空白の探索
第88話です。
楽しんでいってください。
変換の魔法陣を完成させることができた俺は、早速迷宮の空白のように見られる隠し部屋だろうと思われる場所に向かうことにする。
もちろん今回製作した変換の式を今まで使っていた魔法すべてに対応させて、効率などもろもろ上げることも忘れていない。
マップをとっていなければ絶対に気が付かない空白。探索するうえでマッピングすることは絶対だが、おおよそ最後の部屋であると思われるところを抜けた後に、もう一度めんどうな探索をしようと思う人は少数なのではないか?そんな予想が立つからこそ、気づけた者に対する試練があるのではないか?そう思って怖くなってしまう。もしかしたら自分の手に負えないような出来事が起こる。そんな考えも抱いてしまう。
この隠されるように配置された空白には、何か意味があるのではないか。さしずめ、災厄と、一握りの希望が入っているパンドラの箱のように。
ただ、そんなことが起こることはあまり無いと考える自分もいる。迷宮に存在する空白は何かのミスだったのではないか、と。製作時の手違いだったのではないか、と。
だがそんな考えはすぐに捨てることとなった。なぜか、それは空白のある場所には法則性があるということに気づいたからだ。この空白の位置を具体的に言うと、四つの空白が正四角形を描き、その対角線の交点にちょうど五つ目の空白が存在していたのだ。これに気が付いて、それでも意味がないと言い切れる者がいるのならば、すぐにこの迷宮、いや、ダンジョン全体から引いた方がいいだろう。
ということで探索を始めてそろそろ三か所目である俺だったが、空白同士がかなり離れているので、かなりの時間がかかってしまっている。
一か所目は、『錬成』で空白の部分へと道となる穴を掘っていったら結局何もなかったということで、地図にペケを付けてすぐに二か所目に向かった。
二か所目も、『錬成』で掘ったのだがこちらも何もなかったので、先ほどと同様にペケを付けて三か所目に向かう。
今現在三か所目を『錬成』で掘り進んでいるが、やはり何も出てこない。そして地図にペケを付けて四か所目の空白へと向かう。
そして四か所目にたどり着いた俺であったが、どうせここも何もないのだろうという気持ちで挑んで、案の定何もなかった。
これで残すは中心の空白だけなのだが、今までの四つでどうせ何も起きないのだろうという沈んだ気持ちが出ていきたくないと思ったのだが、まぁ、気が付いたのだから、その部分を探索完了してからでないと次の階層に行く気にもなれないので探索しておこうという一部抜けた気分で探索をしたのが、災いを生んだのは少し後の話。




