変換の式って............難しい
第八六話です。
楽しんでいってください。
最も効率のよい光への変換の式を考え始めてどれくらいの日にちが経ったのだろう。寝て、起きて、食べて、考える。この順番を十回ほど数えてから、めんどくさくなってそれきりだ。かなりの時間を変換の式の開発に使ってしまっている。
今まで創ってきたものは、どこか不備があるか、魔力効率が悪いなどという理由ですべてごみ溜めへと捨ててしまっている。
今現在の俺の状態は、全然いいものが創れず、そのせいであまりやる気も出ず、ふらふらとしていて今にも倒れそうだ。ふらふらとしているのは、食事がただ焼いただけの魚だということも関係しているだろう。「せめて調味料があれば」と、いつも考えてしまう。
糖があまりとれていないからか、考える能力も段々と衰えていっていると感じているのは、おそらく勘違いではないのだろう。
でも、まぁ、今日も開発を進めるか。そう思って、ゆらりと立ち上がってふらりふらりと幽鬼のごとき足取りで、作業をする部屋へと向かう。この作業をする部屋というのは変換の式の開発を始めた時に『錬成』を使って創り出したものだ。この部屋の中は大きい簡素な机と椅子、ペンなどの魔法陣を描くための道具が置かれている。
部屋の中に入って椅子に座り、今まで創った変換の式を頭の中に思い浮かべながら、次に創る変換の式のことを考え始める。今まで創ってきたものは、全体的にまず自分の魔力を光以外の魔力に変換してから、光の魔力に変換するといった方式をとってきていた。だが、それでは変換の工程が元の変換の式から一つ二つ増えてしまっているので、それにより発動までの時間が長くなり、そして出力もあまり思ったようにいかなくなっているという状況が出来上がってしまっているのだ。
それを無くすためにはやはりその工程を省略していかなければならなくなるのだが、それでは元の変換の式と同じような発動スピードで、同じような出力になってしまう。
ならばそのような状況を創り出さないためにはどうすればいいのか。一つの手としてはその回復の魔法陣に慣れて発動の時間を短縮し、魔力の消費を抑えるという手があるにはある。ある…のだがそれには多大な時間がかかることが難点である。
そりゃあ慣れてやった方がいいのはわかってはいるんだが、『級』の高い魔法陣をそうポコポコと練習するのは魔力効率が悪すぎてただでさえ時間がかかるのに、魔力の回復にさらに時間をかけなくてはならなくなるので有り余るほどに時間があっても足りないのだ。
だからこそ、魔力効率を良くして発動時間を短縮するという式の入った魔法陣が必要なのだ。まぁ最悪、効率をよくするだけで、あとは練習をするといった方式をとればいいだけなのでそんなに気負うこともないかなと思う。




