央樹の決意
第七六話です。
楽しんでいってください。
先に言っておくが、魔法陣の組み合わせは二つのものを組み合わせるだけでも相当に難しい。なぜ知っているのかというと、実験していたころに組み合わせてみるとどんな風になるだろうと思って創ってみた事があるからだ。結果として、使った魔力は一つ分の魔法陣を発動させる量の一・五倍の魔力が持っていかれたが、制御のしやすさは段違いだった。まぁ考えてみると道理ではある。それは二つの魔法陣を同時に制御するよりも一つの魔法陣だけを制御するほうがやりやすい。これはそういうことだった。
さすがに七つもの魔法陣を組み合わせるのは骨が折れそうであるが、これからの事を考えておくうえでやはり、やっておくべきであろう。
七つを組み合わせるとなると相当な時間がかかってしまう。だから一旦仮眠をとってから今度は魔法陣の組み合わせをやっていくことにした。
仮眠するといっても正確な時間がわからないため通常の睡眠になってしまいそうではあったが、一応眠って気力を回復させることにした。食事は起きてからとることにして、さっさと毛布にくるまって眠ることにする。意識が落ちるまで決意を心の中で呟きながら。
そのころ、央樹たちは《ロムストの町》に到着し、馬車から降りて整列して、団長が話し始めるのを待っていた。
「……みんな揃ったな。よし!お前ら!今回は《ロムストの町》のダンジョンでの訓練だ!ダンジョンは、この前遠征に行った《サニフト平原》よりも魔物がたくさん出る!気を引き締めて挑むように!」
「「「「「はい!!!」」」」」
「まぁ、まずは宿へ移動だ。すぐに準備して移動を開始するように!」
そう言って団長すぐに準備に取り掛かってしまった。それを見た央樹たちもすぐに準備を始める。
そんな中、央樹はつぶやく。
「……滝がどこ行ったかはわからない。ここにその痕跡があるかはわからないが一応気は張っておくか。」
どこに消えてしまったかわからない滝のことを心配しての言葉だが、こんなところで見つかるとは一切思っていないだろう。どこへ行ってしまったのかは、一瞬で消えたのでわかるわけがないのだ。こんなところにいるわけがない。もっと遠くに行ってしまったのだと。そしてもうすでに死んでしまっているのではないかと。
だがあきらめる気はないのだろう。痕跡を見つけるまで絶対にあきらめないという意気込みが、一切衰えはしない眼光を見れば一目瞭然であった。
そして央樹は決意する。
滝を必ず見つけて地球に帰る。
と。




