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[三章]桜の舞う戦場【Ⅱ話】

二話目です。

今日はクリスマスですが、クリスマスらしいことは昨日のうちに終わらせちゃったので今日はのんびり過ごそうと思います。

ケーキを作ったのですが、獅噛と同居人がものすごいペースで食べるのでおどろきました。

ちなみに水紫は元パティシエールなのでお菓子は一通り作れます。イタリアで有名なお菓子検索かけてたら時間がすごいことになったのでちょっと作品に取り入れようかなとか。



手渡され(投げ捨て)た、粘性の物質から分かることを頭の中で整理する。


(ミ=ゴか。しかも装甲持ちがいるとなると、)



『これの持ち主より上位固体や他の神格がが背後にいる可能性が高いから人間にできることは無い。私達でやるから報酬を用意して。』


そう言うと、目の前の少女は目を丸くした後憮然とした表情になる。


「確かに依頼はするし、報酬も用意する。けどファミリーもやられている中でただふんぞり返ってあなたたちを待つ気はないよ。私の手で出来ることはやる。」


この少女は甘っ垂れているのかと

黒い帽子を被った、どこか日本系の従者らしい青年に目を向ける。

彼は私の視線に気づくと、表情を変えずに言った。


「お嬢は本気です。それに、貴女も人手があって困ることは無いでしょう。“そちら”の事は私がある程度対応できます。協力させていただきたい。」


言い方にどこか違和感を感じて、少し考える。

何かが引っかかるような気がしたけれどわからなくて、内亜に声にせず相談する。


(やーーーーーだね、話したくない。僕そいつとは動かないよ、オジョウサマと葵でいいカンジに攫われてくれば話が速いんじゃないの。)


なんだかトゲのある回答が返ってきた。違和感については自分でどうにか思い出すしかなさそうだ。

ただ、彼らが人外に対処できるというならちょっとは楽ができるかもしれない。


『私はシェリーを守り切れるか分からないけど、相方が、私と彼女でおとり捜査はどうかって。』


「構わない。」


桜色の少女は即答した。

それに対して周りの人物がざわつく。


「お嬢、ダメです!行方不明者がどこでどうなってるのかなにもわかってないんですよ!危険すぎます!先代もそうですが、あなたの命はボクらなんかと比べ物にならないくらいに価値が重たいんですよ!そんな人が攫われる役なんてしていいわけがない!」


ライムと呼ばれていた人物が言う。マフィアの情勢はよく分からないというか知る気もないけれど、組織のトップが身の危険に晒されるリスクは私でも分かる。

黒服の従者の殺気が私に、正確には私の足元の影に向けられる。


「だからこれ街で犠牲者が出るのをを黙ってみてろって?私もう限界、ちゃんと身をわきまえて行動するから。」


それでも揺るがないらしい少女の決意に、なんだか眩しいなと思う。

ここまでまっすぐに他人を思いやることは私にはできないから。

ふと、ある少年の影が脳裏をよぎる、


(忘れてない。選択も、まだしていない。けど、ちゃんと私は私の道を見つけたい。

その力には彼女はなってくれそうだから。)



頭の中の少年の面影に向かってそう答える。

きっと、今回の旅でその答えが出ることになるだろうと、どこか確信めいた感情を抱きつつ私はシェリーに向き合う。


『自衛は?』


「体術が多少と、一通りの護身術。その辺の構成員には負けない。」


平穏な一般市民より動けるなら合格ラインだろう。

何かあっても自己責任だ。その確認を目線だけでヴァイスとすると、彼はにっこりと微笑んだ。


「お嬢に何かある前に俺が駆け付けますから。」


その口ぶりからは忠実な従者という以上の含みを感じた。

気にならないでもなかったが、了承を得たとして私たちは作戦を立て始める。


作戦とは言っても、内亜なしの私とシェリーが二人で出歩く道のりの相談をするだけだけれど。


シェリーが地図を広げて今までの犯行現場に印をつけていく。


「今までの拉致現場は共通点がなさそう。でも人通りが少ないところばっかり。」


『貴女のその目立つ外見を利用して、一通り街を歩いた後に路地裏の方へ向かう予定。異論は?』


私の提案にヴァイスが口をはさんだ。


「お嬢は街の人間に顔が知られていますから、犯人に怪しまれない程度に変装をしてみては?」


確かにシェリーの変装は必要だろう。

わざわざ顔が知れたマフィアのボスを拉致する馬鹿なんか早々いるもんじゃない。


「変装ならボクに任せてください、ついでに葵さんもどうですか?」


ライムが挙手をする。心なしか表情が輝いているような気がする。


『まぁ、やっても良いけど。でも、必要性ある?』


「趣味です。やりがいがありそうなので。」


‥‥‥‥‥なんだろう。ここまで言い切られると逆に断る理由を探すのが面倒くさくなってくる。


「さて、おとり作戦とは言っても数日で結果が出るとは限らないわ。葵、良かったら観光がてら好きなお店を見て回りましょう。その方が自然だろうし。」


シェリーが瞳をキラキラと輝かせて言う。

私はなるべく声に弾む感情が乗らないように努めて答える。


『シェリーの好きな店でいいけれど、甘味があると嬉しいかもしれない。』


(葵、色々バレバレ。)


影を踏みつけつつ(文句の声は聞こえなかったことにした。)、スイーツの店のパンフレットを物色、じゃなくて見てルートを決める。


「ある程度の構成員の配置はしますが最低限です、お嬢、危なくなったら“どんな手でも”つかってください。」


ヴァイスがシェリーに言う。

過保護っぷりが誰かに似ているような気がした。

誰のことだろうか考えていると、いつの間にかルートが何通りか決まっていた。

一応一週間程度の予定だが、長期戦になることも考えてのルート案だ。

さて、何日で餌が釣れるだろうか。


あと、イタリアンジェラートの店は何か所まわれるだろう。


明日からの作戦がうまくいくことを祈りつつ(ある程度店を回ってからが望ましいけど)、その日はお開きになった。


その後、ライムの部屋で変装の準備や確認をすることになった。

モノクロで調度の整えられた部屋。外見や服装、部屋の内装を見てもいまいち性別が分からない。


「‥‥‥‥ライムは女性。けれど心は男性との狭間。」


こっそりとシダレというらしいもう一人の従者が言う。


(いつの間についてきたんだろう。)


気配をほとんど感じなかった。


(シダレだっけ?彼女はヴァンパイアに死神の性質が少し混ざってるみたいだよ。気配を隠すのはお手の物だろうさ)


影の中から答えが返ってくる。

シリアージョ、桜という意味だったか、このファミリーには人外が平然といる事に多少は驚いたし、そもそもシェリーが神話生物の名前を聞き取れたのも不思議だったけれど。

けれどこの光景を見ていると、なんだか違和感もないというか、妙に納得した気もした。


(先代もなんかそこかしこからいろいろ拾ってたしね。)


四半世紀ほど前の先代の事を思い出す。

あれはあれで豪快な人物だった。

ま、日本から巫女様を連れて強引に結婚まで持ち込むくらいだしこれくらいおかしくもないのかもしれない。


なんていうことを考えていると、服の裾を軽くひかれた。

そちらを見やると、何とも言えない表情をするシェリーがそこにはいた。

ライムも頬を膨らませてこちらを見ている。

どうやら会議中に自分の世界に入り浸ってしまっていたらしい。

なるべく地味な格好がいいなと思いながら二人の衣装談義を聞くことにする。





LGBTの話が少し出てきましたが、水紫はどっちでもいける人なので特に好みはありません。

獅噛の方はライムと似たり寄ったりですね。

差別があるのは悲しいことですが、子孫繁栄のための種族としての本能というものはどうしてもあるのではないでしょうか。

水紫はそう思います。

けれど、自由という言葉が本当に広い意味で使われるようになった現代、他者の自由や尊厳を侵してはならないという大前提がう失われないことを祈ります。

さて、真面目な話が少し長引きましたがもう少し。

もうすぐ年越しです。

大掃除などで忙しい皆様、水紫は今年初めて初詣にチャレンジしようと思います。

初詣って何するんでしょうね?

でも楽しみです。今日はこんな時間になりましたが、実は実は睡眠取った後なのです。

何でかというと前書きに書いたクリスマスのケーキ、シロップ等にアルコールを混ぜるのですが、どうやら水紫がだいぶ酔ったらしく記憶がありません。(ほろっと酔う缶一缶で三日ほど頭痛と吐き気に苛まれるほどお酒に弱いです。)

お高いお酒は平気らしく、モーツァルトの牛乳割とかたまに飲むんですけどその時は平気なんですよね。不思議です。

ちなみに今回のケーキはモーツァルト、キルシュ、コアントローの三種のお酒を使いました。

味は気に入ってもらえたようで何よりです。

皆さんは今年はどんなケーキ食べたんでしょうね。

おいしいケーキ屋さんとかあったら教えてください。もしかしたら水紫が働いていたドブラックな会社かもしれまs

この辺にしておきましょう、きっと酔いが残っているんでしょうね。

獅噛曰く「やばいなお前」だそうですので。

ではでは今日はこの辺で。明日から事態が動くかもしれません。


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