[三部四章]アカイム街の裏の顔④
もじがうちづらいです あまね
異形課で彼らとの歓談を楽しんだ後、私はある気配を感じてその気配の元へと駆けた。
「よぉ幽鬼さんよ、街に来たなら一言くらいあっても良いんじゃないか?」
「やぁ。そう人を驚かすものじゃないよ。私はただ図書館の結界を直しに来ただけなんだからさ。」
そう言って何やらクナイなどを取り出して作業をしていた手を止める幽鬼。
『私は止めたって事一応言っておくね。でも内亜の言う通りだよ。何をしているのかは分からないけど、幽鬼には聞きたいこと沢山あったしね。』
そう言って腕組みをしてみせる。図書館に来たのなら文人に顔位見せてあげればいいのにと思う。
「いやなに。私は結界を張り直しに来ただけさ。本当にそれだけ。」
全く食えない人だと思う。
幽鬼はそう言って微笑んで作業を再開する。クナイを十字に打ち込み、その中心にも打ち込む。
なぜか打ち込んだクナイは消えてゆく。これが図書館の結界の貼り方なのだろうか。けれど今までとちょっと違う気がする。
『陰陽道、に、幽鬼のオリジナル?』
そう呟くと、また微笑んで私の方へと向き直る幽鬼。
「そんなところさ。最近は物騒だから結界を二重にしておこうと思ってね。」
『そっか。ところで幽鬼は最近の事件についてどう思う?』
そう言って最近の事件、十数年前の事件について幽鬼に意見を求める。
「あー。なんかうう‥‥‥‥‥“悪意はなさそうだね”」
そう言われて、私が十数年前に感じていた違和感を思い出す。
『確かに、あの時宮叉は燃えてしまっても仕方ないくらいだったのにただ消えただけだった。』
しかも契約するだけして還って行ったところを見るに、別に来たくて来たわけじゃなさそうだった。
「うんうん。‥‥‥‥‥‥ん?宮叉?」