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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
3章 勇者の宛名
112/116

111話 未遂の大事

会議室

船内で1番大きく壁には海図や方位磁針などが付けられた航路を決める部屋

中央に机と椅子が並べられ壁沿いにディクスお手製の簡易ベッドに横たわる3人

「……大丈夫かリリア」

エリックは包帯に巻かれた肩を見る

「大丈夫……ディクスとゴイツのおかげで痛みも引いてきたし」

「ならいい」

ヒヨルとグレシャはまだ意識を失っている

「で、エリック」

椅子にもたれるジェルダン

「海獣がもう現れないってのはどういうことだ?」

「あぁ…それも含めて情報を共有しておきたい」

エリックは医務室で起きたミーマという女と交わした会話を共有する

……………

「へぇ、だからあの天使は領地だとか言ってたのか」

壁の海図を指差すジェルダン

「この魔海域が皇国の前線だってことは自然的にできた絶海の孤島じゃなかったってことだね」

「どうゆうことにゃ?」

ニネットは首を傾げる

「皇国の成り立ちさ」

「こんな海獣がウヨウヨいる海域の中央にできた島にどうやって人は住み国を築けたのかわからなかったが」

「その海獣すら手懐けてる怪獣が皇国にいるとなると」

「魔海域があったから国を他者からの干渉から守れたんじゃなくて干渉を避けるために魔海域を作ったってことになる」

「なるほどにゃ……」

「それに魔海域は文献によると数百の前から存在しているとなると」

「古代にこのバカでかい領域を作れる猛者が国を作り文明を築いたってこともわかる」

「それが目的の回帰様ってやつならエリック達の知りたいことだけじゃなく数百年の情報もそこにある裏付けにもなるね」

「ほぉ!」

ニネットの表情は明るくなる

アンス

「そのミーマってやつの話からすると回帰は分岐点には必ず姿を現すってことは」

「もちろん勇者対魔王の決戦にも表してるってことだよな?」

頷くエリック

「あぁ、それは確実だと思う」

「ただ世界の分岐点ってのが曖昧すぎてどのくらいの出来事なのかいまいち判断ができない所だな」

イルマ

「エリックはどのくらいだと思うんだ?」

「俺は……」

「多分だが分岐点ってことは大きな出来事だけじゃなくて未遂の大事にも言えると思う」

「未遂の大事?」

「例えば、近い将来世界を滅ぼす力を得る可能性がある人物が辺境の地で病に倒れる……なんて出来事も大きい枠で言ったら世界の分岐点になるのかなってな」

ケッ

不機嫌なディクス

「そりゃ相当な暇人だな回帰って野郎は」

「あんな化け物従えてたら自分は高みの見物するだけってか…いいご身分だな」

………

「何か心当たりがあるのか?エリック」

「いや、例えの話だ」

「そんなことよりあの女が言ってた回帰からの伝言が気になる」

ぺら

エリックは紙を机に出す


    海は渡るだけが航路ではない、楽な道はいつも目の届かぬ裏に沈んでいる


紙を見る一同

ジェルダン

「渡るだけが航路じゃないか……」

「何かのルートなのか?」

ディクス

「ルート?」

……

エリックは紙を見る

「まぁどっかへ行く為のヒントってところか」

「どっかってどこだよ?」

エリック

「そりゃ俺たちが行こうとしてきた目的地だろ、船の進路からわかるだろうしな」

「てことは……」

アンスはウィズラールを見る

「おいらの国か?」

ふっ

笑うエリック

「まぁ間違いではないけど正解ではないな」

「ってことは…」

頷く

「あぁおそらくこれは皇国へルートを示してる」

!!

ジェルダン

「なんでまた…」

「私達を歓迎でもしてくれるのかい絶海の王様は」

「歓迎はしてないだろうがな、あの女は俺の名前を知ってたし、俺たちの行動は奴に筒抜けだ」

「それを踏まえて敵情視察……手は貸さないが助言はするくらいの気持ちなんだろ」

「それにこの伝言の最後に道は裏に沈んでるで終わってる、どう考えても俺たちの動向に沿った助言だ」

……

「そうだろグレシャ」

「あぁ…お前の言う通りだなエリック」

!!

ベッドに横たわっていたグレシャが起き上がる

アンス

「おま……起きて大丈夫なのか」

「あぁ問題ない」

グレシャは頭を抑え返答する

ディクス

「それを決めるのは本来俺なんだがな」

ははは

笑うグレシャ

「すまない…あぁも無様にやられては落ち落ち寝ていられない性分でな」

「で、グレシャ」

「心当たりはあるのか?海帝国家ラティスとミカノツカイ皇国との接点は」

…………

グレシャは口を開く

「私は陸人との交易していると言う話は聞いたことがない……だが、可能性がないわけではない」

「我々海帝兵団の副団長以上の任務として『海醒門かいせいもん』と言う門の警備任務がある」

海醒門かいせいもん?」

「あぁ、この任務は外秘の任務で我々も警備以外の情報が与えられていない…ただ一つわかっていることは」

「その門はこちらからは決して開かれることはないと言うことだ」

エリック

「それは断言出来ることなのか?」

頷くグレシャ

「様相は大きな鉄の板、鍵穴も施錠された後もなくただの板」

「これは予想の範疇はんちゅうを超えないが、裏面に鍵や施錠する術がかけられているのだと私は思っている」

「陛下が言うにこの門は遠い昔、陸の醜悪しゅうあくから海を守るために閉ざした門だと…」

……

場が静まる

「勘違いしないで欲しいが、我々は陸人を蔑視するような事は決してない」

「ただの歴史の話だ………すまない」

頭を下げるグレシャ

「グレシャ……」

ウィズラールは心配そうに見つめる

バッ!

「王子!」

ウィズラールも横で頭を下げる

「おいらもその話は知っていた…不快に思ったのなら謝罪する」

ピン!

「いだ!」

頭を抑えるウィズラール

「な……何するんだ!謝ってる最中に」

エリック

「何勝手に謝ってんだよ、そんなことで俺達が機嫌を損なうとでも思ったのか?」

「そんな事で不機嫌になる程、優しい人生生きてねぇんだよ」

……

「それにその門がどうやら回帰が言ってた楽な道になるかもしれねぇな」

???

「どういう意味だ」

グレシャは首を傾げる

「どういうって……お前が今いったろ」

………?

「門には鍵も施錠あともない、もしかしたら裏にあるのかもって」

「あ!」

「うるせぇ」

グレシャは一際大きな声を出す

「そ……それではあの門はエリック達の目的地へと続くものだったのか」

「そうかもしれないってだけの話、だがこの話を無視するには繋がりすぎてる」

「俺たちが行く道は最初から一つだったのかもな」

アンス

「一つにしては随分と遠いな」

ふっ

笑うエリック

「まぁあの回帰様直属の奴らが俺らの力量を調べに来たなら海帝王国と皇国の繋がりも見えてくる」

「それを踏まえて王子を王に据えて国を取り戻せば…」

「勇者の死だって近づく」

ふふ

ジェルダン

「何はどうあれ」

「海帝の国で暴れればいいって事だろ?エリック」

あぁ

「進路は決まった」



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