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[五章]彼方よりの来訪者【ⅩⅥ話】

16話。五章最終話になります。


「い、つから、気づいてたです、か」


少女は警戒したようにこちらを見ている。

エメラルドグリーンの髪と瞳。そりゃこの色ならあの神様も気にいるわけだ。


『んー、君が通りすがって、聞き耳立て始めたくらいから』


「最初からじゃないですか?!」


『そうとも言う。』


少女はため息をつくと、鋭い視線をこちらに向けてきた。


「“あそこ”から連れ出してくれたことについては感謝してるです。けど、まだ信用できないです。だから、あなた達が知りたいこと答える代わりに————」


『うん、私達も質問に答えればいいんでしょ。別にいいよ。ほら、入って入って。』


そう言いながら少女の背中を押す私。


「あ、ちょ、待ってくださいです、まだ何も言ってない————」


少女の言葉を聞き流して私は椅子と机を用意する。


そして、にっこりと微笑んで聞きたかったことを問う。


『君さ。“神と会話”したよね。』


「、な‥‥‥んで‥‥‥」


『そのうえで君の身体は神様の力を閉じ込める器の役割を果たしている。“人間”であったはずの君が外なる神、トゥールスチャを制御している。トゥールスチャの願いを聞き届ける代わりに。違う?』


少女はぐっと悔しそうに唇を噛みしめる。隠していたはずの手札を殆どさらけ出されたも同じ状態。最初から自分に選択権などなかったのかと悔しそうにする彼女。


「なぜそこまで分かるですか。本当じゃないかもしれないじゃないですか。そもそもどこからそんな情報得たんですか。」


こてんと小首をかしげてから私は笑みを浮かべて答える。


『初歩的な事じゃない。それに、その反応が何よりの証拠だわ。』


「ねぇ待っていつの間に葵ちゃんあんなに怖くなったの誰の影響あれ」


「いや、ぼくしらないなぁ?なんだろう、確かに葵も悪魔の一部持ってるんだなぁって思うよ。」


なんか失礼な会話されている気がするけれど今はそれどころじゃあない。


「全部お見通しってことですか‥‥‥‥確かに、私は“神様”と会話しました。確かに取引もしました。けど内容までは」


『簡単なことだよ、君。“外を見て歩きたい”。そのためにはいつか、力が制御できるようになった時に“教団の潰し方”を教えてあげる、でしょ?』


「何でそこまで分かってるですか!?!!?!?」


『あ、やっぱりあってたんだ。ブラフだったんだけど。』


「あ゛。」


私の推理というか推測だけれど、まず彼女に適性があったこと自体はたまたまだと思う。けれど、神様の力を借りる、そのやり方は彼女自身は分かっていないんだろうなと思った。

だから、きっと神の方から意識に直接接触してくるはず。だって、私と内亜がそうだったから。

それに、トゥールスチャはその“地点”に根付いて辺りの生命力を奪い顕現する。つまり、“動けない”神様なのだ。

それなら願うことは簡単。世界の滅亡なんかなら器である少女を壊して出てくればいい。けれどそれをしないなら、少女に「生かしてやるから世界を見回って自分に地球を観察させろ」とでも言うに違いない。

だってそうじゃないと全てつじつまが合わない。

確信を持ったのは、少女に“火傷跡”がなかったことだ。

完全な協力者でもない限り、トゥールスチャ、生ける炎をその見に宿して安定するのはいくら適性があれど難しいはず。


「んね、葵」


『?』


「いつから名探偵になったの?」


『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥っふふ』


思わず笑ってしまった。

内亜にそんなことを言われる日が来るとは思ってもみなかったから。


「もう‥‥‥‥‥正直これ以上強気に出れるビジョンがないのですが‥‥‥」


「いやぁ、流石に僕でも無理だからキミじゃあ無理だと思うよぉ。

あ、遅くなったけどよろしくね、僕は天海 内亜。あくまでニャルラトホテプさ。」


そう言って手を差し伸べる内亜を警戒する少女。


「そこの彼を疑うというか、信用しすぎないのは賛成かも‥‥‥」


ボソッと呟く未希ねぇ。確かにニャルラトホテプを信用したら通常いいことなんて何一つとしてない。


「なぁんか傷つく‥‥‥‥‥」


そう言ってしょんぼりしてみせる内亜。けれど私の角度からじゃ覆った手の隙間から彼が嗤っているのが分かってしまう。


『はい、さっさと本題に入ろ。で、トゥールスチャ。聞いてるんでしょう。何か私が安定する方法とかないの。』


少女の肩が跳ねる。


「‥‥‥‥‥えっと?」


『えっと。ストリートチルドレンだからきっと名前ないよね。なんて呼べばいいかな。私はさっきから呼ばれてるんだけど天音 葵だよ。』


「‥‥‥‥‥‥‥スゥ、とでも。」


『うん、じゃあスゥ、トゥールスチャと代わって?』


沈黙が下りる。


「あはは、葵まさかトゥールスチャとこの子が意識を共存しているとでも」


「これ以上の話し合いは無駄だな。神々に愛されし子よ。何が聞きたい。」


内亜がから笑いした直後、少女、スゥの雰囲気がガラッと変わる。

部屋の空気が一気に重たくなる。


「え、本当に神様呼び出しちゃったの、葵ちゃん。」


『ずっと最初からいたでしょ。だって、じゃなかったら世界見て回るなんてできない。』


「「確かに‥‥‥‥‥‥」」


二人が呟く。未希ねぇは仕方がないとしても、内亜にはもっと早くに気付いて欲しかった。

そう少しだけ悲しく思いつつ、スゥの方を見る。


『確認をまず取りたい。トゥールスチャ、君はその子と現状契約を結んで利害の一致状態で協力関係にある。おーけー?』


「相違ないな。」


『じゃあ質問。トゥールスチャの特性を、君たちはどうやって封じているの?』


「‥‥‥‥‥貴殿が聞きたかった事はそれか。得心が云った。我々は、トゥールスチャとしての特性をスゥという人物が利用する“魔術”と定めている。これで貴殿には伝わるであろう。」


『じゃあ、私が“ぐちゃぐちゃな存在色々”を、私の使用する“魔術”と概念化、私は普段は魔力のすっごい多い存在。こう定義することで問題ないね?』


トゥールスチャは静かに頷くと、部屋の空気が一気に軽くなった。


「っぷはぁ、息詰まる‥‥‥よく平気だったね、葵ちゃん」


未希ねぇが伸びをしながら言う。


「葵には耐性があるから平気でしょ。それよりおかえり、でいいの?」


内亜がそう言って黙ってこちらを見守るスゥへと声をかける。


「‥‥‥‥‥‥はい、問題ないのです。」


そしてスゥはこちらを見ると、首をかしげながら言った。


「これできっと貴女は助かるですか。」


『んー、糸口が見えた、といった感じかな。とりあえず次の行き先は決まったよ。』


私がそう言うと、スゥは少し安心したようだった。


「そう、ですか。」


「さぁてと、そんじゃ、作戦会議と行こうか?わが契約者サマ?」


『うん。いろいろ終わらせてからになるけど。』


さて、次の行き先への準備をしなくては、と。

私はある覚悟を決めて静かに覚悟を決めた。


『久しぶりだなぁ‥‥‥‥、会うの何年ぶりだろう。』


とある人物の事を思い、一瞬震えが走ったが、仕方がない。




———————————




いつまで、ここにいればいいのだろう。


意識が落ちた後、暫くして意識が再浮上し、考える。


呼吸、という行為が、長い、長い間できない。


それは特に問題にはならない。


私の一部、には、ここでも呼吸ができるようだったから。


けれど、どう動いたらいいのか分からない。


考えていると、■が教えてくれた。


これは、“湖”だというらしいことを。


“湖”とは、たくさんの“水”が溜まってできたものだと。


そこでは、陸上の生物は呼吸ができないらしい。


どうしたらいいか分からない。


そのままぼうっとしていると、■が、“泳ぐ”ということを教えてくれた。


言われたとおりに進んでみる。


行動できることが分かったので、そのまま進む。


すると、わたしの“一部”に出会った。


私の一部はどうやらこの中を住処にしているようだった。


その一部は、私に言った。


「手を貸してほしい」


と。


■が許可すると言ったので、私はその言われたとおりの事をすることにした。



さて、殺したいけど死んでほしくない柱達RTAの方々、成果はいかがでしたか?

昨日はずっと柱で遊んでいたので今日は投稿をと思ったのですが、ちょっと腰と肩がやばいのでエピローグと幕間を投稿して終了にします。

誰かPC使う時にいい体勢教えてください。


それから幕間についてですが、完全に趣味です。

なので、感想やTwitterなどで“こういうシーンが見たい!”というご意見があればお答えしていこうかなと思います。

獅噛は現状Skebで依頼募集しているので、私は文章で何かそういうものがあればいいなとか思いながらここ最近を過ごしています。

ましゅまろ?とか、使ってみたらどなたか感想とか匿名でくださるかなぁ。

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