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[五章]彼方よりの来訪者【Ⅻ話】

長い章になります。解説込々回ですね


『んで、容体は?』


俺は未希とかいう葵の姉を名乗る少女に問う。

ちなみにノワールはずっとそわそわしていたけれど、マスターが目覚めた時に何もしてなかったら怒られるからなどと言って店の方で接客中だ。(情報収集中ともいう)


「うん、正直あの場で君が許可してくれてなかったら“壊れ”ててもおかしくなかったかもね。」


脈を測ったり、体のあちこちを診ながら彼女は言う。


『壊れるって、そんなんじゃまるで葵がからくり人形みたいじゃん。』


俺がそう言うと、彼女は手を止めてこちらを見ると小首をかしげた。


「あれ、葵ちゃんが何だか君知らないの?」


『葵は葵でしょ。それ以上に何かあるの?魔力高いなとは思ってるけど。』


ぶっきらぼうにそう答えると、彼女は少し考えるそぶりを見せてから言った。


「じゃあ、そうだね。葵ちゃんが目覚めるまでしばらくかかると思うから、昔話を聞かせてあげる。」



——————————



キミはなんだったっけ?あぁ、あくまでニャルラトホテプ。悪魔で、ね。成程、だから葵ちゃんがある程度安定していたわけだ。

あぁ、ごめんね。状態確認のためだから、ちゃんと話すよ。


私の名前は“天音 未希”(あまね みき)。カミサマたちが造り出した生命体だよ。

なんだっけな、私は天使の性質と妖精の性質を組み込まれた存在。そのほかは混ぜるの失敗しちゃったんだってさ。

え?神様がどんな外見してるかとかは、そうだね、不定形の、それこそその見た人物が“神”だと思うような見た目になる性質を持っているから、どんな姿かは言っても無駄かも。君のニャルラトホテプがその性質が近いからわかりやすいんじゃない?


で。そう。葵ちゃんだよね。葵ちゃんはね、簡単に言えば“存在する全て”の存在を混ぜ合わせた存在だよ。

不可能だろうって?私もそう思った。けど、これが成功しちゃったんだなぁ。

神様たちが、自分たちの力の持ちうる限りを尽くして様々な存在を奇跡的に一つの存在にまとめ上げたのが葵ちゃん。

なんでつくられたか、かぁ。

たしか、出来る限りを尽くし、やれることの限界を知りたかった。そんな神様もいれば、

どんな化け物や人間を相手にしても問題ない、弱点のない存在を造って地上に降り立つ時の容器にしたいとか、使者にしたいとか、観測者にしたいとか。

あぁ、君の憤る気持ちは分かるよ。けれど、いずれ滅びゆく生命体を救う“何か”になってほしかったのもあるってさ。

だから私は自分の意見は半々。それがあったからこそ葵ちゃんがいるし、そんなエゴに葵ちゃんが巻き込まれたっていう気持ちもある。

わたしたちは3人姉妹でね、一番上のおねえちゃんがいて、私がいて、葵ちゃんがいるの。

ん?一番上の姉の事が知りたい?

んーむ、結論から言うと無理だね。覚えてない、というかその記憶が“損傷”してる。

けれど、姉妹仲は良かったよ。3人で神様のもとで遊んでたし。

けどさ、知っての通り神様っていいやつってわけでもないんだよね。

神様同士の戦争に巻き込まれかけた私たち二人を、一番上の姉が助けてくれた。

どうやってってそりゃ、お空から背中押してぽーいって。

本当は二人一緒にいさせようとしたんだろうけど邪魔が入ってね、私は落ちてきてからずぅっと葵ちゃんを探してたわけです。

ん?髪色と目の色ねぇ‥‥‥それもわからないが正解

元々は私と同じ色だったよ。けど、葵ちゃんはきっとお空のどこかで“引っかかっちゃった”んだと思う。

中途半端な場所に落っこちたから、それと、きっと拾ってくれた人‥‥‥神様かもだけど。

その人たちが、お空の上の一番偉い嫌な連中から隠すためにお空の色に染めたんだと思う。

ま、これは私の憶測でしかないけど。

けど、葵ちゃんは人類が繁栄し始めてからの記憶しかないわけでしょ。

私は繁栄する前からいたからねぇ‥‥‥‥うん、暇だった。

さて、話が少し脱線したから戻すよ。

葵ちゃんがこうなったのはきっと、私の見た目がトリガー。

ここ最近で何か、“自分が何者か”って疑問を持っちゃったんじゃないかな。

一番上の姉がそう考えちゃわないようにどうにかしてくれてたはずだったんだけどね。

そして、元々神様に創られた当初は葵ちゃんにココロなんてものは与えられていなかった。

それが恐らく存在としてのバランスを崩すと思ったんだと思う。実際、そうなっちゃったわけだしね。

ねぇねぇ、ニャルラトホテプって999の顔を持つとかいうカメレオンみたいな存在だよねえ。

あ、そんなこと言うなって顔した。

良かったらさ、葵ちゃんが目を覚ました時に驚かないように、私の外見変えるの手伝ってくれない?

え?できると思うよ。妖精が混ざってるって言ったでしょ。結構幅が広いんだなぁこれが。

その分器用貧乏だけど、天使の存在のおかげで、治癒の力には恵まれたから良かったね。

希望の見た目?そうだなぁ。葵ちゃんと姉妹っぽい色がいい。

ふふ、私が葵ちゃんに嫉妬心とかで危害加えないか心配?

それは無いよ。だって、天使と妖精の力持っただけでも結構きっつい実験付き合わされたんだもん。

葵ちゃんがどんな扱いされてたかは、知らされてない。

それに当時は葵ちゃんに感情ってものがなかったから。

きっと、君や拾ってくれた誰かにはすごく感謝してる。葵ちゃんも、私も。

さて、話はこれくらいで十分かな。

一応喧嘩してた性質の部分は補ったし、後は葵ちゃん次第。

まだ目覚めには時間がかかると思うけれど、ちゃんと目を覚ますよ。でも、葵ちゃんが自分が何者であるか、しっかりとした自意識を持たないと、またこうなってしまうと思う。

そうなったら、今度はもしかしたら手の施しようが無くなっちゃってるかもしれない。それは覚えておいて。


‥‥‥‥‥‥‥ん?



———————————



『葵は、色んな力があるかもしれない。けど。どんな存在が混ざってて、どんなに危険な存在だったとしても。葵は、葵だよ。』


一通りの話を聞いた後、俺は確信を持ってそう言った。


すると彼女(結局外見変えるの手伝わされた。)は、微笑んで言った。


「ありがとう。君が葵ちゃんの相棒でいてくれて。」





全部っていうのは、そう。人間も異形も神様も全部ってことです。

勿論クトゥルフ神話の神様たちも、ケルト神話の神様も、ギリシャ神話の英雄も、神様も。

簡単に言うと某英霊と契約する系ジャンルの大聖杯が意識を持ったようなもんです(

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