表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
776/1504

774 合同結婚式まとめ

 ハッピーウェディング俺です。


 思い付きで始まった合同結婚式も、思った以上に盛り上がりました。


 まずは四組抱き合わせて開催したことによって集まった参列者が多数になったこと。

 数=力。

 その方程式を証明するかのように式も大賑わいとなった。


 途中、多数のドラゴンが乗り込んできた時はヤバいかとも思ったが、それも無事に済んだ。

 ドラゴンの長たるアードヘッグさんが上手く立ち回ってくれたお陰だ。


 むしろこれがいい余興になって却って大盛り上がりになった。


 ヴィールが披露したドラゴン四駆は早速興味を集め、披露宴会場の横に特設コースが組み上げられていた。


 敗北を認めた襲来ドラゴンたちも、何故か帰らずそのまま披露宴を堪能している。


「美味い美味い美味い美味いッッ!! これがニンゲンの作る料理!? 超美味しい!」

「これに比べればおれたちは今までモンスターを丸呑みにして何をしてたんだぁああああッッ!?」


 充分な食材を用意したのだが、それも尽きそうで心配になるレベルである。


 あまりに食いまくるので、結婚の承認に降臨した神々も心配し……。


『くぉら珍客ども! 押しかけてきておいて少しは遠慮せんかぁ!!』

『そうだぞお前たちが食い尽くしたら余らの分がなくなるではないか!!』


 ハデス神とポセイドス神。

 アナタたちの用事は結婚式で終わったんだから披露宴に用はないでしょう?

 帰って。


 しかしまだまだ居座り続けて、披露宴で振舞われるご馳走をパクついていくつもりだった。

 厄介。


 披露宴にはその他にも多くの参列者がいて、それぞれの親類縁者に祝福を贈っている。


 披露宴もたけなわで、そろそろ締めくくりに至ろうという時期だ。


 まとめとして、注目すべき参列者を俺の方から何件かピックアップしていこうと思う。


   *   *   *


 まずは人魚王アロワナさん。

 ……の奥さん、人魚王妃パッファ。


 今日華燭の典を上げたゾス・サイラとは『魔女』どうしであり、しかも直接的な師弟関係にあるという。

 孤児同然だったパッファを拾い保護し、一人前になるまで育て上げたのは他ならぬゾス・サイラだというし、師弟を越えた母娘の関係と言っても過言ではなかった。


「うごごごぉおお~~ん! よかった……! よばっだぼぼぼぉ~~ん!!」


 人魚王妃パッファは号泣していた。

 母とも呼べる『魔女』の師の晴れ姿に。


「あの年増は、悪ぶってる上に強がりであれじゃあ一生一人だと思ったのに……! いい人に出会えてよかったなぁ……! よばっだあばばばばばばばば……!」


 そういやこのパッファが結婚した日にも、今日の花嫁ゾス・サイラが師匠として号泣していたっけ。

 案外似た者同士なのかもしれないな、やっぱり師弟だけに。


 そんな心温まる人間関係を見せられた一方で、他にも心温まる(?)関係を発見できた。


 人魚教師カープさんの結婚に伴い、その教え子たちが祝福に駆けつけたのである。


「カープ教諭の前途を祝してー!!」

「おめでとうございます!」「おめでとうございます!」「結婚おめでとう!!」「おめでとう!」「やったぜ!」


 カープ教諭が務めるマーメイドウィッチアカデミアの在校生たちが、拍手と共に祝福の言葉を伝える。


「そして寿退職おめでとうございます!」「教諭が学校を去っても我々は永遠にアナタのことを忘れません!」「やっとあの鬼教師から解放されるー!」「新しいステージでもお元気でー!」


 その喜びはむしろ結婚を機に教師を辞めて、学校を去ることへの歓喜の叫びだったようだ。

 まあ、管理型の煩い教師であろうことは想像しやすいしね。


 そこへウェディングドレス姿のカープ教諭は言う。


「私は教師を辞めませんよ」

「「「「えええええぇぇぇええええええええッッ!?」」」」

「むしろ何故辞めたと思ったのでしょう? 私は教師を天職だと認識していますし生涯現役の所存です。夫もその点に理解を示してくれていますし、転移魔法を利用してこれからは毎日学校へ通勤しますのでよろしくお願いしますね?」

「ひぃいいいいいいッッ!?」

「アナタたちの私への想いはしっかり伝わりましたので。それに応えられるようミッチリ指導して差し上げますよ?」


 生徒さんたちは不用意に虎の尾を踏んだようだ。

 いや、人魚だからトラフグの尾ひれを踏む、だろうか?


 まあどうでもいいか。


 人魚組の様相はこれで置いておくとして、魔族組もまた賑やかだ。


 魔族の花嫁バティは、何故か早速魔王妃アスタレスさんに差し向かいで飲み合っていた。

 二人はかつて現役四天王とその補佐官という間柄。だから距離が近いのは当然ながら……。

 魔王妃アスタレスさんは語る。


「今、バティには妻としての心得を教え込んでいるところです」


 そうすか。


「こやつは市井の人妻ではなく貴族に嫁ぐわけですので、夫を援けて家を盛り立てる役目が不可欠となります。嫁ぎ先に迷惑をかけないためにも、かつての上司である私がしっかり教え込まなくては」


 だからって今教え込まなくても……!?


 俺が呆れていると、その肩がむんずと掴まれた。


 何かと思って振り返ったら、そこにいたのはバティの姉のフルレティさん?

 この人も式に参加していたのか?


 花嫁の姉なら当然か?


「聖者様、お願いがあるんですが」

「ミシンなら上げませんよ」

「花婿をください」


 どっちにしても無茶ぶりだった。

 そんな一山いくらで売ってもらえる者じゃないですよ花婿は。


「こんな豪勢な結婚式に及ばれして私の結婚したい欲に火がついたんです。どうしてくれるんですか? そればかりか妹に先に結婚されるという姉としてこれ以上ない屈辱。この辱めを雪ぐために是非とも花婿をください。そしてミシンもください」


 両方望むな欲張りさんめ。

 どっちにしろ運命の相手は自分で見つけてください。


 相手が面倒なので振り切って逃げると、今度は人族のあの人に遭遇した。


 人族領主のダルキッシュさんだ。


「助けてください聖者様……!!」


 しかしちょっと前に会ってすぐ再会したら随分とやつれていた。

 一体どうした?


「魔族や人魚族の人たちが次々私に挨拶に来るんです……! 恭しく! 何か勘違いされているとしか思えません!!」


 うん……まあ……!

 式初めで魔王さんアロワナさんと歓談する姿が随分印象的だったからね。


 あの二人と同格と思われてしまったら、そりゃ周囲から特別な目で見られるわ。


 なんかパイプ作っといた方が便利と方々から接触を試みられるんじゃない?


「大体あの両王と親友ポジションなのは聖者様ではないですか? 聖者様こそ表に出てあのトモダチ攻勢を捌いてくださいよ! 私はもう領主としての処世力を使い果たしてクタクタです!!」


 頑張ったんだねぇダルキッシュさん。


 しかし、俺はけっして表には出てこない。

 そういう貴族様付き合いは面倒くさいから!!


 そうでなかったら最初から隠遁して農場を作ろうなんてしていない!!


 だからダルキッシュさん、もうちょっと頑張って俺の分まで!!


 助けを求めるダルキッシュさんに、非情にもスタミナ回復用のビフテキだけ渡して切り捨てた。


 さらにさらに。

 披露宴会場の一角ではさらに予想外の珍事が巻き起こっていた。


「シードゥル殿、おれと結婚していただきたい!」

「あらあらあら?」


 結婚式会場でプロポーズが行われるという自転車操業。

 やらかしているのは、さっき乱入していたドラゴンの一人?


「本日、皇帝竜夫妻が皮切りになったことで我らドラゴンを結婚できるということが知れました! このグリンツドラゴンのクロウリー・シーマの妻に、是非アナタをお迎えしたい!!」

「あらあらあら?」


 とシードゥルさんに求婚する男の竜。


 一体何があったのか? とよく見たらあの竜……たしかヴィールと対戦して負けたヤツじゃなかったっけ?

 そして罰ゲームで飲まされたのは、百パーセント濃厚ドラゴンエキス?

 しかも由来はあのシードゥルさん?


 ……ドラゴンエキスに惚れ薬の効能まであったとは……!?

 益々恐ろしい……!?


 しかしながらドラゴンもこれから結婚解禁になってアードヘッグさんブラッディマリーさん夫妻に続く新たなカップル誕生の可能性を充分匂わせる目撃談であった。


 そんな皆にとって楽しい披露宴ももうすぐ終わりが来る。


 最後のイベントだ。

 今日新たな門出を迎えた花嫁たちから、後進へつなげるブーケトス。


 それを取った者は次に結婚できるということで、そんなルール説明を受けて未婚の参列女性たちの眼の色が変わった。


「私が獲るんじゃぁああああああああッッ!!」

「いいえ私が!!」


 目の色が捕食者あるいはハンターみたいになった。

 合同結婚式は花嫁が四人いるので、投げつけられるブーケも四つ。


 自然獲得率は上がるということで未婚女性たちもやる気満点。


 さあ獲ったるぞ! とばかりに火蓋が落とされるが、この日のために特別に制作されたブーケは投げ放たれるなり全身から赤い粒子を放出……、三倍のスピードとなって天空へと飛び去って行った。


 これにて合同結婚式、円満に終了!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9co2afbzx724coga2ntiylfcbvr_efq_1d0_1xo_1qyr7.jpg.580.jpg64x0jhdli8mom2x33gjealw194q_aqu_u0_16o_rzuz.jpg.580.jpg
書籍版20巻&コミック版11巻、好評発売中!

g7ct8cpb8s6tfpdz4r6jff2ujd4_bds_1k6_n5_1
↑コミカライズ版こちらから読めます!
― 新着の感想 ―
ブーケトスの展開が前回ともつまらんなぁ。 いずれ誰かが獲るのかもだけど、引き延ばし感が半端無い。
[一言] 料理に対するドラゴンたちの反応を見るに、アレキさんは遙か昔に胃袋を掴まれていたのかもしれん。 今回の彼らも、『ニンゲンは矮小だが料理は美味いので生かしておいてやる』ぐらいには軟化しそう。
[一言] ユニコーンのBGMが脳内再生されました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ