12話 追って追われて
通路を歩くリリア
「はぁ…はぁ、なんか懐かしい感覚だったな」
ドサッ
左肩をかかえ壁に倒れ込む
「……やっぱ分散させても痛いなぁ」
「あの子力強すぎでしょ…」
通路は一本道ひたすら進む
本を漁り情報を伝達させる魔道具を調べるエリック達
「ほうほう」
椅子から立ち上がるエリック
「よし、帰るぞ二人とも」
床に座り本を読んでいたディー
「おうもういいのか?」
壁や天井を調べていたメンション
「今回は楽勝でしたね!エリックさん」
紙を本に挟み出口へ向かうエリック
「いや、まだ終わりじゃねぇよ」
「え?」
「調べた中にある魔道具の名前があった…」
「おそらくこの闇市場襲撃に乗じて取引されてる」
ディーは腕を組み
「おうのか?」
部屋を出るエリック
「いや今回はここまでだ、深追いしてもいい事ねぇし」
「それにメンションに裏側探ってもらったから最初に帰ってもいいくらいだ」
「じゃ行きますか」
3人は部屋を後にする
──とある一室──
6つのモニターの前に座る男
「ほう、ダミーが全部潰されたか…」
「ひとつ見つけるだけでも苦労するのに……エリック・バートン」
「君だけは特別だ…」
通路を進む3人
「闇市場ってのはどこも趣味悪いっすね〜」
見渡すディー
「逆に綺麗な所があると思うのか?」
闇市の商品一覧を見るエリック
「まあこれで闇市を仕切ってる犯罪組織『ローデン』の壊滅は決定だな」
「こんだけ荒らされたら、抑止力も終幕、あとはボスが殺されてバイバイってとこか」
「…たく、あの女本当に気にくわねぇな」
肩を組むディー
「まあ姉さんもお前の事きにくわねぇって思ってるだろうぜ」
ほどくエリック
「たりめぇだろ」
カツンカツン
通路の奥から道化師の仮面に黒ずくめの服に手ではなく短剣になっている右手
身長が2メートルある大男が歩いてくる
とまる3人
「おい、誰かのお友達か?」
エリックは問う
「んなわけ」
構えるディー
「俺もです…」
パァン!
エリックは魔道銃を撃つ
ヒュン
軽々と避ける道化師
それを見るエリック
「…………」
ブゥンブゥンブゥン
ワープを繰り返し迫ってくる
「逃げるぞ!」
「はぁ?」
走る3人
「なんで逃げんだよ、俺がぶっ飛ばしてやるよあんなやつ」
不服そうなディー
「相性の問題だ、あいつとお前じゃ負ける」
「俺も、メンションも負けるだから逃げる」
後ろからおう道化師
それを見るエリック
「ほらみろ、あいつは長距離転移ができねぇんだ」
「とりあえず広いところへ行くぞ!」
3人が進む先には出口がある
抜けると行きに来た厨房に繋がっていた
厨房は真ん中に大きいテーブルがあり普段はそこで食材を切っている
壁には調理器具があり、炎が出る調理用魔道具も内蔵されている
周りを見るエリック
「ここは…メンションは俺に化けろ」
「はい!」
「ここであいつを殺す」
ダッダッダッ
道化師も厨房に姿を表す
「……諦めたか」
目の前には包丁を持つエリック
「いいや、この包丁でお前を殺す」
にやけた仮面に似合わず淡々と喋る
「無理だな、近接戦で俺に敵うものはいない」
ブゥン
ワープする道化師
「だろうな!」
カバンから取り出すエリック
道化師に向かって投げる
ヒュン
避ける道化師
距離が短剣の範囲に入る
ブン!
短剣をエリックめがけて振るう
カキン!
割り込むディー
ディーの腕は硬質化している
「もっと切れ味のいいやつ持ってこいやぁ!」
ブゥン
距離を取る道化師
エリックは耳元で
「気をつけろあいつは見て攻撃してる」
ディーは振りかぶり
「どっしゃぁぁぁ!」
ドォォン!
真ん中のテーブルをネコソギぶち抜く
破片が飛び散り視界が悪くなる
ブゥンブゥン
避ける道化師
ダン
キン
ダン
「おらおらおら!」
攻撃が当たらない
拳を振るうと衝撃波が生まれあたりを壊す
道化師は息一つ切らさず攻撃を交わし
シュッ
「くっ」
ディーの体に傷を負わせる
タッタッタッ
攻防の隙に外へ出るエリック
横目に見る道化師
攻撃をやめないディー
ブンブンブン
シャキン
グサッ
ギシャ
(なんだこの男、切っても倒れる気配がない…このままでは)
ブゥン
ワープしエリックを追おうとした時
今来た通路に進もうしているエリックを感じ取る
な……
足が止まる
メキッ
「しまっ……」
ドォォォォン
「へっ、やっと決まったぜ」
道化師は厨房の壁を突き抜け遠く彼方へと消え失せた
荒れる厨房
それを見るディー
「はぁ…こりゃ大事になっちまうな」
「ワンパンであそこまで飛ばせますか普通…」
通路から呆れ顔を出すエリックと瓜二つのメンション
「じゃ退散するぞ」
厨房出口から顔をだすエリック
3人は厨房を出る
「てか、さっき何投げたんですか?」
メンションは顔を戻す
カバンから何かを取り出すエリック
「あぁ、これだよ」
粉が入った瓶
それをメンションに渡す
「これ?」
瓶を指差すエリック
「この粉は空気中の魔力を薄める粉」
顔が晴れないメンション
「……?」
「あいつは戦闘中ずっと視界を使ってなかったんだと」
驚くメンションとディー
「「え!」」
「お前もかよディー」
「短距離ワープなんてあんな連発する意味ねぇし、ワープは一気に距離詰められるから使うんだよ」
「ならあいつは戦闘中少しでも動きを減らしたい理由がある」
「しかも銃弾を避ける時、体がトリガーを引く前に動き出してた」
「つまり、相手の動いた体、もしくは体内魔力の機微で反応してるかもってな」
瓶を見るメンション
「……でこれですか?」
「あぁ、この粉で一時的に魔力を遮断すれば魔力感知じゃなく対感覚に切り替える」
「そこで、効果が切れたタイミングで俺が外に出ると同時に反対にもう一人の俺が現れたら思考が遅れるかなと」
パチパチパチ
拍手するメンション
「さすがっす、エリックさん!」
トコトコ
店内は徘徊するディー
それを見るエリック
「どうした?」
シー
指を手に当てるディー
「何か…何かが地下で暴れてる」
「地下……?」
地面に耳を当てるエリック
ドドド
ダダダッダ
ドォォォォォォォォォォォ
音が大きくなる
その時!
ドッゴォォォォォォン
「なんだ!」
外から聞こえる轟音に急いで窓を見る3人
「あ…あれは」
エリックは見上げると
そこには逃げる黄金と追いかけるリリアが映っていた
「楽しいね!おねえちゃん」
必死に追いかけるリリア
「…絶対に逃さない!」




