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[二部三章]初恋

もうすぐ90話になりますね‥‥‥100話で何かしようかな


きさらぎ駅の時に出会った人間にまた出会ってしまった。

と思ったら買収した学園の、しかも同じクラスに在籍しているとは全く以て想定の範囲外だった。

しかも、彼は集会の最中私を連れだして屋上へと向かう。


『ね、ねぇ、話なら放課後に、それに、私君に会う気無かったのに、』


「ふふ、でも会えたのは運命なんじゃない?それに、授業は少しくらいさぼっても問題ないよ。単位は嫌って程足りてるからさ。」


彼はとてもとても楽しそうに言う。

何故だろう。私にはそれが不思議でならない。


『‥‥‥‥、話があるなら聞くけど、何?』


そう問いかけると、彼は不思議そうに小首をかしげてから言った。


「特にないよ。君とおしゃべりしたかったんだ。ずっと。」


『私と?』


表情の変わらない、変えられない私と話していて何が楽しいのだろうか。

困惑しか浮かばないけれど、彼は非常に楽しそうだ。


「あの日から、ずっと忘れられなかったんだよ。いつかまた会えないかなって夢にも見た。そうしたらこうして会えちゃったんだ、君と!嬉しいな。」


疑問しか浮かばない。浮かばないけれど、彼の言っていることは本音なんだろう。だって、こんなにも楽しそうに、嬉しそうに話すから。

こんな人間は初めてだ。だけど、あくまでも彼は人間だ。そんなに頻繁に会っているといつか事件に巻き込まれてしまうだろう。


『‥‥‥‥そう、私は特に話すこともない。都市伝説とかで調べ物があったから、この学校に入っただけだし。』


だから、冷たくあしらう。

ちょっと、可愛そうだけれど。


「へぇ、この間の‥‥‥‥きさらぎ駅?みたいなことがこの街でも起こるってこと?」


『そう。だから、』


離れてくれないかな、そう続けようとしたのだけれど。


「ならさ、協力させてくれないかな。その調子だと、まともに授業受ける気元からなさそうだし。」


‥‥‥‥‥どうしよう。この人間、私から離れようとか、怖れとか、そう言った感情が全く見受けられない。それどころか、全部本気でそう思って言ってる。


『‥‥‥‥‥‥‥‥‥あんまり、一般人巻き込みたくないんだけど。それでも協力するっていうの?』


少し、冷たすぎるかもしれない返答を返す。

けれど彼は嬉しそうに即刻頷いた。


「うん!」


‥‥‥‥‥こうなったらてこでも動かなさそうだ。

それならば、現場を見て無理だと悟ってもらうしかないだろう。‥‥‥狂気に陥らないといいけど。


『無理しなければ、別にいいけど。』


「無理してないよ?」


即答できょとんとした顔で返してくる。


『普通の人間は相手するだけで正気を失う相手と戦うんだよ。君は普通の人間なんじゃないの?だったら、狂気に陥るのも時間の問題でしょ。』


そう言うと、意外な答えが返ってきた。


「大丈夫だよ、君がいるもん。」


『‥‥‥‥‥別に、私は戦闘時に君を守ったりなんかしない。それでもいいって?』


「いてくれるだけでいいんだよ。」


なんだろう、なんでだろう、それは。

理解ができない。


『変なの。』


そう呟くと、彼は微笑んだ。


「あはは、今は分からないかもね。」


『今は?』


言い方に引っ掛かりを覚えて問い返すと、得意げな顔をして彼は笑う。


『‥‥‥‥‥君の考えていることがよく分からない、寿文人。どうして君はそんなにも楽しそうなの?』


「君がいるから。」


また、同じ返答。


『なに、それ。』


言葉に込められた熱の意味が理解できない。


「一目惚れだってば。えへへ、恥ずかしいな。」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥?ひとめぼれ


『ひとめぼれ、ってなに?』


そう問うと、彼は不思議そうな顔をして言った。


「一目見ただけで好きになること。愛って分かるかな。」


‥‥‥‥‥‥‥どうしよう、彼が宇宙人か何かに思えてきた。どちらかと言えば私がそうなのに。


『‥‥‥‥‥あい?好き、は分かるけど。』


「愛っていうのはね、付き合いたい、結婚したい、みたいな感じ。その人の事を思うと胸がきゅーってするの。」


知らない単語がたくさん出て来すぎて訳が分からない。


『????????わかんない、何言って』


「あーはいはい、ちょーっとごめんねぇ」


唐突に、内亜が影から出てくると、私の耳を塞ぐ。

一体、何を話そうとしているのだろうか。




———————————




全く、我らが契約者の外見の良さは分かっているからこういうやつが出てくるのは分かっていたことだけれど。

‥‥‥‥本当に運命のようなものだ。ノワールと話していたことが現実になるだなんて。


「誰?」


不機嫌さを隠そうともせずに急に現れた僕を睨みつける青年。

彼の事は、ノワールが調べてくれた。

それに、‥‥‥‥‥‥少し。思うところがある。

けれど今はその前段階の話だ。


『悪いんだけどさ、内の契約者に変なこと吹き込まないでくれない?』


「変な事じゃないよ、なんで変なことだと思うのさ。」


そう、変なことではない。‥‥‥‥本来ならば、だけれど。

だから、僕はこの青年を試してみたくなった。だから


『僕の名前は天海内亜。この子の保護者兼契約者さ。』


「契約者?」


『そ、契約者。ずっと昔から葵と一緒にいる相棒でもあるね。で、さっきから恋だの愛だのの話をしてたけど、そういうの、正直葵にはまだ早いと思うんだよねぇ。』


「何を見てそんなこと言うのさ、急に出てきてさ。」


そりゃそうだ、そう言えば、姿を一度も見せてなかった。


『あっはっは、ごめんごめん。葵と僕は二人で一人みたいなもの。ほら、きさらぎ駅での黒い翼、あれが僕だよ。普段は葵の影に潜んで、こういう時には外に出てくるんだ。』


「ふぅん。ファンタジーみたいだね。」


言い得て妙なことを言う。

確かにファンタジックに感じるのは仕方がない。けれど


『ファンタジーは一種の現実なのさ。人と人ならざる者はすれ違ったり、交わったりするもの。ほら、今みたいにね。』


「ふぅん?よく分かんないけど。」


さて、ここからが重要な問いになる。この場の全員にとって、ね。


『んで、なぁんでまた僕の契約者に惚れたわけ?』


「一目惚れに理由なんているの?無粋な質問だね。」


そりゃ、そういう質問を選んでいるからね。なんてことはおくびにも出さずにおく。


『この子の精神年齢は三歳児と同程度なんだけど。それを理解してて言ってるのかなぁ、君。』


分かる訳もない質問をする。彼を試すためだけに。


「そんなの知らないよ、何で知ってる体で話してくるのさ、君。」


そりゃそうだ、知らないことを聞いているんだからね、なんてことは言わないで置く。


『そう、じゃあ、あまり深くかかわらないでくれないかなぁ、少なくとも、僕より弱い人間なんかに葵を託す気は無い。』


そう言って彼を軽く睨みつける。

すると、彼の方もこちらを睨みつけてくる。

ちゃんとした自我があるようで何よりだ。


「渡す渡さないの問題なわけ?子離れできてない脳みそ砂糖漬けのお兄さん。」


思わず笑いだしそうになってしまったけど必死でそれを堪える。

ここで笑ってしまったらお終いだからね。


『今、この子はとても大きな問題を抱えている。だから、それを増やしたくなくってさ。恋だの愛だので混乱させたくないから引いて欲しいんだけど?』


敢えて挑発的に彼に対して言ってみる。すると、彼の雰囲気が少し変わった。


(へぇ、空気を読む能力はある訳だ。)


内心で感心しつつ、それを表に出さずに彼の言葉を待つ。


「‥‥‥‥‥大きなものって?」


『それは言えないなぁ、それこそ、その話をするならこの星の根源から話をしないといけない。

それに、そうだね。この子と恋だの愛だのを育みたかったら、“この星全部”相手にする覚悟でいないといけない。』


ここで啖呵を切ってくるなら無謀、でも


「?壮大すぎて理解できない。どういうこと?」


彼は、ちゃんと知らないことは知らないと言ってきた。

やるじゃん、内心でそう思いつつ、僕は道化を演じる。演じ続ける。


『本当に言葉のままさ。この子は神々に愛されすぎている。故に試練もいっぱいあるのさ、ほら、ギリシャ神話なんて特にそうでしょ。』


「僕が恋するのも試練になりうるってわけ?」


『ま、そんなとこ。とにかく、やることがめちゃくちゃ多いうえ、こんな幼い見た目勝つ精神も幼い子に手を出すとかロリコン?って聞きたくなるんだけど。』


ちょっとしたこれは本音。‥‥‥‥きっとそうじゃないのは、分かってる。


「ロリコンなんかじゃないよ、そうだったら子供みんな愛してることになっちゃうじゃん。」


『そこまでは言ってなくないかなぁ??とにかくだよ、葵自身が恋とか愛とか、そういうのに興味を以て、その相手に君を選びでもしない限り、君が気軽に葵に声をかけることは許さない。ちなみに、もっともっとこわぁい人もいるから気を付けることだね。』


ネフィウスなんか特に即刻首切り落としそう。

なんていうのは言わないでおく。そして、葵の耳から手を放す。


「内亜、何話してたのか知りたい。」


『ん~?こわーい保護者がいるぞーって話。』


「もっと怖い人?」


意味が分からないという顔をする青年。そりゃそうだ。僕も正直初めて会った時はぞっとしたもん。


『この子のお師匠様二人。人類史最強。』


「やめてよ、流石にそれは言いすぎじゃない?」


そう言いたくなる気持ちもわかる。けれど


「若狭とネフィーは最強だもん。」


葵がふくれっ面になった。

うん、誰よりも彼らの強さをわかっているのは葵だしね。


「誰か知らないけど‥‥‥‥なんか、君と出会った時が出会った時だから、納得せざるを得ないよ。」


そう言って笑う青年。‥‥‥‥‥全く、もう少し無謀だったら良かったのにと思わずにはいられない。


「私の比にならないくらい強いんだ。剣術はね、君の比にならないくらい。」


「へぇ、その人も何にもない場所から物を出したりするの?」


「それは内亜の能力、で、二人はそんなことしないよ。片方は人間だもん‥‥‥‥多分。」


うん、確かに多分だね。若狭は‥‥‥‥彼は、きっとアース・プラネットとかいう精神体の護衛だって聞いたから、純粋な人間ではないはず。


「多分って何?!」


「え、だって何百年か生きてるし。‥‥‥当人曰く、修行積んだらそうなる、仙人のようなものだ。だってさ。生きている間の事については歴史資料館なんかに行ったりするよりよっぽど価値のある話が聞けるよ。」


なんだろう。なんだかすごく安心する。

葵と、青年、文人君だっけか。‥‥‥‥二人の会話は、とても聞いてて心地よくて。

あぁ、彼なら任せられるなぁ、なんて、思ってしまった。



そう言えば、アクセス解析?を見れることに気が付いたので見てみたら、ユニークの人数が1100人を突破していました。

え、1000人の時に何かすればよかった‥‥‥‥‥‥‥‥‥

というかそこまで多くの方に見てもらえているとは思わず。

本当に皆様ありがとうございます。ブックマーク登録者様も一名いらっしゃるようですし、途切れずの更新を目指しますね。‥‥‥‥‥体調の許す限り。

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