4話 俺の人生初デート②
雪野さんとのデートは近くにある大型ショッピングモールへ行くことになった。歩いてる途中、周りの人たちが雪野さんをチラチラと見たりしていた。雪野さんには熱い眼差しを向けているが、俺にはちょうどその逆だ。あの…皆さんこの方は彼女ではないのですが…誤解しないでください。
「…おいあの人、すげー可愛いな」「…うわ、マジだ。モデルさんかな?」
ちょっとー?思いっきり聞こえてますよ?声にだすなっつーの。
「なんか見られてるけど、どうしたんだろうね?」
雪野さん、あなたはもう少し自分がすごい美少女という自覚を持つべきだよ。もちろん俺の口からは言えない。変な目で見られそうだし。
「…なんで男があれなんだよ」「…なんであんな男が彼氏なんだ?世の中おかしいぜ。」「…まったくだ。爆発しろリア充め」
その時、違う方向からそんな声が聞こえてきて、俺はその内容に反応してしまう。う、うるさいな!だから彼女じゃないつーの!俺だって何でデートしてるか分かんないっての!つか、リア充じゃねーわ!
…ん?
その時、腕になんか柔らかな感触がして、俺は振り向く。
「え!?ちょ、ちょっと雪野さん…!?何してるの!?」
するとそこには、俺の腕に抱きついている雪野さんの姿があって、もちろん慌てる。
「わ、わわ私は、べ、べべ別にこここここ、恋人!!に見られてもい、嫌じゃありませんよ!?」
雪野さんは顔を真っ赤にしてそう言ってるけど、ちょ、ちょっと!周りの視線がまた一段と鋭くなって…!うわ…俺、殺されるんじゃないかな?マジで。
「ゆ、雪野さん!さ、さすがにそれはちょっと…!恥ずかしいっていうかその…もうちょっと離れたほうが…」
「へ?あ!そそそうだよね!?ごめんなさい!」
「と、とにかく!はやくショピングモールへ行こう!」
「…!」
とにかくこの状況を逃れるため俺は雪野さんの手をとってショピングモールへ急いで向かった。
「ふぅ…着いた…。」
本当さっきはどうなるかと思ったぜ。マジで。野郎共に殺されるかと思ったわ。あの目…心から恨むような目で見られていたな。まぁそれもそうだよな隣が超美少女だからそりゃ男もどれくらいかと思って見るよな。そしたら全くイケメンでもないし、普通の顔ときたらそりゃ怒れるわ。何であいつなんだ!って。
はぁ…とにかく逃げれたからよかったけどこの後どうなるんだ?ショッピングモールなんて人も多いし、必然的に多くの人に見られるじゃないか。
もう、しょうがないか。デート中は視線に耐えるしかないよな。
そういや、さっきから雪野さん元気ないけどどうしたんだろ?ま、まさか!俺が急かしてしまったことに怒ってるいるのか!?そ、それはマズイ!
「ゆ、雪野さん?あのー」
「……」
うっわ…これ確実に怒らせたな。女の子を怒らせるとか俺もう最悪じゃねーかよ!あぁー!もうどうしよう!?早く謝るしかないよな!?そうするしかないよな!?
「雪野さん!ごめん!」
「あの…北条くん…手…」
「え?」
「だから…その…手…」
手?なんで手?
俺は手に視線を向けると。
あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!そうだった!俺ずっと雪野さんの手を掴んだままだった!!
「ご、ごめん!!雪野さん!!あの、これは!!その…咄嗟にしてしまって!ご、ごめん!!」
なにやってるんだよ!俺は!!いきなり大失態じゃねーかよ!うわぁ絶対キモいって思われただろうな…終わったな俺。
「そ、その…嫌じゃなかったから…」
「え?」
「わ、私としてはむ、むしろ…そのうれしい…」
雪野さんは俯いたまま何か言っているが、全く分からない。
「雪野さん?」
「へ!?あ、そそそうだ!私、行きたいとこあるんだ!早く行こ??」
「え?う、うん」
さっき何か言ってたけどなんだったんだろ?まぁいっか。
とりあえず、雪野さんの行きたいところへ向かうため、俺たちは歩き出した。
その途中、俺は今回のことについて雪野さんに聞いてみた。
「ねぇ、雪野さん。なんで俺なんかをデートに誘ってくれたの?」
「え?そ、それは…その…」
雪野さんはうついて黙ってしまった。うーん、俺には何か言えないことがあるのか?
「あ、言いたくないことなら言わなくていいよ。無理に言わせるのは良くないからね。ごめんね無理に聞いちゃって。」
「あ、うん、ごめんね。ちゃんといつかは話すから…」
「わかった。そういえば、雪野さんが行きたいとこってどこ?」
「うーん、ここら辺だったと思うけど…あ、あった!」
そこは、最近モール内にできたパンケーキ屋だ。たしかテレビでもやってて行列が耐えない場所として有名だったな。
「ここのパンケーキすっごくおいしいらしいから一度食べてみたかったんだよ!」
まだ、昼前だし行列もできてない。少し早いけどまぁいいか。俺もここのパンケーキちょっと気になってたし。
「うん。じゃあ行こっか」
「うん!」
そうして、俺たちはパンケーキ屋に入っていった。