世界の恐怖・自分の恐怖
第六九話です。
楽しんでいってください。
毛布にくるまってからどれだけの時間が経ったのだろう。………いや、そんなことはどうでもいい。もう探索も魔法陣の研究もしたくない。ただそれだけだ。
自分の身が危険にさらされるような事はもうしたくない。だって、死にたくないのは誰でも同じだろう?この世界では『死』がすぐそこにある。だからこそ行動を起こしたくないのだ。元の世界に帰りたいが、そんなものは行動を起こさなければ帰る事はかなわないだろう。……行動を起こしても帰る事が出来ないかも知れない。
僕は、実質的にどんな魔法も創る事が可能な職業を持ってはいるが、それでも無理なものは無理だろう。知識があって、創れたとしても神のような人物、というか神にしか発動すら許されないだろう。
なので、恐怖におびえながら毛布にくるまって自分が飢えて死ぬのを待っている。この世界から逃げることがかなわないのなら、死んでこの恐怖しかない世界から解放される事を願う。この世界で生きていくなら無数の恐怖を味わう事になる。だが、今死んでしまうのなら恐怖はこの一回きりだ。だからこそ、僕は死ぬことを願う。
皆がこれを聞いたら馬鹿な考えだと笑うだろうか。笑われてもいい。こんな恐怖から逃れられるのならば僕は手段を選ばない。例外は、今しようとしている餓死だ。なぜなら、僕は痛いのがいやだからだ。痛い思いをしてまで自殺しようとは考えたくもない。だから餓死を選ぶ。飢えの苦しみはあるだろうが、痛みはないだろう。
あぁ、早く殺してくれ。こんな世界で生きていきたくない。身体は自分の希望を叶えてくれるいい『道具』だ。これを使わない手はない。これだけ願っていればすぐに死ねるだろう。はやく………、はやく僕を殺してくれ!!!!
殺してくれと願ってから一日目、身体に変化は起きていない。願う前までに衰弱していた身体のままだ。これならば五日くらいで死ぬことが出来るだろう。
二日目、1日目とあまり変わらない。ただ、お腹が空いて死にそうなくらいだ。これはいい傾向だ。さぁ、はやく僕を殺してくれ!
三日目、そろそろ空腹が…限界、に達してきて、……意識が…もうろう、としてき…た。水すら飲んで…いなかったので、当たり前だろう。さぁ…はやく!………………はやく僕を殺してくれ!!
四日目、呼吸するのも……つらく、なってきた、少し身体を動…かすだけでも力、が入らない。もうすぐ………死ねる、だろうか。あぁ、はや、く、ころ…ころしてく、れ。
五日目、い、しき…すらつなぐのガ、ムズカ…しイ、しコウがまトマらない。あぁ、……ぁぁ…………………シにた、くな……い。……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
まだ続きますよ。




