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79 特赦の条件

「特例を認める……!?」


 何を言ってるんだろう、この女神さまは?

 なんか隣のハデスに耳打ちし始めるし。


『うむ……! ぬ? なんと!?』


 神が驚いてる!

 一体何を企んでいるんですか地母神。


『よくよく気配を察し見ればたしかに……、ここに集う人の子どもよ』


 冥神ハデスが厳かに言った。


『この中に余が与えし七聖剣の持ち主がいるな。掲げてみよ』

「「「!?」」」


 いきなり言われてビックリしたけど聖剣ってアレのことだよな?

 お願い事しているのはこっち側だし、ここは下手に出て素直に従っておこう。


 俺は自身の腰にぶら下がっている邪聖剣ドライシュバルツを掲げた。

 魔王さんは怒聖剣アインロート。

 アスタレスさんは、こないだ俺の手で復活したばかりの妄聖剣ゼックスヴァイス。


『ほう……、三振りも集っておるとは……! こやつら我が言いつけも聞かず何を安穏と……! ぬ?』


 そしてもう一つ、根元からボッキリ折れた剣を当のグラシャラさんが掲げていた。

 なんか既視感。

 あれは……!


「アタシの家に代々伝わる怨聖剣フンフヴィオレット。過去の戦いで折られてよりは、魔王に捧げる忠誠の証」


 アスタレスさんの剣もそうだったからなあ。

 俺に打たれて復活するまで。

 今の魔族の四天王の家は、全員そうやって折られた聖剣を大切に受け継いできたらしい。


「我らが魔族の神よ。この聖剣が一体……!?」

『これら聖剣は、余が汝らに与えたものじゃ』


 おう、衝撃事実。


『かつてこの世界を我ら神々が統治すると決めた時、ゼウスが天を、ポセイドスが海を、そしてこの我が大地を治めることを決め、それぞれの領域にみずからの眷族を作り出した。余がデメテルセポネと協力し作り出した生命。それこそが汝ら魔族じゃ』


 なんかいきなり創生神話を語り出したんですが。


『しかしゼウスのヤツが、強欲にも自分の治める天空だけでは満足せず、この地上まで支配しようと眷族を送り込んできた。それが今の世にいう人族じゃ』

「人族は、天空の神が放った侵略者ということですか……!?」


 なんか非難されてる気もするけど、俺は関係ないよね?

 同じ人でも違う世界から来た異世界人だし。


『それよりゼウスの生み出せし人族と、余の子らである魔族との長い戦いが今も続いておる。余にとっても、それは面白いことではない。なのでせめてもの助けをくれてやることにした』


 それが……。


『聖剣よ』


 へえ……!

 この剣って神様が作ったものだったのか?


『ただしそこまで出来のよいものではない。造形にかけてはゼウスの子、造形神ヘパイストスの右に出る者はおらぬからだ。ヘパイストスの作品に匹敵する力を我が剣にも与えるため、余はあえて迂遠な手段をとった』


 迂遠な手段。


『まず聖剣七振りを作り出し、互いに滅ぼし合って各々の魂を食らわせる。そして最後に残った一振りの剣が、他六振りの魂と共に歴戦の記憶をも吸収し、最強の一剣になる、という段取りよ』


 そして完成した真の聖剣が、人族を滅ぼすために最強の力を発揮する、と……。


『計算では百年そこらで決着がつき、真聖剣が誕生して我が子魔族らに貢献するはずだったのだが。もう千年以上経っとるはずじゃぞ? 今まで何をしておった』

『アナタ、ごらんなさい』


 地母神デメテルセポネが指さす先に、アスタレスさんの妄聖剣ゼックスヴァイスがあった。


『あの剣、既に真聖剣として完成していますわ』

『何だと!?』


 ビックリする神。

 いや俺たちもビックリですが。

 完成しているってどういうこと?


『たしかに……、これこそ六聖剣を食らい尽くして完成した真なる聖剣! しかし何故だ!? 他に二振りも健在な聖剣があるというのに!?』

『彼のお陰でしょう、きっと』


 そして地母神の指先は、今度は俺を示した。


『この異世界よりの客人には、例のヘパイストスから贈り物をされています。その力が、アナタの不完全な聖剣を完全なものまで一気に押し上げたのでしょう』


 えええええ~~~~~~ッッ!?

 そんなことが!?

 俺はただ、よかれと思ってアスタレスさんの剣を直しただけなんだけれども!!


『ねえ、異世界からのお客さん。お願いがあるのだけど、そちらの折れた聖剣も直してあげてくれないかしら?』


 え?

 それって、やっぱりグラシャラさんの折れた聖剣のことだよね?


『本来、七振りあるうちに六振りを折り潰してやっと完成する真聖剣が二振りもあれば充分でしょう』

「充分?」

『人族を滅ぼすのに』


 とんでもないこと言いだした神。


『客人さんが打ち直した聖剣をもって、人族を攻め滅ぼすといいわ。そして我が夫が本来治めるべき地上から、ゼウスのアホの勢力は駆逐される。大手柄だと思わない?』

「あ!」

『この地上が、我が夫の完全なる統治を取り戻すなんて何千年もなかったことよ。その何千年ぶりかの成果を得た者には、当然ご褒美を与えるべきではなくて?』


 つまりこういうことか?

 グラシャラさんが、アスタレスさんともども魔王さんに嫁入りできるよう、特例が許されるぐらいの大手柄を挙げよと。


 その大手柄が人族の撲滅。


 それだけやれば契約を修正できる特別扱いを許そうと。


 そしてその手段は。

 俺の手で打ち直される聖剣。

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