視覚強化1
第七五話です。
楽しんでいってください。
今から視覚強化の魔法陣を創るための下準備を始めたいと思う。
視覚強化と言ったら視力だけをよくするだけでは?と言うやつが必ず出てくると思うが視覚強化はそんな単純なものではない。人間は視覚に頼り切って生きている。外界の情報はほとんどが目から取り入れるのが常だ。だからこそただ目を良くしただけでは少し心もとない。
この世界には魔力というものが存在する。魔力というものは万物に存在する。この世界での生物は無意識下でその魔力を利用して生きている。魔力というのは力を籠める部分に無意識に集めてしまうという。この魔力を可視化することによってどこに力が加わっているのか見極めることが可能になるだろう。
視力の向上、魔力の可視化。この二つだけでも十分強くなることができるが、まだまだ強化する要素はある。
例えば、動体視力。これはどれだけ目がよくても、すべてが見えていないと死んでしまう確率が高くなる。これも強化する必要がある。次に、暗視。暗いところが見えていなければ奇襲されて一瞬で死んでしまうだろう。これはもうすでに片目につけているが解除してから新しく付け直すことにする。次に、熱源感知。熱があるところに生物がいる。少なくとも魔物のいた痕跡を発見するには有用なのではないだろうか。
などなど最終的には七個ほどの強化要素が出てきた。前述のものに、魔力の調節によって倍率を変えるものと、『鑑定』の魔法陣を加えた視覚強化の魔法陣を創っていこうと思う。
ということで、『鑑定』の魔法陣、『暗視』の魔法陣、視力の向上、動体視力の強化、『熱源感知』の魔法陣、『魔力視』の魔法陣、倍率変更の魔法陣の順で作業を進めていこう。
『鑑定』と、『暗視』の魔法陣はもうすでにこの世に存在するのでサクッと創り終える。
視力の向上と、動体視力の強化は、身体強化の魔法陣の要領で創ることができそうだったので時間はかかったがあまり悩まずに創り上げることができた。
『熱源感知』の魔法陣は、要素としては温度の可視化なので、地球にあったサーモグラフィを参考に温度を色で分かるようにしながら、発動・解除ができる魔法文字を組み込む。これで『熱源感知』の魔法陣は完成だ。
次に『魔力視』の魔法陣なのだが、これが一番難しい。なんせ地球になかったものなのだ。参考にするものなんてあるわけがなかった。しょうがなく『熱源感知』を参考にしながら熱ではなく魔力を、温度ではなく魔力量を魔法陣に記入してみたら意外とあっさりと完成してしまった。
最後に倍率変更なのだが、これも地味に難しい。なんせ魔力でレンジを変えるのだ。難しくて当然だ。長々と悩んだ末、無理やり目に付与するのではなくて、メガネのように体外に魔力でレンズを創って目の前にもってくればいいことに気づいた。それで行こうと思い魔法陣を創ろうと思ったのだがそれでも案外難しくて『魔力視』を創るときよりも時間がかかってしまった。
「よし。これで全部そろったな。次はこれを合わせていくか。」




