20話 ギルド
ギルドとは騎士団に依頼ができない貧困層の依頼や国家間の関係上立ち入ることができない未開の地への探索など依頼の幅は大きい
国ごとに直轄のギルドを保有しているが認可を受けたギルドも点在している。
アレスティア王国には弱小から大手まで46のギルドが名を連ねている
その中で世界最強の軍事力を持つ王国の直轄ギルド「雄剛の英団」
このギルドはわざわざ騎士団入りを断って入る輩もいる
雄剛の英団の本部には王国全部のギルドを統括している男がいる
その名はベドラス・ネーデン
その人物に会いに3人は雄剛の英団本部へときた
不安な顔のリリアとフードを被った怪しい二人組
「二人ともしっかり従者してよ」
従者1「任せてください、リリア様」
従者2「私はボロを出すので私の分までお願いします」
ばしっ
従者1が従者2にチョップする
「なんでお前のフォローしなきゃいけないんだよ」
頭を抑える従者2
「言っておきますけど私はあまり話が上手くないんです」
「「うん知ってる」」
しょぼくれ従者2
「リリアまでぇ」
切り替えるリリア
「さっいきましょう」
門の前には二人の衛兵、その前にリリア御一行
「リリア様、お待ちしておりました」
元気よく返事をするリリア
「こんにちは!…でベドラスさんはどう?」
銀のヘルムの隙間から笑顔が見える
「はい、その件でしたらベドラス様から承諾を得ています」
(やった!)
心でガッツポーズ
「ではベドラス様に取り継ぎますので少々お待ちください」
そういうと鎧の中から手のひらサイズの四角い魔道具を取り出す
「こちら門警備のウリエ、リリア様がお見えになったのでベドラス様に報告を」
従者2が従者1近づく
「あれは何をしているんですか?」
従者1
「あれは声帯情報共有魔道具「ディファン」だ」
「……ディファン?」
「同じ魔石の破片に魔力を込めると共鳴して声を拾う」
「欠点は一対一の場合、魔石を二分割しないとできないってことだな」
ピンとこない従者2
呆れる従者1
「だから…魔石を三分割したら3人全員に強制的に聞こえちまうってこと」
「連絡する相手が多いほど持つ魔石も多くなる…まぁ使いようだけどな」
「へぇ…すごいですね」
感心する従者2
「そうでもねぇよ…こんなの」
ガガガガ
門が開く
「ではベドラス様は本部7階統括室にいますので」
ビシッ
敬礼をする衛兵
ビシッ
敬礼するリリア、従者1
!ビシッ
遅れて従者2
見渡すリリア
「はぁ〜懐かしいな、何年振りだろぉ」
門から建物まで一本道が続いている
途中に枝分かれするように噴水や草木、休憩所、厩舎がある
従者1
「ここに来たことあるんですか?」
「うん、師匠……えっと剣術の師匠に稽古付けにもらいにね」
リリアの横を歩く従者2
「へぇそうなんですか、師匠の稽古厳しかったですか?」
グイッ
「なんですかエリ……従者さん」
「リリア様の横を歩くな、少し後ろにいろ」
「はぁ〜い」
フードでも隠しきれないふてくされ感
建物正面には大きな扉
前に立つと扉はひとりでに動く
ガチャ
ガヤガヤ
ザワザワザワ
一回は冒険者の溜まり場兼C、B級のクエスト受注所となっており賑わっている
見渡す3人
「品がねぇなここは」
ボソリと従者1
「そんなことないよ、賑やかでいいじゃん」
ボソリとリリア
「あ!あの人の防具変ですね」
きゃっきゃっきゃ
指差し笑う従者2
スン
場が静かになる
ごと
立ち上がる大男
「へぇ俺の防具のどこが変なのかな…教えろよテメェ」
従者1がリリアに耳打ちをする
「ヒヨルはおいていこう、正直あの大男に加勢してボコボコにしたいくらいむかつく」
ドグッ
「ふが!」
従者1の腹に右手
「仲間を置いてくなんて最低」
うずくまる従者1
相対する従者2と大男
「オメェのフードの方が変だぜ、冒険者なら素顔でやらねぇとよぉ」
トン
一歩近づく従者2
大男は一歩下がる
(なんだこいつ引くどころか向かってきやがる)
間が生まれる
………
大男は従者2から目が離せなくなっていた
(こいつこんなためて…何する気だ)
わ……
口をひらく従者2
「私も同じ考えです」
………は?
続けて従者2
「私もそう思ってたんですよ、気が合いそうで嬉しいです」
……………
大男は静かに席に着く
大男が何か一言冒険者に言うと無かったように騒ぎ出す
従者2
「あれ?今私無視されました?」
「「………」」
無言で階段を登る二人
追いかける一人
7階に着くと統括室が書かれている扉を見つける
コンコンコン
ノックするリリア
「どうぞ」
部屋の奥から野生味溢れる太い声
「失礼します」
ガチャ
扉を開けると
部屋の奥には筋肉の塊が座っていた
白髪のオールバック、メガネをかけ鋭い目つきで睨んでくる
白と青のボーダーの服に肩から上着を羽織っている
キリッ
ニコッ
「久しぶりだねリリアちゃん」
張り詰めた空気が一転
線の顔が丸になった
「久しぶり!ベドラスさん」
小走りでベドラスの前に行くリリア
「それ何やってるの?」
机にばらまかれた紙を指差すリリア
それを見るベドラス
「あぁこれはA級冒険者のクエストを作ってるんだよ」
「A級になると記載情報が多くなるから私が直接監査してるんだよ」
「へぇ〜…やっぱベドラスさんってすごいね!」
手で頭をさするベドラス
「いやぁリリアちゃんにそう言ってもらえるともっと頑張れるな」
後ろで立っている従者1
(あいつ相当なおじキラーだな、そのまま全部聞いてくんねぇかな)
後ろで立っている従者2
(あのおじいさんの頭…………すごいな)
振り向くリリア
「…でこの二人が私のお供してくれてるの」
ガタッ
立ち上がるベドラス
「ほぉ…まぁリリアちゃんが選んだなら安心できるか」
「さぁ座りなさい」
「何か聞きたいことがあるんだろ?」
どさっ
ベドラスと対になるように真ん中にリリア、右に従者1、左従者2
ふぅ
息を吐くベドラス
「話す前にすまないが…その従者二人自己紹介してくれないかな?」
ドキッ
慌てるリリア
「じ…自己紹介ですか……はは、なぜ自己紹介ですか?」
「別に深い意味はないよ、自分の事は自分の口の方がしゃべりやすだろう?」
「なぁそっちの従者くん?」
指差すのはエリックの方だった
「はい、もちろんでございます」
落ち着いて対応するエリック
「その前に先ほどからフードをかぶっている無礼を謝罪させていただきたい」
いやいや
手を振るベドラス
「構わんよ、この世界にいると事情がわんさかあってな、格好の無礼など気にもならん」
深く頭を下げるエリック
「ありがとうございます」
「では…自己紹介といましても…ベドラス様に紹介できるものが見当たらないのです」
「ほう…なぜかな?」
「はい私は名前を持たぬ身であり、趣味もなく今はただリリア様の旅路に同行しているだけなので」
少し間をおくベドラス
「そうか…ではリリアとどう出会ったか教えてくれないか」
「はい、キルガス帝国の内乱で逃げている途中の街メルデで拾って頂きました」
考え込むベドラス
「そうか…あの事件は私も思うところはある」
「すまないな思い出したくない記憶を掘り起こさせて」
「いえいえ」
左を向くベドラス
「ではその方も同じ境遇かな」
「いえ違います」
!!!???
リリアとエリックはど肝を抜かれた
((何言ってんだこの人))
「?……では君はどこでリリアとあったのかな」
……………
フイッ
リリアとエリックの方向を見るヒヨル
無視
エリック
(あのバカ条件反射で言いやがったな……正直もここまで行くとアホだな)
口をひらく従者2
「えっ…とわた…我は宿場町メティスで会いましたです」
「ほうメティスとな、あそこには私もよく行った」
「ではお名前を伺っても良いかな?」
リリアとエリックは予想する
((絶対に本名言う))
予想は大きく外れる
「我の名前は…………無い」
((無い!!!!!))
ベドラス
「ほぉあなたもか……では失礼を承知で言うが」
「「名無し人」の意味を理解して言っているかね?」
エリックは猛烈に焦る
(やばい……バレる!!)
エリックは咳払いをした
ヴヴンッ
「ごめんなさい!」
割り込むリリア
「どうした、リリアちゃん」
「こ…この子」
「私の友達なの!」
不思議そうに従者2を見るベドラス
「君……リリアのお友達なのかい?」
バッ
勢いよく立ち上がる従者2
「はい!リリアちゃんの友達です!」
頭を下げるリリア
「ごめんなさい、どうしてもこの子が王都にきたいって言うから…嘘ついた」
「でも!こっちの人は本当だから!ねっね!」
ベドラスは重い顔をしている
(さすがにダメか)
リリアは覚悟を決める
そ……
重い顔があがる
「そうか!友達ができたんだねリリアちゃん!!」
満面の笑み
目には涙
「う…うん、そうなんだ」
苦笑いのリリア
涙を拭くベドラス
「そうか…友達か…リリアちゃん学校行ってる時「友達なんていらない」って言ってたから心配で心配で」
どん
「ちょっやめてよ昔の話はぁ!」
赤面のリリア
なだめるベドラス
「まぁいいじゃないか…そっかリリアちゃんにも友達がね」
席に座り直すリリア
「もうその話はいいでしょ!」
おほん
「そうだったねリリアちゃん、で……」
「勇者について何を聞きたいんだい?」
雰囲気が変わる
……
ゴクリ
リリアは意を決する
「お父様の臨界天について…」
従者2
(え!!!聞いてた話と違う)
机に腕を組むベドラス
「ほぉ…理由を聞かせてくれるかな」
ぎゅ
スカートを握るリリア
「うん…私は強くなりたい…誰にも負けない力が欲しい」
「だから、お父様の到達点を知れば何かヒントが見える……気がして」
考え込むベドラス
「到達点…か」
「じゃあリリアちゃんは臨界天についてどんな認識か聞かせてくれ」
こくり
「臨界天は魔術の極地……いわば魔力の性質が完全に変化し力も変わる」
「魔術とはかけ離れた別次元の力」
訂正するベドラス
「認識は間違ってない……けど本質は違う」
「え?違うの」
「あぁ臨界天は本来の魔術生成方法とは違うという」
ピンとこないリリア
「違うの?」
グッ
拳に力を貯めるベドラス
「魔術は力を込めるように脳で信号を送り体現する」
「臨界天は取得者それぞれの力の体現方法を編み出して完成するらしい」
リリア
「らしいって……確立されてないってこと?」
ベドラス
「あぁ、あるものは人々の希望がある日見えるようになった、あるものは魔力とは違う何かが全身を駆け巡った……とまぁバラバラでな」
考えるリリア
「そっか、難しいんだね」
………
「じゃあお父様はどんな体現方法だったの?」
…………
「すまない、これだけは娘のリリアにも教えられない」
唖然とするリリア
「え……なんで?」
頭を下げるベドラス
「勘違いしないでほしいが、教えないのではなく教えられないんだ」
「私の認識を遥かに超える超位の技だった…あれは誰にもできない神の御業だった」
「すまない」
「いやいいよ、言葉にできないなら仕方がないし」
顔が暗くなるリリア
「じゃあさ、私が生まれたレシキっていう場所知ってる?」
「あぁ知ってる……」
間が空く
ベドラスは正面を向く
「リリア…なぜレシキを知ってるんだ?」
ドキドキ
リリアは口をひらく
「この前、場所は言えないけど外国の王宮で聞いちゃったの」
「私はセイントエルダ出身じゃなくてレシキって村出身だって…」
ごふっ
椅子に深く座るベドラス
「そうか…まさか勇者の死についてまだ調べてるのか?」
目を逸らさないリリア
「これは私の問題、お父様は関係ない」
交差する視線
ベドラス
「はぁ…そう言うことにしとこう」
「わかったよ、そこまでまっすぐ見られては知らないふりは罪になる」
ドン
「じゃあ教えて‥‥」
「ただし!」
言葉を遮るベドラス
「このクエストのクリア報酬でその話はしよう」
「もちろん虚偽の話はしない……これは契約だ」
ベドラスは机から一枚の紙を取り出す
心の中で舌打ちをするエリック
(っち、このジジイ簡単には喋んねぇか)
(まぁレシキ調べんのは他の手段にするか……クエストめんどいし)
従者1
「ではリリア様これでし…………」
「わかったわ!」
……………はぁまたこいつのペースか
ぺらっ!
紙を奪うリリア
「これやったらぜっったいに教えてもらうからね!」
笑顔のベドラス
「あぁもちろん、契約放棄は最大の罪だからね」
くるっ
振り向くリリア
ぐっ!
満面の笑みのグッドポーズはエリックには不快でたまらなかった
(ここで不自然に反対したら怪しまれるか)
(まぁ…先に言わなかった俺の責任か…責任だな)
自分のせいにして怒りを鎮めるエリック
従者1
「でそのクエスト内容はどんなものですかリリア様」
……………
「私、クエスト表の見方わかんない……てへっ」
ふぐっ!!
怒りは………おさえる!
ベドラスは紙を指差す
「あぁこれはAとSの間くらいかな」
「内容は、ここから南方二日にある村「アモグア」で起きている殺人事件の調査」
聞き返すリリア
「殺人事件?」
ベドラス
「そう……なんでも夜中に村人一人ずつ噛み殺されると言う」
「犯人も犯行日時も不明だから受注してくれる人がいないんだよ」
「クエストの発注者いわく、夜中に狼が人を食っているとか‥‥」
リリア、従者2
(狼!)
「いかせてください!!」
従者1
「慎重に判断してくださいね……リリア様ぁ」
(めんどくせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!)
こうして次の目的地は不可解な事件が起きる村アモグア
そこでは夜な夜な人食い狼がいる
3人はクエストを成功させレシキの情報を入手できるのか
旅はまだ続く……




