

叫ぶヒヨル

「うん、わかってるよヒヨル」

リリアの顔を見るヒヨル

………涙が目から落ちている


「でもさヒヨル、何も悪いことしてないんだよ」

「ただここに生まれて運悪く事件にまきこまれちゃっただけなのにさ…」

「それ…だけ…それだけなのに」

口を食いしばる


………


「そんなの…本当に……許せないじゃん」


「………リリア」

「だからさ、私が押さえてる間にヒヨルはなんか見つけて欲しいんだ」

「無茶なのはわかってるけど私………こんな運命受け入れたくないよ」

目は一点を見つめる

…………

「わかりました」

「絶対に見つけてきます……だからどうか死なないでください」



リリアは笑顔を浮かべる

「うん……ありがと」



ヒヨルは狼にかかっている魔術を解こうとする

「ちょっと何魔術とこうとしてんだよ!」


「「えっ」」


カツンカツン


反対側の道からくせっ毛が歩いてくる

「ほらそこもう少し踏ん張って、ほら」


「エリックさん!」

ヒヨルは思わず大声を出す


リリアは険しい顔をしている

「逃げたんじゃないの」


「あぁ、ヒヨルもう少し狼君を下げてくれるか?」


「はい」

ヒヨルは狼を地面に近づける



エリックは近づきカバンから何かを取り出す


慌てるヒヨル

「エリックさん危ないですよ!」


笑うエリック

「なぁに心配すんなよ、なんて言ったってこいつは俺に道案内してくれたんだぜ」

「もう友達だよな?……メゼル・ダリュク君」


カチッ

プシュー


エリックは狼の首元に何かを打った

「よし!もう下ろせ」



「え!下ろせって」


ガタン

リリアが構えていた剣が地面に落ちる

「嘘………でしょ」

「早くおろして!」


「あっはい!」

地面につく狼は後方に倒れる

それを抱き抱えるエリック

「悪かったな、もう平気だ」


シュュュュュュ


狼から徐々に青年へと戻っていく


がた

リリアとヒヨルはその場に座り込む

よいしょっと

青年をおんぶするエリック

「あぁ後結界は数分で消えるから…お前らも休んどけよ」



バタッ

倒れるリリアの横に座るヒヨル

「やっぱエリックさんは何か考えがあったんですね」

腕で顔を隠す

「うん……」

涙がしたたる


はぁぁあ

バタン

隣に寝転ぶヒヨル


ブワァァァ

結界が解けると空は少し明るくなった


「ねぇヒヨル」


「なんですか?」


「ありがとね…その…私のわがままに付き合ってくれて」


「ははっ何言ってるんですか、なんとかできるならなんとかしたいってだけですよ」



……ぷっ


ハハハ

笑う二人


夜がふける、人知れず解決された事件

狼を退け、狼を助けた奇怪な夜

思いは繋がれ、次の朝を迎える


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