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[三部七章]会議③
『えぇ‥‥‥行先は?』
「マスターの知り合いのいるイタリアです。八代様もお話窺ってから現地のワイン飲みたがっておられましたし。」
買収済み、というか行きたい理由があるんじゃん‥‥八代先生‥‥
「八代様は八代様でバーを経由して行かれるそうですので。マスターと文人様は一緒に飛んで行ってください。直接」
直接!?って飛距離どんだけあるのっていうか行けるの葵‥‥‥‥
『でもまだ葵お話してるんじゃ?』
「終わったよ?」
『うわぁっ』
「へへー成功」
畜生可愛い。
「じゃあ、行こうか。ノワール、折角だし近くの町までお願い。文人に心配かけるのもね」
「かしこまりました、マスター。」
そう言いながら差し出された手を取る。小さくて暖かい手。
窓から飛び出すと、美しい海が広がっていた。
「なんか飛ぶの久々な気がする~」
そう言いながらプリズムの翼を広げながら飛ぶ葵に目を奪われていると、あることに気が付いた。
プリズムの翼が端から少しずつ欠けていっている‥‥‥‥
まるでダイヤモンドダストのように美しいそれに見惚れていると、これはまずいかもしれないと思い至った。