表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/246

[五章]彼方よりの来訪者【Ⅵ話】

六話目です。情報量が多いかも‥‥‥


「この辺りの人間すべて格納してから考えれば良いのでは?」


聞いた相手が間違っていた。私はそう確信した。


『や、そんなことしたら何にも罪のない人間が巻き込まれるから却下。それに町全体を飲み込むのは以前に一度やったけど、何か内亜に負担かかったみたいだし。』


ぴくっと反応する内亜。バレていないとでも思っていたのだろうか。


「罪のない人間?私少々興味があります。存在するのですか?存在自体が罪であり罪を重ねることで繁栄する種族に。

それにその下僕だって酷使するべきでしょう、こういう時には特に。」


ノワールは非常に純粋な問いとして私に投げかけてきたつもりだろうけれど


『えぇと罪ってそういうのだけじゃなくてね、ほら、子供とか生まれたばかりじゃ何もしてない、ってそんな話じゃなくて、うぅぅぅ‥‥‥、えっと、そういう話は今はしてないかな!

あと、内亜はノワールと同じく、相棒だからね。』


あまりにも視点が違いすぎる!!


「あー、ほら、だぁから悪魔の王様はダメなんだよ、ほら、人間に染まってみないと分かんないこといっぱいあるから遊ぼうよ色々。」


『内亜は内亜でその遊びが何かにもよるけど嫌な予感しかしないからダメ。』


私達は作戦会議のために集まった、そう把握していたはずなのだけれど、何故だろう、話が始まりすらしない。


『まず!人間たちがどこに格納されているのかを発見次第解放!救えない状態の人間は埋葬、そして目標はアーティファクトの回収と“器”の状態の確認、それからその組織を潰すこと!』


私は一度話を進めるために強引に宣言した。


「アーティファクトの回収ねぇ‥‥‥‥」


『はい内亜、回収したら倉庫にしまうからね。内亜に渡したらノワールに使いそう。』


「んぇ、バレた?」


てへっという効果音が付きそうなとぼけ方をする内亜。


「おや、そのアーティファクトがそもそも効くかも疑問ですが私に使ったところで貴方はまた無様に負けるだけですよ、ゴミムシのように扱って差し上げましょうか」


『ノワールも見え透いた挑発に乗らない。‥‥‥んで、魔力封じのアーティファクトの力って実際どんなものなの?』


私は内亜に確認を取ってみる。

内亜は腕を組んで暫く瞳を閉じた。


「正直感じた力自体は弱かったんだけどね、そもそもの構成がどんなものかによって効果が変わるんだからまた困ったもんなんだよねぇ。」


「あぁ、なるほど。」


「んでしょ?」


悪魔二人、勝手に納得しないでほしい。


「んや、例えばだけどさ、東洋の‥‥‥陰陽道だっけ?そういう系統で作られていたら、まず西洋系の悪魔やら神話生物やらには効かない。けど逆に、十字架とか西洋の魔除けは東洋の鬼に通用しない‥‥‥‥って言って分かる?葵。」


内亜が補足として説明を入れてくれた。


『‥‥‥使われる側とか使う側が理解しているか否かで効果が変わるってこと?』


「はいマスター。その通りですが一点補足を。理解の有無だけでなく、相性などの都合もございますのでさらに話は複雑化します。」


ノワールが肯定しつつ解説を入れてくれる。


『相性、かぁ。ちょっとピンとこないんだけど。』


そう私が首をかしげていると、内亜が図に書いて解説をしてくれた。


「まずさ、ノワールとの戦闘もそうだったけど、混ざりものってそれぞれの特性を持つ代わりに器用貧乏になっちゃうんだよね。だから、悔しいけどノワールの方が悪魔としては上。」


悔しいけど、のところでものすごいノワールの事見つめているから本気で悔しかったんだろうなぁなんて思っていると、視線の先のノワールが涼しい顔をして言った。


「ですが混ざりものの利点もございます。例えば、混ざったものの側面を相手に見せていなければ不意を突くことができたりするでしょう。私に通用しなかったのは、私の悪魔としての格が高く、不純物が混ざっていることをはじめから分かっていたから勝てた、といった具合です。

それ以外にも、弱点に変化が起きます。」


『んぇ、弱点?』


私が首をかしげると、二人は顔を見合わせた後、内亜が影から二本の小瓶を出してこちらへ放り投げてきた。

慌ててキャッチして中身を確認するが、一見無色透明の水のように見える。


「それ、聖水なんだけどさ、中身おんなじなの確認してから、俺たち二人の手にかけてみて。」


聖水なんていつの間に手に入れたのだろうかと思いつつ、においや感じる気配から、全く同一のものであることを確認し、二人の差し出す手に一滴ずつ同時に垂らしてみる。


すると、内亜の方の手の甲には小さな水ぶくれができた。

しかし、ノワールの方はというと


『わ、わわわわわ、ちょ、これどうしたら』


内亜に起きた反応とは対照的に、聖水を垂らした場所が酷いやけどのようになり、しかもその範囲が見る見るうちに広がっていった。


私はあわてて何かないかを探るが、ノワールが何か呪文を唱えると、一瞬で焼けただれたようになった皮膚が元通りになった。


「貴方、結構高位の聖水使いましたね。割と痛かったですよ。」


ジトリと横目で内亜を睨むノワール。


「てへ。ま、葵に分かりやすい方がよかったんだから良いじゃん良いじゃん。

んね、これで分かったと思うけど、存在が純粋であればあるほど、弱点も強く表れるってわけ。

そうだなぁ‥‥‥吸血鬼なんかだと、純粋な吸血鬼は日光で余裕で灰になるけど血が薄ければ日光浴だって楽しめる吸血鬼もいる、って感じ?」


内亜の方も、影で一瞬傷を覆った瞬間に治療が完了したらしい。


『はぇー、なぁるほど。』


なんとなく理解できた気がする。


『ちなみに、感じたアーティファクトの気配はどんなのだったの?』


そう私が聞いてみると、内亜は少し考えてから答えた。


「ま、今回の件でなんとなぁく想像はついてたけどニャルラトホテプとしての勘の方がぴりってしたから、多分そっち特化。でもそれにしては弱い気配というかなんというか、危機感を感じたんだよねぇ、何でだろう。」


まぁ確かに、クトゥルフ神話に対して特に効力のあるアーティファクトなら、ノワールに行ってもらえば被害はなく解決(いやそれでもノワールだからいろいろ怖いけど。)解決する気もする。


『んー、その辺りからまず調べるしかないね。』


ちまちまとしか情報が出てこないのが焦りを生むが、あまり深く考えすぎてもよくない。


私達は取り合えず、夜に内亜と街を探索してみることにした。





先日告知したツイッターですが、何とか苦戦しつつ現在作業中です、恐らく明日にはあらすじのところにも載せられるんじゃないかなと

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ