22話 アモグア怪奇事件
夜な夜な人が殺される村 アモグア
カラカラ
村の入り口には木組の門があるが開閉式の扉はない
それを見るリリア
「不用心ね」
「そうでもない、門がない村もざらにある」
横にヒヨル
「へぇそうなんですか…」
「余計なこと言うなよお前」
エリックはヒヨルに釘をさす
なぜかにやけるヒヨル
「言わないですよ、やだなぁもう」
門に近づくと一人の男が出てきた
ぐいっ
手綱を引く
「リリアここで馬車を待機させといてくれ」
「俺とヒヨルで話してくる」
変わるリリア
男に近づく
男はエリックより少し小さく、太っている
髪はなく目が細い、服はベージュの長袖に紺の短パン
「いやぁこれはこれは遥々ありがとうございます」
「手紙によりお三人様の事は承知しております」
「このアモグアの村長をやっていますガンガと申します」
一礼するガンガ
「これはご丁寧に、私はエリックこっちがヒヨルと言います」
一礼するヒヨル
「であっちの馬車にいるのがリリアです」
ほぉ
声が漏れるガンガ
「勇者様の御息女ですか…発注してる身でいうのはあれですが」
「勇者様の御息女が受けて良いものなのでしょうか?」
エリック
「まぁもっともな意見ですが…」
「大丈夫でしょう、あいつ……リリアは強いですから」
バッ
頭を下げるガンガ
「これは無礼を!別に私はリリア様の力に疑念を抱いているわけでは…」
なだめるエリック
「まぁ、そんなこと気にしないでください…では案内を頼みます」
正面を向くガンガ
「あっはい…では馬車を預けて頂き、私の家でお話を」
馬車を預け村長宅へ向かう
大きい広場の真ん中には噴水がある
そこから道がわかれ、家や店などが軒を連ねている
広場中央で止まる一行
ガンガ
「ここで二人の若者が亡くなっていました」
噴水に手を伸ばす
まじまじと見るエリック
「はぁ…ここで」
「なるほど……噴水ね」
では行きましょう
…………………………
村長宅
他の家と比べても目立った変化はない普通の家
部屋に入るとテーブルに四脚の椅子壁には花が飾られている
キッチンにはエプロンを着た婦人
「紹介します、妻のアエリです」
お辞儀をするアエリ
顔は暗くひどく落ち窪んでいる
ぺこり
お辞儀する三人
よいしょ
席に着く四人
かた
アエリは茶を出す
かたっ かたっ
ありがとうございます
エリック、ヒヨルはお礼を言う
かたっ
リリアの前に置かれる
「ありが……」
どさっ
リリアにしがみつき頭を下げるアエリ
「リリア様どうか…どうか犯人を捕まえてください!」
「息子を…息子をぉ……」
泣きだし言葉が混濁して聞き取れない
ガタッ
ガンガが慌てて席を立つ
「おい!何をやっとるんだ!」
ビクッ
驚くヒヨル
………ぽん
アエリの肩に手を置くリリア
「アエリさんどうか頭を上げてください」
「我々が全力で犯人を探しますので今はご自身の安全を最優先に」
顔をあげるアエリ
「はぁ……なんという……ありがとう…ござ」
バタン
倒れるアエリ
リリアは抱き抱え、ガンガと共に寝室へ行く
部屋に戻るとリリアに頭を下げるガンガ
「この度は家内が無礼を……申し訳ありません」
手を振るリリア
「いえいえ、謝らないでください」
「アエリさんも息子様が亡くなって犯人もまだ村にいる…」
「その心労は私も計りかねます、できるのなら今夜にでも捕まえたいところです」
パン!
手を叩くエリック
「そろそろお話を進めていただいてもよろしいでしょうか」
睨むリリア
座るガンガ
「あぁすみません…では」
説明を始めるガンガ
「クエスト表に書いてあるとおり、事件は1週間前におきました」
「その日の朝、いつも循環している警備兵が死体を発見し全部の家を見て回りました」
「他の者には一切の怪我がなく昨夜に大きな音も人影も見ていないと言うのです」
メモを取るエリック
「そこがあれだよな…魔力残滓がないってことは魔術の類は使われていない」
「その上、広場への道には家と店が連なってる……」
バッグから紙を出すエリック
「死体は放り投げられてたんですか?」
紙には噴水に死体のある写生がされている
それを見るガンガ
「はい…私も見ました」
エリック
「では息子さん亡くなった夜何か変なことはありましたか?」
ガンガ
「いえ…ですが息子のデュルデは事件を解決しようとしてました」
「あの子は正義感が強く…はい…あの日の夜も外に………」
「私が…あの時…止めて…いれば……」
声が震えるガンガ
紙をしまうエリック
「申し訳ない……聴きすぎた」
顔を下に向けるガンガ
小刻みに震える体
落ちる涙
「いえ…なんでも聞いてください…助力になるのなら…ぐふっ」
堪える声が震えている
ガタッ
席を立つエリック
「いやいい、そんな状態じゃあ正確な情報は聞けそうにないから」
「出るぞ二人とも」
立つヒヨル
ぐっ
エリックの袖を掴むリリア
「あんたには人間性はないの?」
顔を背けるエリック
「俺は一般的にある方だ…」
「いいから行くぞ」
ガチャ
部屋に残るガンガ
視線の先には子供が作ったであろう三体の人形
一つは優しい母のような人形
一つは髪の毛がない人形
それぞれ子供のような人形と手を繋いでいる
「ゔ……ぐっ‥‥なぜだ…デュルデ」
ガンガは机に顔を伏せる
街を散策する三人
店はやっているが活気はない
村人の主な収益は村近くの湖による産業で出稼ぎに行く人や王都へ出店を開き月に数回村に戻る人もいる
キョロキョロするエリック
「………なぁ」
道ゆく人に尋ねる
「はい、なんでしょうか」
「あそこの見張り台は入ってもいいのか?」
「いえ、入るには見張り台の下にいる警備兵のダンバさんに許可を得てください」
「あぁ…助かるよ」
すれ違う両者
……ふむ
「どうしたんですか?」
ヒヨルは疑問に思う
「あぁなんか…相手にされてない感じがな」
「急にくせっ毛に話しかけたら誰だって相手にしたくないわよ」
毒づくリリア
リリアに指をさすエリック
「あぁ今この人くせっ毛差別したぁ、誰か助けて〜」
聞こえるように言う
「ちょ、やめてよ恥ずかしい!」
制止するリリア
……………
無反応
………まぁ行くか
コンコンコン
「すみませぇ〜ん、ダンバさんいますか?」
ガチャ
「おう、なんかようか」
ゴツい大男が出てきた
ぺら
エリックはクエスト表を見せる
「依頼を受けてきたので登らせてください」
はっ
微笑するダンパ
「えらく直球だな……いいよ好きなだけ見ていきな」
見張り台の中は思いの外広い
扉の横には机と椅子
奥には、はしごがありその全てを覆うように石造りの丸い壁で囲まれている
はしごの上に見晴し台がある
ピタ
止まるリリア
「私はいい…登らない」
「はぁ!急に何言ってんだよ」
顔を赤らめるリリア
「なんでも!」
睨みを聞かせるエリック
「あぁん、高い所苦手の僕も登るのにぃ」
「なぜぇ高い所好きな脳筋の君がのぼぉらぁなぁいのかなぁあ」
嫌味満載でいうエリック
トントン
エリックの肩を叩くヒヨル
耳打ち
「エリックさん…スカートですよスカート」
リリアはスカートを履いていた
ぽん
「それでか…」
状況を理解したエリック
「そっかお前も女の子だもんな」
カツカツ
無言で登るエリック
ピタッ
途中で止まり振り返るエリック
「誰もお前のパンツなんて気にしねぇよ!!」
「このお子様が!」
エリックは今までのリリアに対する不満を安全な距離から罵倒することで解消しようとしている
カツカツカツ
急いで登る
ドッ!
タタタタタ
ダンパは感心する
「………おぉ」
リリアは地面を蹴り壁を渡る
ヒュン
壁を蹴ると一気にエリックと同じ高みへ
ハゥッ
エリックの顔が青ざめる
「黙っとけこの…くせっ毛ぇ!」
ブン
ダァン!
綺麗な回し蹴りがエリックを襲う
ヌファ!!
はしごから落ちる卑怯者
がしっ
下で受け止めるダンパ
「はぁ…あんたらいつもこうなのか?」
えへへ
苦笑いのヒヨル
「私が抱えて登るので」
よしっと
「では行ってきますダンパさん」
「あぁ」
(大丈夫か…この人たち)
はっ
「起きましたかエリックさん」
目を開けると屋根が見える
起き上がると村が一望できる
「はぁ…飛んだ目にあったぜ」
「で…ここで何かあるんですか?」
見渡すエリック
「あぁちょっとおかしいというか気になってな」
首を傾げるヒヨル
「おかしい?」
「やっぱりか」
「あぁこの街はおかしい、気づいてる奴もちらほらいるけど」
街を見るエリック
「どうしてかこの街には」
戦闘跡が一つもないってことだ………




