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5話 俺の人生初デート③

 「うわぁ…結構いるなー」


 人気のパンケーキ屋に入った俺と雪野さん。まだ昼前なのに席は大分埋まっており、この店が本当に人気なんだなぁ…と改めて実感した。


 「いらっしゃいませ!二名様ですね!こちらへどうぞ!」


 店員さんについていき、俺たちは窓側の二人席に座った。席からは店外の様子がよく見えて、すでに行列を作っていた。早く来てよかった…もう少し遅く来てたら行列の中にいたよ。


 さてと、パンケーキ屋なんて初めて来たからどういうパンケーキ頼めばいいのかな?と思っていると。


 「北条くんは、どれにする?私はこのストロベリーパンケーキにしよっかな!」


 雪野さんは2番人気のやつにするのか。うーん、さすがに同じのは止めておこうかな。


 「じゃあ、俺はこのバナナチョコパンケーキにしようかな」


 俺が頼んだのは一番人気があるパンケーキ。だって一番人気のやつ食べてみたいじゃん?気になるじゃん?周りを見ても俺が頼んだパンケーキ食べてる人多いし。


 …それにしても、女性客が多いよな。外で待っている人もほとんどが女性だし、高校生?くらいの人が多いな…あ、でも男性客も少しはいるな。


 それから程なくして注文したパンケーキがやってきた。

 

 「うわぁ…!おいしそう!じゃあ、食べよっか!」


 雪野さんすっごいキラキラした目でパンケーキ見て…うわ、めっちゃ写真撮ってるし……よし、じゃあ食べようかな。

  

 「うーん!美味しい!苺がたっぷり乗っててもう最高だよ!北条くんの方はどう?おいしい?」

 

 「うん!すっごく美味しいよ!」


 うん、マジで美味しいな。都会の女子とかは何回も食べてるのかな?…いいなぁ。いや、だってこれマジでうまいんだもん。


 「ねぇ、北条くん。私、そっちのパンケーキも食べてみたい!」 


 パンケーキを味わっていたら、雪野さんがそんなことを言ってきた。


 「え?別にいいよ?」

 

 「やった!じゃあ私のも少しあげるね!」


 やった!雪野さんのパンケーキも気になってたんだよね!なら、お皿を交換しようかな…としたその時。


 「じゃ、じゃあ…あーん…」


 「え…」


 「だからその…口開けて…」

 

 いやいやいや!ちょっと待て!今ここでそれはマズイって!!周りに人いるし…しかもこういう事って恋人同士がやることではなくて!??


 「ゆ、雪野さん…!さすがにそれはちょっと…周り人いるし…その恥ずかしいといいますか、さすがに…」


 「…北条くんは私の食べたくないの…?」

 

 「いえ!食べたいけど…お皿交換すれば良くない?」


 「…だ、ダメ…!こ、こうじゃないと私のパンケーキあげないよ!」


 うーん…困ったな…どうしよう?周り人いるし恥ずかしいし、でも雪野さんは何故かあの方法じゃないとダメって言うし…くっ!どうする俺!さすがにあーんはマズイだろ…!で、でも雪野さんのパンケーキも食べたい!どうするどうするどうする!?


 「…わ、わかったよ。その…じゃあ…あーん…」


 

 「…あ、あーん……」


 くっ!仕方ないじゃないか!食べたかったんだから!あぁ…雪野さんが頼んだパンケーキもおいしいな…けど、うぅ…めっちゃ恥ずかしい!うわぁ…めっちゃ周りの人見てるし…もう消え去りたいわ…。


 「じゃあ…次、わ、私の番ね…」


 「え…」


 「あーん」


 ちょっと待ってくれ!??これは想定外だ!!食べる側で終わりじゃなかったのか!??まさか食べさせる側もやるとは!!てか雪野さん口開けて待ってるし!ちょ、ちょっと俺の意見も聞いてくださいよ!!?

 

 「ゆ、雪野さん…?あの…やらないとダメ…ですか?」


 「うん…やらないとダメ」


 な、何故だ…何故やらないといけないんだ!?俺たち恋人じゃないよね!??雪野さんめっちゃキラキラした目でこっち見てくるし!?くっ!美少女の言うことは逆らえないのか!し、仕方ない!こうなったらやるしかないな!うぅ…周りの視線が…。い、いや!周りの視線なんか気にしてる場合か!男ならやるしかない!こんなの全然た、たいしたことないし!?


 「じゃあ…あ、あーん…」


 「あーん………うん!そ、そっちのもお、おいしいね!」


 頑張ってみたけど、も、もう恥ずかしくて死にそうだ…。なんか今ので一気に疲れてきたな…。デートってこんなにも大変なのだろうか?世の中のリア充たちは毎回こんな恥ずかしいことをしているのだろか。恐るべしリア充よ…。





 「あー!おいしかった!もう!最高!また今度来たいな!」


 「本当、すごくおいしかったね。また来たいなぁ…」

 

 「じゃ、じゃあ…次はその…私たち、こ、恋人として…その…」


 「どうしたの?雪野さん?」


 「え!?いいいいいや!?何でもないよ!?気にしないで!」

 

 雪野さん、何か言ってた気するけど…まぁいっか。何でもないって言ってるし。


 「それで雪野さん、次はどこへ行くの?」

 

 「そうだね…じゃあ!色んなとこ行こっか!」 


 それから俺たちは雑貨屋とか、服屋など、モール内の色んな所を見て回った。


 最初デートと聞いたときは不安しかなかったけど…今は楽しいな…。色んなとこ行って、なんだかんだ楽しく話したりできて…今日すごく充実しているなぁ…。こんな楽しい時間ずっと続けばいいのに…。そう思っていた時――


 「…っ!」


 「どうしたの?雪野さん?」


 「…ううん!何でもないよ?大丈夫だから!」  

 

 ん?どうしたんだろ?雪野さん。なんかすごく辛そうな顔してるし…大丈夫かな?


 「雪野さん。大丈夫?なんかすごく辛そうな顔してるけど…」


 「…う、うん…大丈夫だよ…何でもない……っ!」


  急に、雪野さんは足を押さえてその場でうずくまってしまった。もしかして足が痛いのか!?雪野さんの足を見てみると――

 

 「…!雪野さん!その足!」


 雪野さんの足の指と踵がひどく擦りむけていた。長時間歩いていたから気づかぬ内に靴擦れを起こしていたのか…。


 「だ、大丈夫だよ…?平気平気!」


 雪野さんは大丈夫と言っているけどさすがにこれは…


 「雪野さん。さすがに無理はダメだよ。ちょっと一休みしよ?」


 そうして、俺たちは近くにあったベンチに座った。


 うーん……雪野さんすごく落ち込んでるな…これからどうしよう?

あの足では歩くのはちょっと止めた方が良いし…よし!こうなったら!もうあれしかないな!


 「雪野さん。その足じゃ歩くの大変だからその…俺がその…お…」


 「?」


 「だから…その…雪野さんを…お、おんぶします!」


 

 恥ずかしいけどやるしかない!女の子が困っているんだ!助けるのが男だろ!頑張れ俺!男らしいところを見せるんだ!


 

 

 

 

 

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