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6話 俺の人生初デート④

最初は雪野さん視点です。途中から楓くん視点に変わります。

 (うぅ…ま、まさかこんなことになるなんて…)


 私―雪野凉葉のドキドキは限界を越えていた。


パンケーキ屋で北条くんにあーんすることもできたし!その後も雑貨屋とか服屋など行ったときもなるべく体が密着するように攻めて頑張ったけど…  

長時間歩いていたため、いつの間にかつま先や踵が靴擦れでひどくめくれており、気がついた時にはもう痛くて歩けないほどだった。


 で、でもその後に事件は起こったのよ!北条くんがおおおおおんぶ!!!するって言ったの!!

こ、これは想定外!もう私、すごく落ち込んでたけど…あの時の北条くんったら…天使!?いや王子様かと思ったよ…!


 それで今、私は北条くんにおんぶしてもらってるけど……だ、ダメです…。し、死にそうです…。


 だって…ほ、北条くんの顔がこ、こんな近くに…!!し、しかもこ、こここんなに密着して…!こ、こんな良いことがあっていいのかな!?あぁ…幸せ…!神様…本当にありがとうございます…!


 「うーん、どうしよう。そろそろ、暗くなって来たけど……どうする?……ゆ、雪野さん?」

 

 「えへへ………え!?そ、そうだね!じゃあ、そろそろ帰ろっか!」


 いけない!いけない!幸せ過ぎてだらしない顔出ちゃってたよ!気を付けないと…!


 「じゃあ、俺、雪野さんの家まで送って行くよ」


 「え!?で、でも北条くん、私と降りる駅違うし…さすがにそれは悪いよ!」


 「大丈夫だよ。雪野さん足痛めてるし、電車降りた後も歩くの大変でしょ?さすがに見過ごす訳にはいかないよ。あ、ちなみに嫌って言っても無駄だからね」


 「うぅ…わ、わかったよ…あ、ありがとう…」


 な、なんて卑怯なの!?あ、あんなかっこいい顔で言われたらもう、従うしかないよ!嫌って言う人なんていないよね!?し、しかも私の家まで送ってくれるって言ってくれたし!な、なんなら家の中に入ってくれてもいいんですよ!?


 「じゃあ、帰ろっか。………?」


 晩ご飯食べて…そ、そして二人でお、お風呂に入って…そ、それから!それから!寝るときは二人一緒に寝て…ベットの上で熱い抱擁を交わし…き、ききキスもして、最終的に……二人は……きゃー!!!!も、妄想が止まりません!!!!!

    

 「雪野さん?大丈夫?」


 「えへへ…………へ!?う、うん!大丈夫!じゃあ帰ろっか!」


 いけない!いけない!まただらしない顔してたね…気を付けないと…えへへ……お泊まり……!


 「じゃあ、帰ろっか」


 「うん…。えへへ…お泊まり…!」


 その後、私はずっとだらしない顔でいたため、周囲から変な目で見られていることに気づきませんでした…。

 


 




 今日は楽しかったなぁ…すごく充実した一日だった。まさか自分でもおんぶするなんて思わなかったけど…あ、あの時の背中の感触…!あれはすごかった…あ、でもまだ雪野さんの家までおんぶしないといけないんだった。いかんいかん!変な事考えてはダメだ!


 電車に揺られ、俺は今日の事を振り返る。

 いやー…あの時の感触……だ、だから考えてはダメだ!余計な煩悩は捨てろ!


 ふぅ…そういや隣で座ってる雪野さんはずっと外の景色みてるな…何考えるんだろう?疲れて眠たいのかな?なんか「えへへ…」とか言ってるけど…まぁ今日は色んなことがあったからね。


 けど、デートか…誘って来た時は本当に驚いたけど…なんだかんだ楽しかったし、良かったのかな…。そういえば、まだ肝心な所の答えをまだ聞いて無かったけど、なんで俺なんだろう?今だにわからん。


 「えへへ…」


 彼女か……。もしこんなかわいい子が彼女だったら…どうなんだろう?やっぱり嬉しいかな?嬉しいに決まってるよな…。ほぼ毎日こんなかわいい子と一緒にいれるんだぜ?そりゃもう、最高だと思う。……てゆうか雪野さん、大丈夫か?


 けど、俺に彼女なんてできるのかな…。別にかっこよくないし、たいして取り柄があるって訳でもないし…まぁ、俺のこと好きな奴なんていないと思うし…


 世の中って本当にひどいよな…だいたいクラスの中心人物はモテるし…イケメンはモテるし…それ以外の人がモテるとなると…性格がめっちゃ良いとか、人柄の良さとか?うーん…どうなんだろ?


 でも、モテたいために頑張ってクラスの中心人物になったり、イメチェンするとか、そういうことをする気はないんだよな。めんどくさいし。自分の性格を偽って他人と接するのもしたくないし…


 そもそも、そこまでして何でみんな彼女が欲しいって思うんだろ…?好きな人と常に一緒に居たいから?友達が彼女できたから、俺も欲しいとか?それとも、ただ単純に彼女が欲しいとか?


 

 まぁ、理由は人それぞれだよな…。正直、俺よく分かんないし…。欲しいのかな?どうなんだろ…今、特に好きな人がいる訳でもないからな…。好きな人がいないから、たぶん欲しいとは思ってないのかな…


 まぁ、好きな人ができたら、この人と一緒にしたい!と思うわけだし、今はそこまで深く考える必要はないか…。



 『まもなく葉山、葉山。お出口は左側です』



 考え込んでいたら、いつの間にか目的の駅に着いたな…。


 「雪野さん。行こっか」


 電車を降り、改札を通った俺は、雪野さんを家まで送るため、再びおんぶをした。


 や、やっぱりすごいな…!この感触…背中に胸の柔らかさが伝わって……いかん!考えるな!考えるな!


 余計なことを考えないように道中、俺は雪野さんに話しかけることにした。


 「雪野さん、今日はありがとう。すごく楽しかったよ」


 「ううん。こちらこそありがとう。すごく楽しかった…。でも、ごめんね。こんな事になっちゃって…」


 「いや、大丈夫だよ。こうなった事はしょうがないよ。もしあのまま歩き続けて、痛そうにしてる雪野さんを見ている方が余計に嫌だしね。だから気にしないで」


 自分の選択は間違ってなかったと思う。あの時、勇気出して言って良かったな…


 「……優しいんだね…北条くんは。……昔も今も変わらず……」

 

 「え…」


 昔…?それってどういう…


 「あ、ここで降ろして!私の家ここだから!」


 「…え?あ、うん。」 


 うわぁ…大きいな…雪野さんの家…すごい立派な家だし…きれいだし…いいなぁ…


 俺は雪野さんを降ろして、互いに向き合った。


 「ほ、北条くん…ど、どうする…?わ、私の家上がってく…?」


 なっ!?ゆ、雪野さんの家に上がれる!?ま、マジか…!じゃあ遠慮なく……じゃなくて!

 

 「そ、それはマズイよ!さ、さすがにできないよ!お家の人にも迷惑だし…そ、その女の子の家に上がるのも…そ、その…と、とにかく大丈夫だから!気持ちだけ!気持ちだけもらっておくよ!」


 「そ、そうだよね!な、なに考えてるんだろね私!ご、ごめんね!変な事言っちゃって!!」


 危ない危ない…自分の欲望に負けるとこだった…


 雪野さん、めっちゃ顔赤くしてるし…か、かわいい……


 「そ、その、きょ、今日は本当にありがとね!また…その…次はこ、恋人同士で………」


 「ん?どうしたの?」 


 「へ!?ううん!な、なんでもない!気にしないで!」


 また雪野さん、ブツブツ言ってたけど何だろ?まぁいっか。気にしなくて。


 じゃあ、そろそろ帰るか。


 「雪野さん、今日はありがとう。じゃあ、また学校で。」



 俺は雪野さんに別れを告げる。雪野さんも俺にー



 「う、うん!また一緒に遊ぼうね!楓くん!」

 


 とびっきりの笑顔で、そう言った。



 え………今……



 「ま、また学校でね!バイバイ!」



 そうして、雪野さんは顔を赤くして、そそくさ家の中に入っていった…。


 

 な、なんだろう……この感覚……



 胸の鼓動が早くなってる…なんなんだ…この感覚は…



 その後、俺は家に帰った後も、頭の中は彼女の事でいっぱいだった。

 



 

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