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[四章]フォレ・ノワール【終章】

エピローグです。


「あーおーいー、俺今回出番全くなかったし色々聞きたいことあるんだけどぉ????」


クローネが眠りについた後、これからの旅先を決めるための話し合いで内亜がわめく。


「貴方が負けて手も足も出なかったのが問題なのでは?マスターにおかれましては、それはそれは美しく可憐な活躍をなさっておりましたよ。」


「おーまーえーにーいーわーれーたーくーなーいー!!あーのねぇ、あの人間がいたからずぅぅぅっと黙ってたけど葵と俺に対する態度違い過ぎない??なぁに?セ・ン・パ・イに対する敬意とかないわけ????」


「いえ?強者と主への忠誠心や尊敬の念は抱いておりますよ?」


『あー、二人ともー‥‥‥‥‥』


「つまり俺はその範囲に入ってないって????ねぇ葵こんな奴投げて二人で旅に出ようよこれからこいつがついてくるって考えたら本気で腸煮えくりかえってきたんですけどぉ?????」


「きちんと立場を弁えることは良いことですが、マスターへの口調がなっておりませんね、窒息させて何も話せないようにして差し上げましょうか面倒ですけれども」


『おーい、おーい‥‥‥‥‥。』


「はぁ?!なぁにその余裕ぶっこいた表情いいじゃん表出ろよ相手になってやるからさぁ?」


このように、私を置いて喧嘩が加速する。

二人の相性が悪いのだろうとは思っていたがここまで悪いとは想定の範囲外だった。


『二人とも黙って、五月蠅い。』


「だぁーってあおいー」


『分かってる。ノワールは口調を改めて。これからは仲間になるんだから。』


「かしこまりました。ご命令とあらば。」


「何、此奴やっぱ同行すんの?!嫌だ嫌だ本気で嫌!!」


『内亜、黙って。』


そう言って少し二人を黙らせる。


『いい?内亜。ノワールにはこれから同行してもらうわけじゃないから。』


「はぇ?」


きょとんとした顔をする内亜。

私はため息をついてから説明をする。


『今まで私達の旅って大抵野宿か依頼人の家に泊まったりだったでしょ。でもそれだと荷物は内亜の影に入る分しか持てないし、落ち着いて休める場所もない。だからノワールにその辺り何とかしてもらおうと思って。』


「ふぅん?」


『まずキーになるのが二つ。一つはノワールの空間術式。これについて聞いてみたんだ。一つの扉をどこか別の場所へつなげるとしたらどれくらいの距離まで行けるかって。そしたら』


「限度などありませんよ。中間の距離空間を切除して空間同士をつなげる術式を組めばいいだけですから。」


通常それができないから他の存在は苦労するのだが、この悪魔、その所を分かっていないのである。


『‥‥‥解説ありがと。まぁ、そういうこと。』


溜息をつきながら答える。

内亜は素直に驚いた表情を見せる。


「うっわぁスペック高いのきっしょい。」


『私も思ったけど口に出さない。』


「んでんで、次のキーってのは?」


内亜が今度はわくわくしたように聞いてくる。


『この館なんだけれど、ただただ広いだけで孤児院にするにはちょっと大きすぎるんだよね。

ていうかうん。ここの元の持ち主が無類の酒好きだったらしくって‥‥‥この屋敷には地下があって、そこに』


「ワインセラーでも持ってたの?スウェーデンのチーズ倉庫みたいな」


『そう、まさにそう。しかも、この館自体をノワールが訪れた時のままにしているから、魔力は使うけれど昔のままの気温、湿度で上質なワインとかが大量に保管してあったの。本当にレアなものもあったみたい。私には分からないけれどね。』


初めて見た時は正直驚いたものだ。だって、壁一面にワインボトルが敷き詰められていたのだから。樽などもあって、その場にいるだけでブドウのいい香りが漂ってきた。


「はぇー、ぜひお目にかかってみたいもんだけど、それがどうしたの?無くならないワイン位なら俺もできるけど。」


『なら時には助けてもらうかも』


「なにを?」


内亜はこてんと小首をかしげる。全く以て意味が分からないといった様子だ。


『シェリーやヴァイスに以前聞いたんだけど、情報収集はBar(バー)、所謂酒場とかで行うのが効率がいいって。』


「あ、成程、理解したかも。それをここの地下で、地下を一つの空間として分離させて拠点兼情報収集の場にしようってことね。で、ここの管理をノワールに任せると。」


内亜が合点がいったという様子で頷く。やけに物分かりがいい気もするけれど、説明の手間が省けるのは正直有り難いので放っておく。


「確かに、毎回宿に泊まるのも面倒だったし。いつでもどこでも帰れる場所があるっていうのはいいよね。こいつさえいなければだけど。」


「私も貴方が利用することに対しては反対したいところですがマスターの前ですので控えてきちんと仕事をこなしますよ。バーの売り上げは孤児院の経営とマスターの活動資金に、孤児院自体の防犯も私がいれば安全といったわけです。」


「チッ」


『舌打ちも喧嘩もなし。‥‥‥‥ま、そういったわけだから、これからよろしくしていかないといけないので、はい!』


そう言って私は二人の手を掴んで繋がせる。


「「?!??!?!」」


二人して同時に固まり、次の瞬間に手をバッと放してそれぞれ消毒とでもいうようにハンカチなどで手をぬぐう。


『ま、今回はこれくらいでいいけど。これからは二人とも仲良くすること。いい?』


そう言って二人の表情を見やる。納得がいかなさそうな顔はしているが、二人とも口喧嘩はやめてくれたようだった。


『よし、じゃあ次の出発点を探すためにも情報収集をしないとね。ノワール、クローネが準備してくれた服は?』


「こちらに」


そう答えながら一瞬で服装が変わるノワール。執事のような装いから、急にバーテンダーのような装いへと姿を変える。

それを見て、さまになっているなと思うと同時に、悪魔たちはやはりその性質から人間を引き寄せる外見をしているなと私は再確認した。


しかし不思議なことに、よく見ると襟が少々苦しそうなくらいに締まっており、私が斬り落とした首の傷は隠されるようにデザインされている。

そういえば、あの時もそうだった。傷はすぐに修復されたのに、少しだけ傷が残っていたのが気になっていたんだった。

消すこともできるのになぜ?そう思いながら見上げると、ノワールは


「私めが、マスター、貴女様の僕となった証として残しておきたいのでございます。今後、マスターの下僕として仕えるために、慢心があってはなりませんから。」


と答えた。よく分からないけれど、なんだか首輪のように見えなくもないなと思いつつ、特に深くは考えないことにして、私は二人と一緒に次の行き先について語り合うのだった。



活動拠点ってやっぱり大事ですよね。

いつも見てくださる方々に感謝を。しかしですね

腱鞘炎がひどくなって右手だけでなく左手と右腕にまで痛みが侵食してきているので毎日投稿が難しくなっていくかもしれません。

とりあえず明日は区切りのためおやすみの予定です。

でももしかしたら投稿するかも‥‥‥

次の行き先はどこになるでしょうね、次回も楽しみに待っていただけると幸いです。

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