空間魔法は難しい
第九三話です。
楽しんでいってください。
空間魔法の研究・開発を始めて感覚で一週間がたったと思われる。その間にわかったことと言えば、空間魔法に使われている魔法言語ぐらいだ。これだけ研究をして魔法言語の解析だけとは、魔法陣に対しての自信が傷つけられる思いだ。
空間魔法の魔法陣を研究していて思ったことなのだが、空間魔法とはこの世界の中で最大級の強さを誇る魔法なのではないか?と思ったのだ。それゆえ、研究・開発が進まないのではないか?と。
どれだけ頑張ろうとも進まない研究にいらいらとしつつも研究と思考実験を繰り返していく。思考実験でも、現実で作成した魔法陣から結果がどのようになるのか考えてはいるのだが、ほとんどが発動しないか、ちょっぴり空間に干渉できるかな程度であった。
試しに干渉できるかなという魔法陣を現実でも発動してみると、本当に少し干渉するだけでほとんど何も起こらなかった。でも、研究資料としては重要なので大切に『異空間収納』に入れておく。
その資料を基にどんどんと研究を進めていく。そして、食べて、研究して、寝て、起きて、の繰り返しでまたも数日が過ぎ去ってゆく。
過ぎ去った数日の中で、研究したものから感じた事は、空間魔法は考えて創ったものより、偶然出来上がる魔法陣の方がいい効果が出ている。ということであった。
『転移』とかは思い付きで少し考えてやってみたらできたというもので、『異空間収納』に関しては完全に偶然の産物であるので、偶然によってできたものは強力というのはあながち間違いではないのかもしれない。
そして、ほんの少し考えただけで、やっぱ無理なのでは?と思ってしまう。だが、やると決めたからにはやるのだ。
だけれども、空間魔法を創るのに集中しすぎて気がめいりそうになってきたので、気を紛らわすためにも一回探索に出てみることにした。
しっかりと準備をしてから探索へと乗り出す。とりあえずあの大きな扉から下の階層に出てみることにする。
扉をくぐってすぐそこにある階段を下っていくと、そこに待ち受けていたのは岩壁で囲まれた細い通路だけだった。てっきり自分は広い部屋が広がっているとばかり思いこんでいたのだが、違ったようだ。
一応『転移』のマーカーを階段の近くに設置してから、この細い道の探索を始める。
数十分探索していてわかったことなのだが、どうやらこの階層は細い通路だけで構成されたほんとの意味での迷宮だということが分かった。魔物はほとんど出現せず、出現したとしても魔法一発で撃退できるのでそこまで難儀はしていない。
そして、書面だけのマッピングは相当に効率が悪いことに今更ながら気付いた。なので、一回拠点へと戻ってマップを頭に描けるような魔法陣を創り上げることにした。
マッピングの魔法は、結構難しい部類に入るだろうが空間に干渉する空間魔法に比べれば簡単なのはわかるだろう。なにせ空間を把握するだけなのだ。干渉より難しかったらもう何もできないだろう。
幸いどのようなもので空間を把握するのかなどはちゃんと構想ができているので、すぐに出来上がるだろう。ちなみに、取り入れようとしている構想はソナーを使った空間把握だ。壁などがあればそれ以上は見えないという欠点はあるものの、かなりの範囲をカバーできるだろうことは確実だ。そして、その見えてきた地形をどこかに記録していくというものも創ろうと思う。
一応空間魔法ではあるので、時間はかかるだろうができないことはないと思っているので絶対に完成させたい。
努力あるのみだ。




