ミスっただけ……
第一〇四話です。
楽しんでいってください。
呆然から解けた俺はすぐさま使った魔法陣の確認に入った。自分で思い描いていたこととは違ったが、結果的にはいい方向に作動してくれた理由を魔法陣の中から見つけ出すためだ。
今回創った魔法陣は、空間属性の魔法言語を、今でも使われている魔法言語の接続詞のようなものを使ってつなぎ合わせているのだが、そのどれがいい影響を及ぼしたのか。理解している空間属性の単語だけでは、干渉が絶対にできない脳という領域にどうして入り込めたのか知りたい。
その思いから魔法陣の単語一つ一つをしっかりと確かめながら三〇分。やっと見つけた。ちゃんと描いていたと思っていた部分がスペルミスで一文字抜けて、つながっていることにくづいてしまった。
「えぇ、すごいと思った理由が単なるミスかよ……。まぁ、でも、このミスをしなかったら成功できていなかったかもしれないから感謝だな。でも、元の創ろうと思っていた方の奴と、まだ起動していない魔法陣を試用してみるか。」
思わぬ、というか自分の過失であったが、完成させることができて本当に良かった。というか、未だに偶然で性能のいい魔法ができてしまっていることになんとも言えない気分になってくる。まだまだ理解が足りないな。
でも失敗で新しい単語を見つけるってどれだけの可能性だよ。しかも現代のものではないロストマジック方向の単語だし………。
そういえば、この間違えをしたときに考えてたことが『紙じゃなくて、頭に直接書き込まれたらいいのにな~』と思っていたりもしたのだが………まぁ、気のせいだろう。なんせ記憶が頭痛によってあやふやになっているのだ。試す価値はあっても今やらなくてもいいだろう。
そんなことを考えていたら、もともと作ろうとしていた魔法陣が完成したので訓練場に行って試用してみることにした。
「よし。それじゃ、やるか。まぁ、発動できなくてもあまりダメージはないから気が楽でいいな。」
まず、もともとやろうと思っていた方。何も書いていない紙を片手に発動してみると、さらさらを無地の紙面に図が描かれてゆく。なんとこの魔法陣は空間属性の単語だけでも発動するようだ。
元ができていて、ミスした場所が紙への記入する単語だったからこそ今回の魔法陣は脳への干渉ができてしまったようだ。
次に、前回一番最後にやろうと思っていた魔法陣を試用してみる。単語のミスは先ほど確認した限りでは見受けられなかったので、魔法陣の構成が間違っていない限り発動するはずだ。
そして、魔法陣に魔力を流し込んでゆく。…………………発動したと思うのだが、……ん?なんだ?この四角く区切られた魔力の塊は?
「よくわからないけど、魔法陣としては発動したらしいな。何に使うかわからないが、保管だけはしておくか……。」




