14話 一夜明け
リリアは天井を見ている
白く何もない天井
寝返りを打ちまくるリリア
「……はぁ」
ガチャ
扉から入ってきたのは白衣を着たおばさま
「……メルティさん容体はどうですかな?」
上体を起こし振り返るリリア
「先生…本当にありがとうございます」
ハッハッハッ
笑う先生
「いえいえ、エリックさんに言われればどこへでもきますとも」
ぼふっ
布団に顔を埋めるリリア
「ねぇ先生、昨夜の事どうなってるんですか?」
先生は現状を説明する
「はい、エルブ・プレジャーは夜間点検中の爆発事故により休園となってます」
「騎士団も事件が事件なだけに介入に慎重になっているそうです」
「現在エリックさんはスラム街に出かけているので二日で戻ってくるそうです」
診察を終えた先生は部屋を後にする
ごろん
おでこに腕を置く
「はぁ〜手記読もうかな」
あの後、エリックの知り合いである先生が宿に来た
先生には夜通し看病してもらい今はなんとか食事が自分でできるほどになった
―――昨夜―――
「じゃスラム行ってくるから安静にしとけよ」
ベッドに横たわるリリア
「うん…ごめん」
隣の机に本を置くエリック
「ここに手記置いとくから余裕あったら読んどけ」
「これ写しだから、読んだら燃やしてくれ」
微笑むリリア
「えへへ…本当にエリックは準備がすごいね」
出口へと歩くエリック
「素直に人を褒めれるんだなお前」
バタン
それから何度か手記を読もうとしたが決心がつかず読めないでいる
「こんなにも私って意気地なしだったんだ……」
窓の外はもう暗い
「もう寝よ……」
時間はあっという間に過ぎ、手記が読めず二日が経った朝
ガチャ
「まだ寝てんのか」
上体を起こすリリア
「あっおかえ……え!」
衝撃の光景がリリアの目に飛び込んだ
「どっどうしたのその顔は!」
エリックの右目が膨れ上がる左頬にあざができていた
切り傷もあり血が出ている
「あ?これか…なんでもない」
立ち上がるリリア
「いや!なんでもないわけないでしょ」
医療箱を持ってくるリリア
「ほら、私簡易的な処置ならできるから」
「……まぁ頼む」
座るエリック
対峙する二人
「血が固まってる……いつ誰にやられたの?」
口をもごもごするエリック
「今朝、誰かは……言わん、俺が完全に悪いからな」
「………そうなんだ」
………
プシュ
顔面に直接アルコールをかける
「アァァァァァァァ」
「いっでぇぇぇえええ!!!」
顔を抑え転がりまわる
「何すんだオメェは!」
激怒のエリックと困惑のリリア
「え!ごめん痛かった?」
机に置いてあった飲料水を顔にかける
「おまおえは…さぼぉえいらんどぉあ!!」
「はは、何いってるかわかんないよ」
微笑するリリア
場を仕切り直し、相対する二人
「ごめんねエリック」
「許さん」
…………
頭を下げるリリア
「本当にごめん」
「助けるとかいってたけど、結局私が助けられちゃったし」
「お父様の手記だってエリックがいなかっ……」
ドン
「いったぁ」
リリアの脳天にエリックがチョップする
「で、なんだよ」
「もうすんだこというな」
「お前はやることやった、俺もやった、でここに手記があるそれ以上に言うことないだろ?」
こくりと頷くリリア
「うん」
「で!見たか俺たちが求めた「勇者の手記」」
「見てない」
…………はい?
ドドド
至近距離のエリック
「なぁんのために頭使って体張ったと思ってんだお前はぁ!」
たじろぐリリア
「えぇ!なんのためって…手記?」
フン
鼻息があらいくせっ毛
「分かってんならはよ読め」
「でも一人だと…なんか心細いっていうか……ね?」
呆れるエリック
「お前、戦ってる時あんなに勝ち気なのにどうしてこう……なぁ」
「もういい、見ててやるから見ろ!」
「ていうか、もう用すんだからこっちでみろ」
ポイ
勇者の手記(原本)を手にするリリア
「……じゃあ読むね」
「おう」
ドクンドクン
心臓が高鳴る
たかが本をめくるだけ……だけなのに
ふぅ
表紙に手をかけるリリア
「あっそういえば」
ビクッ
急な言葉に怒るリリア
「タイミング考えなさいよぉ!!!!」
「わりぃわりぃ、いや読む前に言っとく事があってだな」
…………?
「その手記に全ては載ってないってことだけ」
「読んで知るより事前に知った方が気持ち的に楽かなって」
フン
頬を膨らませるリリア
「もっと早めに言ってよ、余計ドキドキしたじゃんか」
改めて本を開く
「ようやく知れる……少しでもいいからお父様の事を教えてね」
求めていた記憶の断片
父が書き残した人生の一部分
そこには勇者が歩んだ軌跡が記されてい




