[三部五章]好き②
昨日投稿したはずなのに消えててびっくり‥‥‥‥‥何とか復元できてよかった‥‥‥‥
「お二人さんいい雰囲気なのは良いけど、さっき宮叉がチラッとこっち来て帰ってったから行ったら?夜の図書館でずっとそのまんまでいるわけにもいかないでしょ。」
ひょっこりと内亜が現れて言う。
確かにここにいても何もこれ以上起きないというかちょっと気恥ずかしい。
「え、宮叉来てたの?」
「お二人さんの空気感見て帰ってったけどな」
「あー、紅茶でも用意してるんじゃないかな。」
『いや、紅茶悪くなっちゃうから行こうよ文人。』
そう言うと、嬉しそうに微笑んで私の手を取って歩き出す文人。
(あ。これか。)
ふわり、こころが。そう。心が揺れた。あぁ、私は
(この人の事が好きだ。)
そんな、何でもないような瞬間に私は自覚した。
こころを。気持ちを。
あぁ。こんなにもくすぐったくて暖かくって。何よりも愛おしい。
こんな気持ちが。心があるだなんて知らなかった。
(葵。何かわかった?)
そう頭の中で問いかけてくる内亜。
(うん。分かった。これが感情、今までも感じていたんだね。)
くすくすと笑って今までの自分の鈍感さを笑う。
「?葵どうしたの?もうすぐ部屋着くけど、何か考え事?」
そう言って問いかけてくる文人。そんな文人に首を横に振って答える。
『何でもない。紅茶、楽しみだなって。』
ちなみにだけれど異形課との宮叉の再会の日取りは取ってある。
ちゃんとアポを取らないと、一日中仕事が手につかないなんてことがありそうだったから。
一応重要人物を連れていくとは言ってあるけれど‥‥‥‥‥‥その言い方じゃ事件の加害者連れていくみたいじゃないかと思った。が、言ったものは仕方ない。そのまま行こう。
そう頭で考えたりしながら文人の部屋へと着く。
一番乗りとばかりに内亜が一番いい椅子に肘をついて足を組んで座る。
「お前がその格好してると斬りたくなってくるんだけど。」
「んぇ~俺ってば無害なニャルラトホテプなのに?愛のキューピットしてあげたのに????」
「あれ葵困っちゃってたでしょ!!」
「そ?でも嬉しかったくせに。」
「まぁそうだけど‥‥‥‥‥」
宮叉が音も無くそれぞれに紅茶、コーヒーの用意をする。
文人はストレートティー、私は甘いミルクティー。‥‥‥‥‥‥あれ。コーヒーのブラックは‥‥
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥この横柄なのは内亜、あくまでニャルラトホテプっていう存在。』
「はぁ。にゃるらと‥‥‥‥よく分かりませんが、葵様の護衛のような存在という認識で構いませんか?」
そう問われて頷く。
「そうですか。」
それだけ言って席を外す宮叉。
昔の彼は、もっと違う性格だった。
私がいる時には多少猫被ってたけど結構口悪かったし。
「それにしても葵が僕の事意識してくれてるだなんて嬉しいなぁ。」
そう言いつつするすると紅茶を飲み始める文人。
『ん。ところで、何かしてほしいこととか無いの?なんか、れんあいしょうせつにはいろいろ書いてあったけど。』
「んーん。何にも求める事なんか無いよ。欲を言うなら、葵が僕の事好きになってくれたらうれしいけどね。」
『好きだけど。』
自覚してしまえば問題ない。するりと出てきた言葉に自分も少し驚く。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥へ??」
顔が真っ赤になる文人。可愛い。
「その、あれだよね!!好きって英語でどっち!?」
『I love you.』
にっこり微笑んで英語で答えると見る見るうちに顔が更に赤くなってにやけ始める文人。
「えへへ、嬉しいなぁ」
そう言いながら照れたように笑う文人。全部が好ましいと思う。
『好きだよ。文人。』
もう一度口に出す。
何だか文人が悶絶してるけれど気にしないでおこう。そう思いながら私は紅茶を啜る。
待ってた方々には申し訳ないです‥‥‥‥‥‥