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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第1章  勇者の手記
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9話 いざ闇市場

三日目の朝

二人は自室で最終調整を行う

「闇市場が開かれるのは午後の24時からだ」

「エルブ・プレジャー北東にある裏口から入って大通りにある店『ヒジェ・クチ』のカウンターから入場する」



息を呑むリリア

「うん…」



「まず気をつけることは予期せぬ侵入者だ」

「予期せぬ侵入者?」



エリックは案内図を指差し

「ここエルブ・プレジャーは地下にいくつもの通路がある」

「こんなにあったら侵入なんて出入りし放題だろ」

「警備がいるにしても掻い潜る方法はいくらでもある」



案内図を見て頷くリリア

「うん…確かに」

「情報があるの?」



「いや、今の所誰かが狙ってるとかは聞いてない…」

「だが高確率で横槍が入る、そこだけは用心してくれ最悪の場合……」


リリアが問い詰める

「高確率って…今までの闇市場じゃ何もなかったんでしょ!」


うつむくエリック

「あぁそうなんだが……俺にはわかんだ、今回はなんかが仕組まれてる」

「殺し合いになる事も覚悟しておけよ」



無理やり納得するリリア

「…わかった、そこまで言うなら信じるよ」



……………

間が空く



エリックは下を向き

「なぁリリア……」


人を殺したことあるか?




「ある……」

うつむくリリア



エリックは立ち上がりリリアの肩に手をおく

「…………頼んだぞ」


……………うん



部屋の出口に立つエリック

「この部屋に22時集合な、それまでは…自由行動だ」



バタン



部屋に一人

「……はぁ、久しぶりに素振りでもしよ」




空が明るさを失っていく

エルブ・プレジャー郊外、森林の中でリリアはひたすら素振りをする

その目には昨日までの無邪気な目つきはなく、研ぎ澄まされた瞳へと変わっていた

「……よし」



集合時間になり二人は部屋に戻る



エリックは服を正し

「じゃ行く前に少しいいか?」


歩き始めようとした足を止めるリリア

「どうしたの?まだ確認?」


「いや、最初の大仕事…だからな」

「これから想像を遥かに超える事が起きる…だから俺からの忠告だ」

「感情には絶対に流されるなよ」



重々しい口調に背筋が伸びる

「わかってる、大丈夫」



フゥゥ

エリックは息を吐き、手をあげる

「じゃよろしく頼むぜ、相棒ちゃん」



パチン



「うん!こちらこそよろしく!」





エルブ・プレジャー北東、裏口


「ここだな」

陰からエリックとフードを被るリリア

「ねぇ、誰もいないじゃん」


「当たり前だろ、裏口に仲良く列でも作れってのか?」



先行するエリックの後をおうリリア

「別に聞いただけじゃん」


二人の目の前に巨漢の男がそびえたつ

「許可証を」



「ほれ」

エリックはカバンから紙を出す




……うん

「ではそこのお前、フードを取れ」


ドキッ


リリアの心臓は高速で動き出した



エリックは前に入り

「なんでお前に見せなきゃならないんだ?」


巨漢は声色ひとつ変えず

「それが規則だ」


「誰がその規則を作ってるんだ?」


「言うわけ……」

ダンバール

エリックの一言に巨漢の表情が曇る

「なぜマスターの名を知っている」



エリックは陽気な声で

「そうなのかあいつここのマスターだったんだ」

「俺のお得意さんだからてっきりNo.2、3かと思ってたよ」



巨漢は無言で道を開ける

そこを素通りする二人

「じゃアイツにもよろしくね『ケビック・デアラード』君」


「なっ……」

不気味そうにこちらを見るケビック

手を振るエリック



慌てるリリア

「ちょっと、何これ聞いてないんですけど!」



歩きながら余裕をかますエリック

「いやだってこんなの言うまでもないだろ」

「それに事前に言ってたら、お前へんな小芝居打つ可能性もあるからな」



「…………ちっ」

舌打ちで反抗心を示すリリア



園内は昼間とは真逆で音ひとつない空間だった

二人は例の店へと足をはこぶ



キィィィィ



開閉式のドアを押すと暗い店内

椅子は全て机に上げられており異様な雰囲気がある



「お待ちしておりました」


ビクッ


とっさに臨戦体制に入るリリア



ごつん


リリアの頭にチョップが入る

「ちょ何すんのよ」



「いいから力を抜け、まだ始まってねぇんだよ」


無表情のエリックを見て平静を保つリリア

カウンターにはバーテンダーがいる

「お待ちしておりました、シリュウ様の代理であるエリック様とメルティ様ですね」


エリックは堂々とした口調で

「あぁ、案内をたのむよ」



カウンターの扉を開け

「ではこちらにどうぞ」



中に入ると至って平凡な厨房

バーテンダーはランタンを手にし奥の壁に手をつける

「隠者の戯れ、彼の地に続け」



するとそこにあったはずの壁が消えて下に続く階段が現れた


リリアは驚き

「すごい、隠匿の詠唱魔術だ」



エリックは階段のそばに立ち

「感心してんなよ、はやくいくぞ」



足早に後を追う

階段を下がると両開きの重々しい扉があった



「案内は以上となります、帰りの際はまた別の者が来ますのでよろしくお願いいたします」



「あぁ、ありがとう」


扉の前には二人だけ

扉に手をかけるエリック

「なぁお前は俺を信用してくれるか?」


急な質問だったがリリアは

「安心して、逆にあんたしか信用できないから」

手をかけるリリア



エリックはリリアに向かって

「まぁ、またここで乗り物に乗れるよう最善を尽くそう」



それを受けリリアは

「えぇ、今度はもっと高い乗り物に乗りましょう!」



ドォォォォォォォ



扉は開き

闇市場が眼前に広がる


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