19話 王都につき昼食で会話
街道を進む3人
王都までは約数時間
荷台は大いに盛り上がっていた
「ねぇヒヨルの武器ってさ剣じゃないよね?」
腰の引きを見るヒヨル
「あぁ、これは刀というんです」
操縦席から盗み見るエリック
目を輝かせるリリア
「すごい綺麗」
ふふっ
「これは剣術の師範にもらったもので、思い出深い逸品です」
「それよりも!」
グッ
近寄るヒヨル
「リリアの魔術が知りたいです」
「もちろん魔術の詮索が御法度なのは重々承知ですが…よければ!」
苦笑いのリリア
「まぁまぁ教えるからさ」
「後ろに行こ?」
「後ろですか?」
「なんでも聞きたくない人が前にいるから」
操縦席に目を運ぶヒヨル
「そうなんですか?エリックさん」
手綱を持ち前を向くエリック
「……まぁ、なんか負けた気がする」
へぇ……
後ろに行く二人
耳を近づけ
「でね私の魔術は………」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
驚嘆の大声が響き渡る
耳を抑えるリリア
がしっ
肩を掴むヒヨル
「っと、とんでもない魔術ですねそれ!」
「でしょ〜」
満面の笑み
「それに魔術の事はまだ数人にしか言ってないの」
唖然とするヒヨル
「さすがあの勇者様の御息女………」
「これでは臨界天を習得したらどうなるんでしょうか」
「まぁないことは考えてもしょうがないよ」
「ですね」
おい
「見えてきたぞ」
「アレスティア王国王都【セイントエルダ】」
ドドド
二人は急ぎ操縦席に行く
「数週間だけど懐かしぃ」
「私初めてなので楽しみです!」
(こいつら旅行と勘違いしてねぇか‥)
王都の検問は厳しく
招待状、身分保証状、魔術登録書、在国目的書など書類がなければ入れない
アレスティアは区ごとに検問所があるが検問内容はそれぞれ異なる
――――王都 検問所――――
カラカラカラ
馬車を引くリリアとフードを被った二人
「こんにちはレイランス!」
検問所にいた騎士に声をかけるリリア
おっ
振り向く騎士
「おぉリリアちゃん、もう帰ってきたのか?」
「外国留学はどうだった?」
リリアは王国を出る際、騎士団入団前に外国を見て回りたいと嘘をついていた
「楽しかった…けど、また少ししたら別の国に行くつもり」
後ろを見る騎士
「……でその二人は?」
フードを被る二人組
「あぁこの人達は私の付き人なの」
「私が身分を保証するから問題ないでしょ?」
……ニコッ
「もちろんだよ」
「さぁ久しぶりの王都だリアンダ様もお待ちだろう」
「………うん」
「ありがとね、じゃまた」
カラカラカラ
王都では主に貴族専用の街づくりとなっている
貴族の居住区、貴族の店、貴族の学校
しかし魔導学園の訓練場だけ別の区分となっている
「もういいぞヒヨル」
ばさ
フードを外す二人
「いやぁ綺麗な街ですねここは」
「まぁ金なんて掃いて捨てるほどあるしな」
感心するヒヨルとけなすエリック
馬車預かり所で馬車を預ける
ギルドへ向かう前に昼食を取る
貴族の繁華街
値段は安い、それは納金による税金で賄われている分、価格が下がっているからである
むしゃむしゃ
「……おいひぃ」
満足笑顔のヒヨル
「ふぐっ…うんうんでしょ」
頬張るリリア
「あむ」
周りが気になり落ち着かないエリック
「どうも、煌びやかだと落ち着かねぇな」
店は完全個室制で壁には金箔天井には絵画、扉の上には派手な装飾がされている
食事もひと段落
「……でヒヨル」
エリックが口をひらく
「お前、下の名はなんだ?」
ビクッ
「え…とそれはですねぇ」
隠すヒヨル
「…秘密です」
うゔん
咳払いするエリック
「あのな、これは遊びじゃねぇの」
「その刀、「ミカグラ」の代物だろ?」
不思議そうなリリア
「ミカグラってなに?」
「古文書では人類始まりの地、海に囲まれ独自の進化した文明を持つ国」
「その国は過去、魔王支配時代から他国との国交を断絶していたんだよ」
「じゃあなんであんた知ってんの?」
エリックはたどたどしく
「まぁ…ちょっとした知り合いがいる」
ガタッ
テーブルに頭をつくヒヨル
「申し訳ありません!」
驚く二人
落ち込む顔のヒヨル
「つい…あの時本当の事を言ったら追い返されると思い嘘をつきました」
「なんですぐにわかる嘘を」
「いやだって、刀がミカグラの代物なんて知ってるとは思わなかったので」
「まだいけるかと」
「……で名前は?」
「…その…聞いた瞬間に置いてくとかないですか?」
不安そうなヒヨル
表情を変えないエリック
「まぁなんとも言えないな」
ぎゅ
「あっ…」
手を握るリリア
「大丈夫だよ…言ったでしょ?」
「私はヒヨルを助けたいって…私は友達が困ってるのなら助けたい」
はい
意を決するヒヨル
「私の名前は……」
ヒヨル・カイセイです
ピンとこないリリア
「いい名前…だね?」
ダン!
勢いよく立ち上がるエリック
「……………ありえねぇ……だろ」
一瞬の静寂
「本当…なのか」
こくりと頷くヒヨル
頭を抱えるエリック
「そっか……助けたいのは…母ちゃん、兄弟ってところか」
「はい、母様を助けたいのです」
「生きてる証拠はあるのか?」
「はい、少し前に手紙が来まして」
「それを受け、協力者を探していましたので生きている事は確実かと」
「罠かもしれませんが可能性があるなら…助けたい」
椅子を立て直し座るエリック
「そっか…でもすぐには殺されないだろ…早くても1ヶ月か」
ばん!
「ちょっと意味わかんないんだけど」
「カイセイって何、そんなにやばいの?」
………
「ねぇってば!」
「ちょっと待ってくれ!」
言葉を遮るエリック
「………はぁ」
「リリア聞いてくれ」
リリアの顔を真剣に見るエリック
「これはすごい危険な案件だ」
「でもお前の意思を汲んでダメとは言わない」
真剣な顔に戸惑うリリア
「…うん」
「ただし、一つ条件がある」
「条件?」
「あぁこの案件は俺が最大限の情報をかき集めてやるかどうかは俺が決める」
「だから中途半端な情報はお前には教えられない」
「えぇ!でもヒヨルが…」
「頼む…別に嫌がらせでも面倒だからでもない」
「本気のお願いだ…俺を信じてくれリリア」
ヒヨルを見るリリア
ヒヨルは笑顔でこちらを見ている
「…わかった、信じるよ」
ふぅ
「これが、俺ができる最大限の助力だ」
「もちろん報酬は依頼達成後でいい…これで飲んでくれ」
頭を下げるヒヨル
「ありがとう…ございます」
ハァァ
ため息をつくエリック
「お前も大変だなヒヨル」
涙をうかばせ笑顔で
「はいっ本当に大変ですね」
よしっ
切り替えるエリック
「じゃあギルド本部に行きますかぁ!」
「俺達も手伝うからお前も手伝ってくれよ」
「はい!全力でお供します!」
店を出る3人




