遠征
第七十話です。
楽しんでいってください。
滝が飢えて死のうと思っている時、王都にいるクラスメイトは遠征に出ようとしていた。
「さぁ、皆準備は出来たか?出来てないならすぐに終わらせろ。すぐに出発するからな!」
団長が馬車の前でクラスメイト達に声をかける。誰も忘れ物はないようで動き出す者はいなかった。
「…………よし!忘れ物したやつはいないようだから出発するぞ!皆馬車に乗り込め!」
「「「「はい!!」」」」
忘れ物がない事を察した団長は馬車に乗るよう、全員へと促した。それに反応したクラスメイト達は即座に馬車に乗り込み始めた。毎日訓練を行っているからか、つかえる事無くスムーズに乗り込みが完了した。よく訓練されていると言えるだろう。
「出発だ!」
団長が御者に声を掛けたら馬車が先頭から次々と発進し始めた。その一馬車にいる禄村パーティには、話し声が広がっていた。他の馬車は、そこまで話し声は聞こえないようだが禄村のいる馬車はなぜか声が活発に飛び交っている。禄村についていきたい女子が多いからだろう。さすがはイケメンと言ったところか。これから遠征だというのに気持ちが引き締まっていない事が違う馬車に乗っている俺、『西村 央樹』に伝わってくる。
「あーあ。滝がいなくなってからつまんねぇな。貰った魔法陣もだいたい扱えるようになってきたから他の魔法陣が欲しいところだけで……。…………なぁ、お前滝がどこに行ったか知ってるか?」
俺の隣に座っている【長剣士】の『長井 伸』に聞いた。
「えぇ?その場に居合わせていなかった僕に聞くか、普通?……ていうか、戸板が消えたのは2ヶ月も前の事だろう。僕はけっこう記憶の片隅にいってたから思い出したくなかったんだが。」
「わりぃわりぃ。…………ったく、ほんとにどこ行っちまったんだよ。死んだかも知れねぇし、まだ生きてるかも知れねぇ。……生きててほしいもんだが。」
「そんなこと思ってたってなんともならないだろ。生きてる事だけ願ってればいいんじゃないか?」
「それもそうだな。サンキュー」
まぁ考えても仕方ないか。生きてる事を信じて、今回の遠征もしっかりとこなすか。てか、今回はダンジョンらしいけど、どんなのだろ?町の名前は《ロムストの町》っていうダンジョンが町中にある町らしいが………たのしみだなぁ。
その5日後、馬車がダンジョンのある《ロムストの町》に着いた。
その頃の滝は央樹達がいる町のダンジョンで息絶えていた。




