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8話 平穏な学校生活の崩壊

 (はぁ…だるいな…)


 週明け、俺は窓側の一番後ろの自分席で辛そうに授業を聞いていた。


 今の授業は古典だけど、なんか一人で先生しゃべってるし、何言ってるかわかんないし…。はぁ…とにかく…早く終われ。


 どうすれば、早く終わるかな…


 そ、そうか!寝ればいいのか!そうすれば早く終わるし!


 じゃあ、早速寝ようかなーっと思って机に突っ伏そうとしたけど


 「こら!北条くん!寝ようとするんじゃない!ちゃんと授業を聞きなさい!」


 「す、すいません…」


 なぜ、こういう時はひどく注意してくるのかな…あなたが一人で訳わからんこと話してるからでしょ。うわ…俺が怒られたことでみんな、聞く姿勢が良くなったな…さっきまであんなに眠そうだったのに…くそ、なんて卑怯な…


 と、とにかく、耐えるしかないか…はぁ…


 そうして俺は授業中、猛烈な睡魔に襲われても頑張って耐えた。


 気合いで持ちこたえ、なんとか授業を乗りきった。


 「はぁ…終わった…マジ疲れた…」


 あんなに眠たい授業がこの世にあるのか…。もう無理です。耐えきれません。


 そんな疲労感と睡魔たっぷりの俺の前に一人の男がやって来た。


 「おーい、楓。何死にそうになってんだよ。早く行こうぜ購買。売り切れちゃうぜ」


 こいつは、松島海斗。俺の友達だ。


 身長は175センチくらいで、俺と同じくらいかな?でもこいつイケメンなんだよなー。


 海斗とは高一の時に同じクラスで、初めて俺に話しかけてくれた奴だ。それから、俺は海斗とよく話すようになって仲良くなった。二年でも同じクラスになったから、今はだいたい一緒にいるな。


 「あぁ。行こっか。パンが売り切れちまう」

  

 俺たちは購買に向かい、大勢の生徒にもみくちゃにを潜り抜けなんとかパンをゲットした。


 「ふぅ……何とかゲットできたな。あ、そうだ海斗。帰り自販機よっていい?」


 「おっけー」


 購買の帰りに自販機に寄って飲み物を買い、俺たちは教室へ戻った。

 

 昼休み中、俺は海斗と色んな話をして過ごしていた。けど不意に海斗がとんでもないことを聞いてきた。


 「なぁ、楓。お前、雪野さんとどういう関係なんだよ?」


 「……………は?」


 「だーかーらー。お前、雪野さんとどういう関係かって聞いてんの」


 ……これはどういうことだろう?なぜ海斗はこんなことを聞いてきた?うーーーん?とりあえず、ど、どうしましょうね?



 「な、なんでいきなり、そ、そんなこと聞くんだ…?」


 俺はうろたえながらも、海斗に聞いてみた。


 「え?だって、お前ら土曜日、風見駅で一緒にいたじゃん。」


 な、なんてこったーー!!!ま、まさか見られているなんて!

しかも今、目の前にいる奴に見られてるなんて!!うぅ…な、なんてことだ…し、しかし…バレる訳にはいかない!


 「そ、そんなことないし…!?み、見間違いだろ!?は、はは…!」


 俺は否定をする。


 「ふーん。じゃあ、雪野さんがお前に抱きついていたのは気のせいだったか?」


 なんだとーーー!!!?ま、まさかそんな所を見られてるなんて…!ど、どうする!?負けを認めるか……!?いや…まだだ!


 「そ、そうだよ!雪野さんがお、俺なんかにだ、抱きつく?な、なんだよそれ!み、見間違いもひどいよーー!海斗くん!」


 俺は、冷や汗ダラダラ状態でまたもや否定する。


 「へぇー。じゃあ、パンケーキを食べさせあいっこしてたのも気のせいかー」


 ぎゃーー!!!そ、そんなところも見ていたのか!!??あ、あんな恥ずかしい場面を…!!くっ!も、もう認めるしかないのか!

た、だか!まだだ!こんなところで!


 「へ、へぇー!?そ、そーなんだ!??ゆ、ゆゆ雪野さんと食べさせあい!??そ、そいつはいいなぁ!!??う、うらやましいよなー!!??」


 もう呂律が上手く回らなくなってきても、それでも否定する俺。


 「……まだ、認めないか…。じゃあ、これならどうかなー?」


 そして、海斗からとどめの一言が―――――


 「雪野さんをおんぶして、すっごく顔が赤くなってたのも気のせいなのかなー?」


 ぎゃーー!!!!!!!!!そ、それもみ、見られてるなんてー!!!!!!て、てか全部見てるじゃねーか!!も、もう、ダメだ……。諦めよう…。


 「……ま、参りました…。全て海斗さんの言った通りです……。」


 「やっと認めたな!で、で、どうなのよ!」


 「いやいやいや!まず何でお前全部知ってるんだよ!?」


 そーだよ!まずはそこだよ!何で知ってるんだよ!しかも全て!


 「え?いやー!金曜日学校に携帯忘れたの土曜の朝知ってな!そんで学校に携帯取りに行って帰ろうとしたら、風見駅でお前らが見えちゃってな!それで気になって後をつけてたって訳よ!」


 「な、なるほど…へー…そうなんだ…」

 

 な、なんで!携帯忘れるんだよ!常に持っとけよ!!つ、つか帰ったら気づけよバカ野郎!!くっそー!何てついていないんだ!!


 「で!どーなのよ!雪野さんとの関係は!」


 「はぁ!?な、なんでもねーよ!む、向こうからデートしよって誘ってきたんだし!!……あ。」


 もう、そう言った時は遅かった。大きい声で言ってしまったため、必然的に教室内にいた男子達にもそれは聞こえてしまい…


 「はぁーー!???お前!雪野さんデートだと!?ふ、ふざけんじゃねー!!」「ど、どういうことだぁぁ!!北条!!!」「どういうことか説明しろぉ!!!」


 教室は完全に怒号の嵐となってしまった。ど、どうすんだ…これ…


 「ゆ、雪野さんがほ、北条とデートなんて!お、俺は認めんぞぉぉ!!!」「ぶっとばしてやる!北条!覚悟しやがれ!!!」

「殺す殺す殺す…」「…君には一回死んでもらわないとな」

 

 なっ!やばい!やばい!やばい!殺される!男子達の背後に見えるどす黒いオーラは目の錯覚だと言ってください!

と、とにかく!こいつらをなだめないと!


 「ちょ!ちょっと!落ち着けって!だから付き合ってないって!ほんとだって!信じてくれ!」


 「なに!?付き合ってないのか…?」「ふむ。それなら今回は見逃してやってもいいな」「……今回だけ」「…次はないぞ、北条」


 た、助かったのかよかったー!!マジ殺されるかと思ったよ…。


 これでもう安心―――――


 「す、すみません…。こ、こちらにほ、北条くんいませんか…?」


 だ!と思った矢先、教室に一人の女の子の声が響いた。


 ………どうしてこのタイミングで、今一番会っちゃダメな人が来てしまうんだ…


 「あ!ほ、北条くん!ちょっと今いい?」


 最悪のタイミングで教室に来た女子生徒こそ、今さっきまでずっと話題に上がった雪野凉葉その人である。隣に木村さんもいる。


 学校一の美少女であり、スタイル抜群、性格がとても良いため男子達からの人気は非常に高く、彼女にしたいランキングナンバーワンである。(2年男子調べ)


 でも…今はそれどころではありません。さ、さてどうしまょう?

雪野さんが何か俺に用があって来たっぽいし、用件だけ聞いてさっさと聞こうかな。


 「うん。どうしたの?雪野さん?」


 「えっと…今日の放課後何か予定ある?」


 「え…特にないけど…」


 「じゃ、じゃあ!きょ、今日一緒に帰ろうね!下駄箱で待ってるから!そ、それだけ!じゃあね!」

 

 そうして雪野さんは足早に教室を出ていったけど…とんでもないことをやってしまったな…。


 俺は恐る恐る周りを見てみると…


 「おい……今のはどういうことだ…?何もなかったんじゃないのか?」 「さっきのは無しだ…やっぱ殺す…」「許さない許さない許さない…」「さぁ、死んでもらうか…」


 あー、ど、どうしましょ……なんかさっきよりどす黒いオーラが男子達の背後に見えるのは気のせいだと言ってください…。と、とにかく!この場をなだめないと!


 「お、落ち着いてくれみんな!あ、あれはだな!そ、その…」


 「おい。あれを見て落ち着けるとでも?」「冷静でいられるか!」「ぶっ殺すぶっ殺すぶっ殺す…」「さぁ…裁きの時間だ…」


 あ、あれ?だ、ダメだ!も、もう無理だ!に、逃げないと!


 そうして俺は教室から逃げようとするが、ダメだ!逃げれない!2つとも完全の封鎖されている!


 「ちょ…か、海斗!た、助けてくれ…!」


 俺は海斗に助けを求めるが…


 「さ、さすがにこれはな…。楓、ごめん無理だわ!大丈夫だって!痛い思いするのは今だけだって!んじゃ!がんば!」


 おいー!!あいつ逃げやがったー!!!なんてやろーだ!!


 そして、男子達が俺の前にヂリヂリと歩み寄って来て


 「さぁ…始めようか…」


 ひぃぃ…!も、もうダメだー!!


 「た、助けて誰かーー!!!!!」


 「「「「「死ね!!北条!!」」」」」


 「ぎゃぁぁぁーー!!!!!!!!」


 そうして、俺はクラスの男子達から集団リンチを受け、全身ボロボロになって雪野さんと一緒に帰ったのでした。


 雪野さんには当然心配されたけど、「雪野さんを愛する人たちにやられました」とはもちろん言えないです。

 

 とにかく俺、校内の男子を敵に回しちゃったな…はぁ……辛い…


 こうして、前まで平穏だった俺の学校生活はどんどん崩壊していったのでした…。



 

 

もしよかったら、感想等もおねかいします!

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