狂乱
第六二話です。
楽しんでいってください。
どんどんと探索を進めていった僕はかなり歩き回って上への階段を見つけた。一応上の状況を見てみようと上っていった。
「………え?」
のだが道が途中で崩落していて進めなかった。帰る事は出来ないのかと一瞬焦燥に駆られたが、すぐに持ち直してどうにかして進めないのかと考えを巡らせる。そしてすぐに『錬成』を使って岩などをどかそうと試みる。
試した結果今の錬成技術では岩をどかすことが出来なかった。相当固いのか他の魔法技術が利用されているのかどうにも出来そうもない。
次に『炎槍』で破壊しようと試みる。数十発、数百発たたき込んで岩を粉々にしようとする。結果、先ほど出来なかったのから予想はしていたのだが一欠片も欠けていなかった。火力ぶっぱの攻撃を受けてもダメージを受けない岩を憎らしく思い、もう帰れない事を半狂乱になりながら嘆いた。
「あぁ、ああぁぁぁぁぁぁ!!なんで!!なんで帰れないんだよ!!頑張っただろ!僕は頑張っただろ!何かしらの報いはあってもいいはずだ!帰せ!帰せよ。…………うあぁぁぁぁぁ!!!」
大声を出していると魔物が寄ってくるというのにそんなことはどうでもいいというように感情をぶちまける。
しばらく泣き続けて疲れた僕はふと周りを見回した。
「「「「ぐるるるるぅ!」」」」
「「がぁぁぁぁ!」」
なんと狼四匹と熊二匹が僕を囲んでいた。泣いているときにおそってこればいいのになぜ、とは思ったが敵なのですぐに左手で魔法陣を取りだし発動をする。当たった端から黒焦げになって焼失していく十分もすれば魔物達は灰燼となった。
意気消沈しながら元の泉の所に『転移』した僕はそのまま毛布にくるまって泣きながらふて寝を決行した。
次に起きた僕は生きる気力もなく生気の抜けた雰囲気でボーッとしていた。もう帰れないと分かった途端に生きている価値などないと思ってしまい、このまま餓死でもしようかとも考えたが、帰る事が出来る可能性はまだなくなってはいないと思い気を持ち直した。
すぐに準備をして階下への階段へと向かう。ここから上への道が繋がっている事を信じどんな手段を使ってでも地上へと戻ることを決意しながらも、どうせ繋がっていないだろうから死んでもいい。でも希望にはすがっていたいから死ぬ前提で動こうと決意した。




