死にたくなぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!
第四九話です。
楽しんでいってください。
熊に追詰められた僕は「死」を覚悟しながらどうせなら、と最後に創った魔方陣を起動させて見ることにした。もう頭の中がいっぱいいっぱいで変なことを考えているのかもしれない。
だが、最後に出来ることと言ったらこれくらいしかないのだ。自分に今持っているこのナイフを使って戦えるわけでもなく、本当に何も生き残るために出来ることがない。可能な事といえば、使えるかどうかも分からないこの魔方陣に生殺与奪を預けることだけなのだ。
こんな事を考えていても何にもならない。死を覚悟しながら魔方陣に魔力を1残して全て流す。
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………何も起きない。
くそぉぉぉぉ!!最後の望みを掛けた魔方陣は何も起きないのかよ!!こんなのじゃ死んじゃう!
魔方陣に対して怒っている最中でも熊はどんどん僕に近づいてくる。
「あ…あぁぁぁ……し、死にたくない!!」
そんなことを叫びながら熊に背を向けながら四つん這いで離れようとする。腕を切断されているのと、先ほど魔力をほとんど使い切ったせいでけだるくてまともに動くことすら出来ない。これでは死ぬしか道は残されていない。刻一刻と死への道が迫ってきている。
腕から血が抜け出てだんだんと寒くなってきている。頭に血が回らなくてまともな思考が出来ない。どれだけ命をつなぐ方法を考えようとしても頭の中が真っ白でなにも考えられない。
「い、いやだぁ…いやだ!いやだ!いやだ!いやだぁぁぁぁ!まだこんなところで死にたくない!!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でわめく。もうほとんど何も考えられない。必死になって熊との距離を広げようとしているが四つん這いでの移動距離はたかが知れている。その間にも熊はどんどん僕との距離を詰めてきている。
自分には死を受け入れることが出来ない。だが何をすることも出来ない。
壁が迫ってきた。もうどこに行くことも出来ない。僕はもう一度熊の方を向いた。今、何も出来なくても呪う事くらいなら出来るだろう。そう思いながら熊をにらみつけた。
熊は僕の数メートル先にいた。こちらを睥睨しながら腕を振り上げた。最後の瞬間までお前をにらみ続けてやる。
「ぐおぉぉぉぉ!」
熊が雄叫びを上げながら腕を振り下ろし始めた。
「死ねぇぇぇぇぇ!」
それに合わせ僕は怨念を込めて叫んだ。
熊はそのまま僕の頭をかち割ろうとしているのか熊の腕が僕の頭に迫ってきた。確実に僕を殺そうとしているのだろう。それに対し、僕はにらみ続ける。恐怖すら見せずに死ねたらいいが……。
そう思った瞬間、
僕の目に映る景色が変わった。




