魔法ってすげー
第四三話です。
楽しんでいってください。
食堂に着いた僕は席について昼食が出てくるのを待っていた。するといつもは僕よりも先に食堂にいる央樹が入ってきて僕の隣に座った。
「よう。制作ははかどってるか?」
「よ。……まぁまぁかな。まだ良さそうなのは出来てないよ。」
「そうかぁ。気長にやってくしか無いよな。まぁ頑張れや。」
「おう。ありがとな。」
そう言葉を交わしていたら二人分の食事が運ばれてきた。
「お、来たな。んじゃ、いただきま~す。」
早速央樹は食べ始めたので僕も食べることにする。
「いただきます。」
それから10分ほどで食べ終わった僕たちは解散した。央樹は部屋に戻って訓練の準備をしに行ったが、僕は魔方陣などを持ってきていたのでそのまま訓練場へと向かった。
訓練場に着いたがなぜかいつもはいない数人のクラスメイトがいた。今日はこの時間に訓練するのか分からないが、そいつらがなぜかこちらの方を向いてひそひそ何かを話している。
(まぁ、直接的には関係ないからどうでもいいか。)
そう思いながら訓練場の端っこまで行って魔方陣を開き始める。そしてクラスメイトもまだこちらを見ている。
(集中出来ないからこっちを見ないでもらいたいのだが……。)
魔方陣を広げ終わった僕は魔方陣に魔力を流していった。『追い風』を元にやったので風属性の魔法ができあがるとは思う。
例によってやはり一回目はなにも起きなかった。なにも起きなかった事は気にせずに次の魔方陣へと意識を向ける。二つめにも魔力を流していく。……だがこれも何も起こらなかった。その次もやってみる。すると、
「…………びゅおぉぉぉぉぉぉ!!!」
「ん?うわぁっ?!ちょっ、とぶぅ」
いきなり突風が吹いたかと思えば5メートル先の地面に直径2メートル、深さ50センチ位の穴ができあがっていた。
「え?…………こ、恐っ!なんでさっきの突風でこんな大穴が出来るの?!これ直撃したらつぶれるだろ!」
ただでさえ固い地面が風の力で50センチもつぶれるくらいなのだから、今の魔法にどれだけの力が使われてるのか考えただけで末恐ろしい。見ていたクラスメイトも目を見開いて驚いているようだ。
「これは要研究だな。こんな近かったら危険だ。」
今の魔方陣は要研究するということにして次の魔方陣へと移った。
普通に創った方の4・5枚目は魔力を流しても何も起こらなかった。なので今から残りの2枚、ロマンの2枚をやっていこうと思う。
だが、今はナイフなどを持ってきていないので今から部屋に取りに戻ろうと思う。何が起きるか分からないからね。それと一応後からロイスさんも呼んでおこうと思う。
それから僕は装備を整えてロイスさんを呼びに行った。
ドアをノックするとすぐにロイスさんが出てきた。
「……ん?どうしたの?そんな装備して。」
「これから魔方陣を発動させようと思ったんですけどちょっと怖いので一緒に来てもらって見ていて欲しいなとおもいまして……。」
「あー、分かった。ちょっと待っててね。部屋の片付けだけして行くから。」
「了解です。」
ロイスさんは部屋の片付けに行ったが前回同様にすぐに終わらせて出てきた。
「よし。じゃぁいこうか。」
「はい。」
そして部屋から出てきたロイスさんと訓練場へと向かう。少し歩いてすぐについた。
「じゃこれからやるので少し離れていてください。」
僕の声を聞いてすぐにロイスさんは離れた。なので遠慮無く魔方陣に魔力を流していった。すると目の前に黒い球のような物が出てきた。一応離れておこうと思い後ろに進んでみると一緒についてきた。怖くなってロイスさんを見てみるとなぜか目を見開いて口も「ぽかん」という音がしそうな程に大きく開けていた。それに少し毒気を抜かれたような気がしてロイスさんに聞いてみることにした。
「あ、あの、これって何ですか?ちょっと怖いんですけど……。」
「………………ん?あっ、ああ、それは一部の者にしか使えないと言われている『異空間収納』という魔法だった。そしてそれは『技能』のなかに現れるものだ。と書物で読んだ気がするけど魔方陣でも発動するとはね……………だけど確証が持てないから一回手を突っ込んでみたらどうだい?」
「え、これに突っ込むんですか?」
「そうだよ。そうしなきゃ何の魔法か分からないだろう?」
「そ、それはそうですけど……。」
「さぁ、思いきってやってみな!」
「あぁもう!やってやりますよ!」
そう叫びながら僕は黒い球に手を突っ込んだ。すると何か頭の中に文字が浮かび上がった。
「ん?なになに?「今は何も入っていません」?……え?これほんとに『異空間収納』なの?」
「だろうね、その言葉が出てきたのなら間違いなくあってると思うよ。」
いつの間にか僕の近くに来ていたロイスさんに少し驚きながらも確信する。これは『異空間収納』なのだと。
そう分かったのならやってみることは一つ。物を入れてみることだ。一番近場にあった腰に下げたナイフを突っ込んでみた。すると球の中に吸い込まれていった。もう一回球の中に手を入れると頭の中に「ナイフ×1」という文字が浮かび上がってきた。それを取り出してみる。先ほど入れたナイフが僕の手につかまれて出てきた。
「やっぱりそうだね。いっかい部屋に戻っていろいろな物を入れてきたらどうだい?」
「あ、いいんですか?じゃぁ行ってきます。」
「すぐに戻ってきてね。」
「はい!」
そう言われた僕は急いで部屋へと戻るのであった。
なぜか今日ははかどってしまい二〇〇〇文字強書いてしまいましたが楽しかったので読んで頂けると幸いです。




