[三部七章]初めてとハジメテ
「最、悪じゃん‥‥‥‥‥」
そう言って瞳に怒りの色を含ませる文人。お前も大概だけどなとは言わないでおく。
『まぁそういうこった。んで?それでもお前は葵を好きでいられるのか?』
「勿論。‥‥‥にしても。神は死んだって言葉は本当なんだね。」
『神様が神様してたらそもそも葵は生まれなかっただろうけどな。それはそれとして置いといて。長話、しかもディープな内容の話、つかれたろ。これでも飲んで晩飯まで待っとけ。』
そう言って水、を渡す。
「何、気が利くじゃん。ありがと。」
そう言って何の警戒もせずにそれを飲み干す。よし、これで準備はできた。
そして次の日の朝。
「うーちーあー!!!!!!!!!!!!!!!!」
目が覚めたらしい文人の叫びが聞こえた。仕方なく葵と文人の部屋へと向かう。
「んぅ~」
大声で目覚めたらしい葵が文人に抱き着く。文人はふわりと笑って葵の髪を撫でる。
『よー。気分はどうだ』
「気分はどうだじゃないよ、この、この‥‥‥‥‥‥ッ」
どうやら作戦は成功したらしい。幾分か昨日よりも吹っ切れた顔をしている文人。
やっと恋人らしいことができて嬉しいのか、呪縛から少しは逃れることができたのか。分からないけれどまぁよかったよかった。