三種の魔法
第六一話です。
楽しんでいってください。
探索を始めようと穴の方に向かったが今の武装のままじゃ心許ないなと思い『異空間収納』から適当な魔法陣を見繕って取り出す。そして腰のあたりにしまっておく。
今取り出したのはこの前自分で製作した『エアブラスト』という魔法だ。この魔法はこちらに近づいてきた魔物を強い風圧によって遠くへと飛ばすことが出来る。これを緊急の場合に使えば時間を稼げて『転移』で逃げることも可能ということだ。まぁ緊急の場合に自分の手が動くかは分からないが。
一応、今装備しているのは『炎槍』『エアブラスト』『転移』の三つだ。この三つがあれば安全に魔物を狩ることが出来るだろう。『炎槍』で魔物を蹴散らし、『エアブラスト』で安全マージンを取り、『転移』で帰還。素晴らしい組み合わせだと思う。
魔法陣の次に食料も取り出して早速探索を始める。前回行ったところまでは地形が分かっているので警戒しながらもするすると移動することが出来た。問題はここからだ。ここからは未知の領域なので危険がたくさんあるだろう。だから左手に『炎槍』を持って進む。
『炎槍』を使うと魔物が寄ってきそうだが魔力が一杯ある僕には関係のないことだ。もし大量に押し寄せてきても燃やし尽くしてやる。
僕の一番の懸念材料は魔物の数ではなく魔法が使える個体が混ざっていることだ。その個体がいれば遠距離で攻撃されることになり、今の装備では防ぐことはかなわないだろう。片腕しかない僕には対応が難しいのだ。
魔法対策が出来ていないから自分で使えるのに無効化出来ないという状況に陥ってしまう。だからこその懸念材料なのだ。
まぁそこまでこの洞窟に魔物はいないだろうと割り切り、警戒しながら進む。前回来たときのように出会ったとしても1,2匹程度しかいないだろう。
警戒しながら進んでいたらまたもや2メートルほどの熊に遭遇した。腕をもがれたときのトラウマがよみがえりそうになるが耐える。ここで錯乱したら死ぬことになる。深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
数秒深呼吸して落ち着いたら魔法を発動する。一度に十発くらい出現させて熊へと向けて放つ。熊は結構固いので百発は必要だろう。数の暴力で相手を打ちのめす。二分後にはこんがりと黒焦げになった熊がそこにいた。
やはり数は驚異だと再認識して先へと歩みを進める。洞窟内は暗いが『暗視』の魔法で視界が明るいので洞窟内の隅々まで観察・警戒しながら進む。
それから数時間魔物と出会っては殺してを繰り返して進んでいたら階段を見つけた。よくよく見ると階下への階段だった。下へと行く階段があるなら上へと行く階段もあるだろうということで探したがすぐには見つからない。まぁまだ探索していない場所もあるので気長に探索していくことにした。




