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幕間⑦中途半端。

内亜の幕間です。

少し退屈かもしれないですが、正直現状の内亜はこんなもんです。


これはほんの少しの間離れる決意をして、離れて行った悪魔たちの話。

うん、僕だよ、内亜。

僕の起源が知りたいって?ふふ、それはまだ内緒、というか、正直、あんまりたどりたくない。

辿ったところでろくでもない結果になるだけだからさ。

余計に気になる?ふふ、知るべき時には知ることになるだろうし、僕はなるべく引き延ばせたら嬉しいなって思うくらいかな。

さてと、どうでもいい話は置いといて。

僕らが葵から離れた後、どうしているかって話。

勿論、修行であることに変わりはないんだけど、ノワールは悪魔のところへ行こうと痕跡を探しつつ、今は互いに魔術や体術の研鑽中。時折若狭に手伝ってもらうんだけど、彼スパルタすぎないかな。ちょっとの稽古で一日中動けなくなるとか聞いてないんだけど。

そう言えば語っていなかったみたいだね。

彼はドラゴンと人間のハーフ、そりゃ人間よりちょっと強いくらいの僕らが敵う訳ないんだけどさ。

それでも一泡吹かせてみたいものなのさ。だってほら、あの顔が歪むところとか見てみたくない?

え?性格悪い?ありがとう。


さて、話を変えよう。

ここからは真面目な話。

葵はあの時何をしたかって話。聞いたかもしれないけれど、もう一人の葵という名の成功作を作り上げた神様たちにはいつか鉄槌を下すことにするけどもっと別。

あの葵そっくりの少女、あの後どこかへと消えちゃったんだよね。

いつの間にか拘束も全部外して逃げ出してたってわけ。

さてさてそこで何が困るかって、ねぇ。

神様も意地悪いなって思ったけど、そうだね、あの彼女は、葵を取り込むことで完全体とでもいえるべき存在になるはずだった。つまり、最初から欠けた状態で生み出された落し子ってわけさ。

つまり一人分の存在証明をするための情報が欠落していた。

だから、葵はその運命を無理やり、それこそ自身を犠牲にしてまで捻じ曲げて、一個体として生活できる程度まで安定させた。

安定させるなら、当人である葵を先にしてほしかった、っていうのがあの現場のみんなの総意だけれど、彼女はそうあるからこそ葵であることも事実で、それを否定してはいけないのが何よりも悔しかった。

だってさ、契約者を守れない従者だなんて嫌に決まってるじゃんか。

けれど、彼女は奇跡的に二人で一人を“二人”にした。

その結果葵の方の存在証明をするための情報が一部欠落‥‥‥感情面だね、主に。

そうなってしまって、彼女は今とっても危ない状況にいる。

それをどうにかするために何かできないか考えた結果が、彼女の姉である未希を探すことだったんだけど、どうにもね?あの人自分の痕跡を消すのは超一流みたいでさ。見つかんないんだよね。

はぁ‥‥‥‥連絡手段くらい持って消えてほしかったな、せめて。

だからちょっとした僕自身の因縁のある場所に向かって、もう使えそうにないほど朽ちかけた一本のナイフだけ回収してきた。

‥‥‥‥‥‥ちょっとした呪いの込められたナイフで、まぁ、呪いの遺物ってところさ。

何でそんなものがある場所を知っているかは教えない。

いや、教えたくはない、かな。

それを使って何をするかって、まぁ、あの葵とあの消えた少女が合わさったときにはいろいろ返してもらえるようにするつもりだよ。

葵はきっと喜ばない。けれど、ごめんねとも思わない。

だってその選択をさせたのは葵自身がそうやって自分自身を大切にしないからだからね。

そりゃ、怒りもするさ。

あぁ、うん。怒ってるよ。言ってなかったっけ。

僕は葵に対してすごく怒ってる。

それに、心配もしている。

だからさ、ほら、大事な存在だからこそ無くしたくないし、そのためになら本人の欲求とは違うことだってする。

だって俺は契約者ではあるけれど一個人としての感情も持ち合わせているからね。

どっちかって言うと葵がいないところでなら普通に八代‥‥‥‥そう言えば苗字は不知火っていうんだってさ。彼女に討伐されてもおかしくないことだってしてる。

今もあまり褒められたことはしてないよ。だって今の僕はそれこそ“あくまでニャルラトホテプ”らしいことをしているからね。

うんうん、ちゃんと足が付かないようにはしているさ。

けれどもやっぱりほかの異形殺しとかも来るわけで。葵がいないと殺すしかないからやっぱり僕自陣はろくでなしで、あの時から何も変わっちゃいない。

あの時、そう、うん。あの時はあの時だよ。

あんまり深く聞いてもほら、答えないって言ったでしょ。

僕は全部中途半端だからさ。

あくまでニャルラトホテプ、それすら中途半端でそうと断言することはできない。

今までは葵が安定していたからそれでもいいと思えたけれど、そうじゃなくなって、僕らがやらないといけないことが出てきたらやらなくっちゃいけない。

あぁ、生憎と罪悪感は感じないようにしているけれどね。‥‥‥それのせいでろくでなし度が上がっていることはおいておいて。

僕はさ、葵に救われてるんだよ。

みんなそうだけれど、僕はきっとその中でももっとたくさん救われている。

だからこそ、彼女を一人にはさせたくないし、するつもりもない。

まぁ、元々一人だったのが今じゃ一人じゃなくなっちゃったけどさ。

でも僕にとっての葵はあの葵しかありえない。だからこそ頑張らないといけないことがたくさんあるんだよね。

あはは、ここまでの会話に中身がないって?そりゃそうさ、だって正直、今何をしたらいいのか分かってないのはきっと僕が一番だからね。

頼られているようで頼ってたってわけさ。はは、自嘲気味だねぇって?‥‥‥‥そうだね、やっぱり調子でないや。

こういう時他の人ならどうするんだろうね。ちょっとそれ聞きにでも行ってみようかな。





何百年も時を共にしてきた相棒が壊れかけ。自分が何もできない、してあげられない。

多分陣営の中で一番無力感を味わっているのは内亜です。

けれど、そうですね、一番間違った道に進みかけそうになっているのも内亜なので、きっとノワール辺りが何とかしてくれるでしょう。

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