[二部終章]アカイム街
これにて二部終了です。
幕間的なさむしんぐになります。
あと、次章から大分異形だらけになります。タイトル回収だね!!!!(すでに多いことは置いといて
これは、少しだけ昔のお話。
私が覚えている中でも、割と新しいか古いか、整理しがたいくらいには最近だとは思う話。
日本のとある都市で、生ける炎、クトゥグァ召喚による大規模な火災が町中で発生したことがあった。
当時はまだ、警察との連携もあんまりとれていなくって。
まぁ、なんだ。当時は日本で起きる事件のほとんどを秘密裏に処理できてしまっていたのも、問題の一環だったのかもしれない。
私が、内亜と一緒に、日本の警察に訴えまくっていた時期丁度の事件だったから、良く覚えてる。
失った記憶もあるんだろうけど、ほとんど覚えている。‥‥‥‥それだけ、凄惨な事件だった。
メインの召喚場になったのはとあるショッピングモールで。
それ以外のそこかしこでも、小さな召喚儀式が執り行われていてしまって。
メインの気配が、分散しすぎて分からなくなって、対応が遅れた。
『内亜!!次何処!?』
「あぁもう!!多すぎて分かんない!多分近い!近いとこに数か所!!」
小さな召喚は、殆どが失敗に終わって、ただの人間の燃えカスが残るだけで収まった。
けど、大きな召喚場のいくつかは、召喚に成功してしまって。
クトゥグアは、旧支配者の一柱。だけれども。
炎の精だけの召喚に成功してしまった地点。クトゥグアが召喚されてしまった地点は点在していて。
最後の、一番大きな気配に対応できる頃には、街の半分以上が燃えていた。
「だって、あの人がいるんだ!!あの人が、絶対ここにいるんです!!あの馬鹿野郎、こんなおかしい炎のある建物の中に突入するなんて無謀な事しやがったんです!!どいてくれ!!お前らがちゃんと人数裂いていたらあの人はあんなところに突撃しなくって済んだだろ!!?」
そう、消防隊をかき分けて叫ぶ警察官一人。
きっと、予算も、数も少ない、異形に対抗するための部署の人間だろう。
多少だけれど、魔力を感じる。
真っ青な髪と、燃える焔のように緋い瞳の、青年。
同僚が、中にいるという。
一番大きな召喚場と化したショッピングモールに。
「葵、多分もう‥‥‥‥」
『うん。でも、召喚されたクトゥグアは殺さないと。』
そう言って、警官の横を通る。
どうせ、私の事なんか認知されていないだろうから、止められるのが面倒くさくって、気配消しのマントを内亜に出してもらって羽織り、中へと入る。
「あ!おい!そこのアンタ!!」
声に驚いて、つい振り返った。
青い髪の青年は、“私を真っすぐにみつめていた”。
「おい、何を言う!?誰もいないだろうが!!」
「はぁ!?ちゃんといるだろうがよ!!マント羽織ったちびすけが!!」
「ちょっと、大人しくしててください。流石に危ないですから!!」
周囲の反応は、間違ってない。
だって、気配消しのマントを見破った存在なんかほとんどいないんだから。
「だー!クッソ!!おい!!待てよ!!」
叫ばれても、困る。
だから。
『指示を受けたんでしょ!!だったら大人しく従ってなさい!!』
面倒になって、やけになって叫んだ。
その声が少女だったことに驚いたのかは分からない。分からないけれど静かになった彼の事をおいて、ショッピングモールの中へと突入する。
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?』
そこには、“何もいなかった”。
召喚されたはずのクトゥグアも、それなら退治したかもしれない誰かも、いなかった。
あったのは、数々の焼死体のみ。これじゃあ身元がわかりゃしない。警官の格好をしている人物は、見当たらなかった。
「葵、気配はあってたよ。」
『分かってる。だって私も感じたんだもの。でも、これは‥‥‥‥‥』
「まさかまさかだけど。‥‥‥‥‥“適合者”だった。って可能性が高いね。」
適合者。神をその身に宿すにふさわしい器を持った人間、あるいは生物。
けれど、そんなの何千万人に一人いるかどうかの確率だ。
『‥‥‥‥‥』
けれど、その適合者が現れた場合。このように、神は退散でもなく、消滅でもなく、“消える”。
そもそも、だ。
その適合者らしい姿すら見当たらないとはどういった了見だ。
「‥‥‥‥‥やぁ、この街、アカイム街だっけ?‥‥‥やっぱり、おかしいよ、葵。」
『‥‥‥‥‥うん。』
アカイム街。
街の名前を思い出して、何の因果かこの街がその一件があった街だと思い出す。
青髪の青年は、どうしているだろうか。
(‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥何か、起きようとしてる?)
そもそもあの事件は、当時巨大に膨らんだカルト教団が、神に近づく日だとか何とか言って、集団で。あるいは個人でクトゥグアにその身を捧げるとか何とか言ってガソリンやら灯油やらを被って火を放ち、他人をも大量に巻き込んだ、大きな事件だったはずだ。
けど今。この街には、そんなことがあったなんて情報はどこにもない。
それはきっと、警察にちゃんとした科ができたから、だとは思うけれど。
それ以外にも、この街にはありとあらゆる異形が紛れ込んでいたり、異常なことが起きていたりする。
(しっかり、しなくっちゃ。)
私は、そっと瞳を閉じて、あの日の光景を思い出し、忘れないようにと心に刻む。
そう言えば水紫は花粉症オールシーズンの人です。
病院に行ったら、「君、真冬意外花粉症なんじゃないの?」って言われました。That’right!
はい。一番ひどいのはスギです。コロナ過の今だからこそずっとマスクしてますけど、コロナ前から秋はマスクしないと外出後三十分程度で頭痛に苛まれて大変なことになってました。
皆さんも花粉症、気を付けてくださいね。水紫はないですが、花粉症からフルーツ系統のアレルギーを発症する人も多いそうですから。