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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
3章 勇者の宛名
101/116

100話 偽りの話し

ザサァ

月明かりで見える揺れる地平線

船尾に座るエリックとアンス

「大丈夫かエリック」

「どうだかな」

エリックは手を後ろにつき空を見る

「リリアの言うこともわかるんだ…」

「そうか…」

「助けが来ない辛さもわかるし多分海帝国家が危機に直面してるのもわかる…ただ」

「それを考慮してもあの海人は信じるに足りない」

「嘘をつくにしてもあの話には辻褄が合わなすぎる」

「辻褄?」

エリックは前屈みに座る

「あいつの話を全て信じるなら犯行は夜中に行われている」

「結界魔術が張られた様子から内部に必ず魔力を使える奴がいた」

「魔力発生は前兆がある、それは結界魔術も同じだ」

「それを見逃す意味がわからない」

「王がいなくなっているが王妃は息子の前で殺されてたならなぜ子供を殺さなかったんだ」

「種族間のいざこざなら血縁関係が濃い息子なんて1番に殺されてるだろ」

「それにガキの話じゃ知らない誰かが通路に立っていたならそいつとあの大男はハチ合わなかったのか」

「もし魔術が使えなくても体技でいくらでも殺せると考えると護衛の副長はあっさり死んでるのが気になる」

「とまぁ言えばキリがないくらい不明な点がある」

「てことはこれはその場の創作、重要な部分を隠して自分が解決して欲しい所だけ抽出した」

「ただの傲慢の塊だ」

ヒュー

夜風が冷たく吹く

「お前はすごいなエリック」

アンスは少し嬉しそうに笑う

「そうか?」

「あぁそうとも」

「アトロスの時も死ぬやつを決めてるんじゃなく死なせないやつを選定してるって言ってたろ?」

「忘れたなそんな昔のこと」

はは

笑うアンス

「今だってそうなんだろ」

「お前の頭には死なせたくない人が生きるために思考を巡らせてる」

「それをリリアに素直に言えばあいつも少しはわかってくれるんじゃないか?」

ふっ

エリックは笑い下を向く

「どうだかな……」

「生きてくれって言ったって死んじまうやつは死ぬ」

「だったら最後まで死なせたくない奴には生きろって言うより死ぬなって脅した方が効果的に働くこともあんだよ」

「ただ言うタイミングを間違えればどっちも死期を早めることになる」

「言葉は慎重に選ばないと重さで相手を押し殺す」

バシ!

アンスはエリックの肩を叩く

「何言ってんだ」

「そんな細かい事言わずに俺には「ついて来い」で十分だぜエリック」

「多分他の奴らもおんなじだと思うぜ俺は」

ふっ

「能天気な奴らは単純で羨ましいよ」

アンスは立ち上がる

「たりめぇよ、考えるより胸の熱に従えば間違えねぇさ」

「明日はどうすんだ?」

「そうだな……」

「まぁあいつが納得できるように説得してみる」

「大人だなエリックは」

ふっ

笑うエリック

「俺が大人なんじゃねぇよ」

「お前らが子供なだけだ」

「それもそうだな」

「頼りにしてるぜおじさん」

アンスは階段を降り寝室へ向かう

「俺まだ28なんだけど………て」

「聞いてねぇか」

「十分おじさんだろ」

シュタ

上から落ちてきた大人イルマ

「見張りさせて悪かったな」

ポン

イルマは子供モードに変身する

「いや、僕が進んでやってることだ気に病むなよおじさん」

「うっせ」

…………

「で、聞いててどうよ?あの海人の話は」

「まぁ魔石越しだから不鮮明なところもあったかもしれないが」

イルマは考える

「まぁ言いたいことは多々あるが気になった点は王の所在だな」

「死体がなかった以上どこかに拉致監禁されている可能性がある、そんな状況で王子を連れ出して国外に逃げるのは得策ではなく愚策だと僕は思うかな」

「例え敵の手が内部に伸びていたとしても今まで国交を断絶していた陸人に手を借りるなんてどう考えても理解に苦しむ」

「じゃあお前はそれをどう考えるイルマ」

「簡単だな」

「王子にまつわる隠したい情報と状況がある」

「さっきエリックも言っていたが種族間のいざこざで血縁が濃い王子をそのままにするのはおかしい」

「ああいう立ち位置の小僧は民衆を味方にする最大のコマになるからな」

「生き残るってことは理由がいる……例えばあいつを生かしておく何か」

「それがわかれば全体が見える」

バタ

倒れるエリック

「あぁ……全くその通りだよイルマ」

「これは嫌味じゃないが、お前と話すと頭を使わずにすむ」

ぺた

イルマはエリックの横に座る

「ただあの海人を見ると国のため王子のために命をとして進んできたのが伝わる」

「多分あの海人は王子のために喜んで命を投げ打つ覚悟が見える」

「そう思うとリリアの言うことにも同情できる」

「もちろんエリック…お前の言うことにもな」

ふっ

「だから俺はもっとあの海人経験した本当の話を聞きたいんだよ」

「人ってもんは覚悟が決まれば簡単に誰のかのために死ねるんだよ」

「そうなのか?」

「あぁ」

エリックの目に映る輝く月

「一人の命が一人の命より重いことだってあるんだ」

「それは種族なんて関係ない」

「一人が死んでみんなが助かるかみんなが死んで一人が助かる……まぁ極論だがな」

…………

「僕の前なら泣いてもいいぞ?」

よっと

エリックは立ち上がる

「ふざけろ」

「泣いてる暇なんてねぇの、大人は考えることいっぱいあんだからよ」

「子供はさっさと寝ときな」

ビキィ

雷が走りイルマは大きくなる

「この姿なら泣いてくれるか?」

伸びだ髪から笑顔をのぞかせる

ぐしゃぐしゃ

エリックはイルマの頭を撫でる

「その発想が子供だって言ってんだよ」

階段へ歩き出す

「ありがとな」

「じゃおやすみ」

エリックは姿を消す

ぽん

子供に戻るイルマ

「礼なんて…」


「さぁ寝るか」

エリックはドアノブに手をかける

ガチャ

ギィ

!!

「ビッ…………クリしたぁ」

エリックの前にとんでもなく分厚い胸板

「まさかさっきの腹いせに俺を殺すのか?」

「グレシャ」

ドアの前で立ち尽くす海人グレシャ・ラーズ・ノマス

「いえ…先程の話を少し……いや大幅に修正させて欲しくここで待っていた」

「さっきアンスが通ったろ、よくあいつ悲鳴あげなかったな」

「あぁそれなら」

船内ドアの近くの扉を指差す

「海図室?」

「そこがどおしたんだ?」

「怖がらせても悪いかとそこで待っていた」

「エリックの魔力は感知しやすいからな」

ははは

苦笑いのエリック

「そうか」

「場所を移そう」


談話室

「美女とお酒を飲む最高体験をしてみない?」

………………

「なんでいんの?」

談話室へ入ると酒片手に二人を向かい入れるジェルダン

「そうだねぇ〜なんでだと思う?」

ニヤつく

「酔ってんのかお前」

がた

手に持つ樽を置く

「こんな一杯じゃ酔う酔わない以前の問題だよ」

あっ

「エリックは酔っちゃうんだっけ?」

「かわいいねぇ」

ダン!

酒が入った樽の前に足とそれを止める右手

「私の酒を蹴るなんてモテないぞ?」

「酒よりも美味しい飲み物は数えるだけで千は超えるって知ってるか?」

「このバカ舌が」

ふふふ

「ここまでにしよう」

「後ろで大男が呆然としてる」

エリックは後ろを向く

「え……ははは」

引きつり笑いのグレシャ

「早く座れよ大男」

「あ……はい」

テーブルに座る3人

「なぁエリック」

「あぁ?」

「リリア寝室ですごい思い詰めた顔してたぞ?」

「大丈夫かあの子は」

「さぁな」

「さっきのこのデカブツの話で助けようって思考になるのは良く言えば善人だが悪く言えば短絡的」

「いや、悪く言わなくても短絡的だな」

はぁ

「いいだろ別にそれがあいつだ」

「俺もいる」

「いつまでも一緒じゃないだろエリック」

…………………………

「俺が消えるまでに教えればいいだけだ」

「余計な詮索はするなジェルダン」

はぁ

呆れ顔のジェルダン

「まぁいいけど」


妙な間が流れる


「おっと……悪いね海人、君の話を聞く会だったねここは」

「さぁ聞かせてくれ、私は最後まで聞くよ余す所がなくなるまでね」






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