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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第1章  勇者の手記
18/116

17話 誰でも知っているわけじゃない

宿に戻る道

コツコツコツ

歩く足音だけが響く裏路地


ソワソワ

「いやいや、流石にここでは……なぁ」


早く人通りの多いところに出よ


はぁ…はぁ

いつもより呼吸が荒くなる


「何してるの」


キャァァァァァァァァ!!


………目を開けると


「あんたも宿に戻る帰りだったの?」

リリアだった


おっほん

「な…なんだ、声かけるならかける前に声かけて欲しかった」

「意味がわかんない」



リリアを素通りしようとするエリック

「……で今の悲鳴はなぁに?」

プププ

口をおさえ半笑いで近寄るリリア


ふん

「………何でもない」

「宿へ帰るなら一緒に帰ってもいいんだからね」


「何キモ」

ドン引きのリリア


辺りを見渡す

「耳を貸せ」

ん?


「なんでも俺のことを殺そうとしてる奴がいるらしいんだ」


「へぇ〜」


怒るエリック

「なんだお前!、薄情だぞ」


頭をくしゃるリリア

「ふん…今更だな」

「って余裕かましてた人は誰だっけ?」


「それとこれとは話が別なんだよ」


「何が別なの?」


丁寧に早口で説明する

「いいか、今までの狙ってくる奴らは俺を「殺す」じゃなくて「利用する」が目的だったの」

「でも、誰だかしらねぇが、俺を殺そうとしてる奴が出てきたの!わかるかこの意味が!」


迫真の顔から目をそらすリリア

「ごめん…わからないや」



再び説明に入るエリック

「だから…」

シッ


指をエリックの後ろに向ける

ゆっくり顔を振り向かせるエリック


カツン カツン

闇に紛れる長髪の女

手には剣らしき武器



開いた口が塞がらないエリック

「後ろに」

リリアの後ろに隠れるエリック


「あんた誰?」

闇に溶け込む女に問う


「あなたこそ誰ですか」


「質問に質問で返すなんて非常識ね」


「あなた、この裏路地でフードかぶって薬の売人に間違われてもおかしくないですよ」

「私が成敗してあげます」


「人の話聞きなよ」

ボワン

リリアは空中から短剣を二振り


「そう言うことなら早い……エリックさんを渡していただきます」

スン

剣らしき武器を構える


長髪からは異様な殺気


(こいつ…魔力の練り上げ方が異常に早い)


ビュン


間合いは剣の範囲内

カキン

フンッ

ブンブン

キンキンキン

「はぁあ!!」

長髪は流れるように攻撃する


ビシッ

フードが切れる

「やばっ!」

その瞬間

「ごめんね」

長髪は構え上段斬りを決める

バサッ 


中を舞うフード

タッタッタ

距離を取る長髪

(今完全に切ったと思ったのに…この子)

「ようやく顔合わせられるね」



二人は対面する

長髪は言葉を漏らす

「あなた……」


顔を腕で隠すリリア

(やばい、ここでバレたらまずい!)


「綺麗な髪ですね」


は?


ブンブンブン

武器を振り回す

「残念だけどその綺麗な髪も服も赤色にしちゃいます」

「ごめんなさいね」




ドン!


「なぜオレっ!」

リリアはエリックに蹴りを決める

「あんた邪魔!」

(理不尽!)



ダァァン!

壁にめり込むくせっ毛



ビュン

(転移魔術じゃない…)


背後に長髪

ブン!

かがみ斬撃をかわすリリア


グイ

「らぁ!」

腰を回転させ剣を振るう

(振った後の間!)


ガキン!!



リリアの剣は弾かれ態勢を崩す


「私も武器一つじゃないんですよ」

長髪の手には短剣

空中には長剣の刃だけが浮いている

先程までの両手持ちから片手持ちへ

(今この女、剣の中から別の剣が……)


「エリックさんは私がもらいます!!」

ザァン!!

短剣を振ると斬撃が飛ぶ


長髪は異変に気づく

(景色が変わってる……)


ハッ!


「もらった」


ジャキン




ペチン

「ねぇ……ねぇてば」


ハッ

壁にめり込んだエリックが目覚める

「おれは…」


ぐいっ

リリアの胸ぐらを掴む

「オメェ邪魔なら言葉で言えや!」



悪びれるリリア

「ごめんて、戦闘中はどうしても口より体が動いちゃうの」

「じゃ帰ろっか」


「で……」

横に目を向けるエリック

「この殺人鬼はどうするんだ?」

「縛って持って帰る」

「………持って帰る?」







ゴォォォォォォ

少女は泣いている

泣き声届かぬ戦場で

少女は怯えている

助けが来ない洞窟で

少女は悔いている

殺すしかない状況で


「……………みんな待ってて」


はっ!


目を覚ますと知らない一室

目の前に顔を覗かせる二人がいる

金髪のかわいい女の子と目の中に恐怖心を潜ませる頭が爆発している男

「……わた‥しは」


「今帰ってきたところよ」


え…


「だから、ここ私が泊まってる場所」



「なぜ…私はあなたを殺そうとしたのに」


腰に手を当て胸をはるリリア

「勘違いしないでほしいけど」

「私は殺し大好きサイコ人間じゃないから」


…………

「それにあんた切る時、顔が沈んでた」


きょとんとする長髪

「だから助けたというの…ですか」


「そう言うこと…」


ガタンガタン!

紐を解こうと動く

!!

びびるくせっ毛

「おい変な事すんなよ、オレは殺される前に殺すことができる男だからな」


だ‥‥

言葉をためる長髪


「「だ……?」」

復唱する二人


「誰に殺されるんですか!私が守りますから縄を解いて!」



・・・・・・・・・


スゥゥゥゥ

息を大きく吸うエリック

「「「「「お前だよ!!!」」」」」

「「お前だよ」」

「お前だよ」

こだまする大声

そこには恐怖からの落差と意味不明な女の行動に対する怒りが込められていた

「うるさい」

バシッ



「申し訳ありませんでした」

部屋には縄を解かれ土下座する黒髪ロングがいた


エリックは見下すように

「で、なんで俺たちを襲った?」


ふん

頭をエリックが思ったより早くあげる

「いえいえ、私が襲ったのはこっちの子です」


割るようにエリック

「そうだけど俺のこと嗅ぎ回ってたんだろ」


おしとやか笑顔で答える

「はい、依頼をしたくて探し回ってたんですよ」

「最初は事務所に行ったのですが長期休暇とあったので」



頭に指をあて考えるエリック

「んじゃお前は……俺を殺す気じゃなかったのか?」



フッフッフ

「そんなエリックさんを殺すなんて、おバカさんじゃないですよ私は」



リリアは疑問を感じる

「一ついいかな?」

「エリックを殺そうとするのがそんなに変なの?」



うんうん

首を縦にふる黒髪

「そうですよ、エリックさんを狙うって事はその裏方さんがたも敵にするって事です」

「それができるのは裏方さんよりも強いって自信がないと考えもしませんね」



エリックを見るリリア

(そうなんだ…)


「ていうか…なんで私が殺すって思ったんですか?」

「私エリックさんを探す時、誤解されないように依頼したいって言いました」

「情報屋さんには定価の倍お支払いしましたし」



「ちょっと待ってくれ」

脳内で一人の人物が浮かび上がる


……ティルガ


「いやっこっちの思い込みだ悪かったな………」

「すまない、名前を聞いてもいいか?」


バッ

立ち上がった

「私はヒヨルって言います」



パチン

エリックは手を叩く

「そうかヒヨルさん、では依頼再開しましたらまたきてください」

「では」


出口へ押されるヒヨル

「じゃ…じゃあいつ頃再開しますか」


「未定です」

バタン

ガチャ

鍵を閉める

安堵するエリック

「ふぃ、やはり宿は鍵がついてる所に限るな」


ねぇ

「ここ私の部屋なんですけど」


笑顔になるエリック

「ごめーんね」

「きもっ」


ガチャガチャガチャガチャガチャ


ヒィィィィィィ


呆れるリリア

「はい」

ガチャ


開くとびら

「未定…なんて…来た意味…ないですよね」

「ですよねぇ」




部屋には曖昧な返答で場を流そうとした罪深きくせっ毛が正座していた


「…と言うことで諸事情により依頼は停止中なんだ」

断るエリック


食い下がるヒヨル

「諸事情じゃ納得できません」


「いやぁだからあれがこうだからこれをこうしてそれをそうするんじゃないか」


プイッ

顔を横に向けるヒヨル

「意味がわかりません」


頭をくしゃるエリック

「だからね……」


「私のお父様について調べてんの」

割り込むリリア


「ちょっお前!」


「いいのよ、変に詮索されるよりマシ」

堂々とするリリア



「だからなんですか」

キリッとヒヨル



戸惑うリリア

「え……だから私、リリアのお父様について……だよ?」

「ていうか、リリア・グレイブって知ってる」



「「「だから誰ですか!!」」」




えぇぇぇぇぇぇぇ


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