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579 訪れる客:入店編

 やあ、ボクの名はディアブロ!

 十一歳だよ!


 ボクんちはごく一般的な魔族の家庭で、金持ちでもなければ貧乏でもない中流階級さ!

 だから魔族の一般家庭で起きることは大体ウチでも起きていると言っていいね!


 たとえば夫婦喧嘩とか!

 まさに今、その真っ最中さ!


「私と仕事とどっちが大事なのおおおおおおおッッ!!」


 これもありがちなセリフだね。

 ここ最近パパが付き合いとか言って飲みに行くことが多くなって、そのせいでママがキレがちなのさ!


 しかし今日の、結婚記念日をすっぽかしたのは大失敗だね!

 それでママの堪忍袋がせつなさ炸裂ってわけさ!


「そうは言っても仕方ないじゃないか! 先方との付き合いもあるんだし……!」


 パパもありがちな弁明を述べるけど、今日のママはそれで引き下がるテンションじゃないよ!

 今日のママは阿修羅をも上回るのさ!


「毎日毎日、酒場の何がいいのよ!? 家で食べるごはんよりいいっていうの!?」

「そこまで言うならキミも飲み屋で飲み食いしてみたらいいじゃないか! そうしたらわかるよ!」


 ああッ!?

 変に趣旨がズレていく上に売り言葉に買い言葉になっていくのよ!


 どこに着地するというの、この話!?


「いいわよ! だったら行ってやるわよ酒場に! 実のところ私も前々からどんなところか興味があったのよね!」

「しかし待て、問題がある!」

「何なの?」

「酒場はお酒を出すところだから、ウチの子ディアブロを連れていけないんだ! まさか一人で留守番させるわけにもいかないし……!」

「そうね、それは困ったわね……!?」


 ああパパママ!

 こんな夫婦喧嘩の最中でもボクのことを気にしてくれるんだね!

 何せボクは二人の愛の結晶だからね! 輝く一番星なのさ! シューティングスター!


 でもそういうことなら大丈夫ボクに任せてよ!

 要は家族連れでも行ける、酒場みたいに楽しく飲み食いできる場所があればいいんでしょう!?


 魔都の流行を抑えるボクのビンビンのアンテナによると、うってつけのお店が最近オープンしたって言うよ!


 パパママとボクの三人で、そこへ行ってみたらいいんじゃないかな!?


    *    *    *


 というわけでとても自然な流れで、ボクたちはやってきたよ!

 この新規オープンしたお店に。


 何でも喫茶店というらしいね!

 どういう意味か知らないけど!


「落ちついた雰囲気だなあ……!」


 まずは外観からチェックするよ!

 真のレビュアーこそ、細かいところまで見るものなのさ!


「お洒落な建物ねえ。なんだか中に入るのが楽しみになってきちゃう」

「来店からの雰囲気作りも酒場の基本だからね。……おっと、ここは酒場じゃなかったか。喫茶店というんだっけ? 一体どんなお店なのかな?」


 話によると、お酒ではないけれどとても珍しい飲み物をメインに扱うお店らしいよ。

 酔わないけれど、とっても刺激的な飲み物だって!


 ……ということがボクの市場調査によって判明しているよ!


「そうかそうか。では、どんな飲み物かたしかめてみるためにも早速入ってみるかな」

「あら、ちょっと待って」


 ママが何かに気づいたようだよ!


 お店の前に中庭となっているスペースがあるんだけど、そこに一体の像が飾ってあるよ!

 鎧を着た男性の像で、とても厳めしいよ!


「しかし、戦装束でありながら表情は優しく、生きとし生けるものを慈しんでいるような……!」

「彫像なのに優しげな心が宿っているかのようだわ。きっと有名な彫刻家先生の作品なんでしょうね……!」


 パパママ! これはきっと戦争の神ベラスアレスの像だよ!

 ボク事前の調査で知ってるんだ!

 初めて来るお店にはしっかりとリサーチしないとね!


「おや、そうなのかい?」


 このお店の主人は軍神ベラスアレス様を信奉していて、だから店先に神像を飾っているんだ!

 お店の名前も『ラウンジアレス(軍神の休憩所)』っていうぐらいだよ!


「ほう、食べ物お店に軍神の名前を付けるなんて珍しいなあ」

「でもあのベラスアレス像は、やっぱり本当によくできてるわあ。まるで本物。いつまで見てても飽きないくらい」

「ハハハハ、注文もせずにいつまでも店先にいたら、それこそ迷惑だよママ」

「そうよねパパ、うふふふふ……!」


 さあ、家族っぽいやりとりを終えたところでいよいよ店内に突入だよ!


 言うなればここまでイントロ、これからが本編突入ということで気合を入れ直すよ!

 ということでドアオープン!


「いらっしゃいませ」


 ドアクローズ!


 何故ドアを閉めたかというと……。

 店内で『いらっしゃいませ』と言った人の雰囲気が明らかにヤバかったからさ!

 カタギじゃないよね、あの気配は絶対!


「……彼は店員かな?」

「知らないわよ、こういうお店はパパの方が詳しいんじゃないの!?」


 いや、たしかに店員で合ってると思うよ。

 それっぽいピッシリとしたスーツ着ていたしね。


 でも一つ問題なのが……。

 なんであんなに怖そうな人なの!?


 超怖い。気配からして怖かったんだけど!

 その眼光に射抜かれて、いたいけな子どものボクなんてビビってオシッコちびりそうだったよ!


 怖いよあの店員!

 殺し屋みたいな目をしてたよ!


「これは……別の店にした方がいいかもなあ」

「そうねえ、最悪家に戻ってママがお料理してもいいわよねえ」


 ボクもその案に賛成だよパパママ!

 勇気ある撤退も名将の条件だよ! 君子危うきに近寄らず! ここは転進あるのみだよーッ!!


「はい、ご来店ありがとうございますー」


 ぎゃあああああッ!?

 ドアの方から開いたよッ!


 ボクたちを逃すまいと飲み込むかのようだよおおおおおおッッ!?

 ……あれ?

 あの殺し屋のような目をしたオジサンの店員じゃない?


 女の人だよ?


「喫茶店へようこそ! 私はウェイトレスのチェルチュです!」


 ふぉおおおおおおおッッ!!

 メイド服だよ! メイド服を着ているよ、このウェイトレスさん!!


 メイドウェイトレスさんだよ!


「そうだな! ロングスカートなんてよくわかっているな!」


 メイド服のウェイトレスさんにパパもボクも大興奮だよ!


 今決定しました、この喫茶店は星五つです。

 ボクラン調べ。


「オホホホホ……、飲食店なんだからウェイトレスさんぐらいいて当然でしょう? 知らないけれど」

「ぐぼぉッ!?」


 あいたッ!?

 ママから蹴られたよ、ふくらはぎ辺りを強烈に!


 パパも蹴られてママ渾身の二連キックだよ!


「さあ折角だから入りましょう? 店の前で突っ立っていると迷惑よ?」


 ぐッ、そうだね……。


 と色々すったもんだはあったけれど結局入店することになったボクたちだよ!


    *    *    *


 さて、店内の席に座って、改めて落ち着くよ。


 ……内装もなかなかいい感じだね。


 上品で統一感があって、これならボクのセンスも大満足だね。

 外観もよかったし、メイド服のウェイトレスもいるし、お店の雰囲気自体はマジで星五つだね。ボクラン調べ。


 ただ一つ、あの超怖いオジサン店員を除けば。

 お店の全体の雰囲気が落ち着いているのに、あのオジサン一人で緊張感がMAXだよ。

 どういう采配なのアレ?


 そのオジサン店員は今、黙ってカウンターの向こうでコップを磨いているよ。

 静かなのが余計に怖いよ。


「お待たせしました、こちらがメニューになりまーす」


 このウェイトレスのお姉さんが救いだよ!


 さーて、メニューメニュー。

 何を頼もうかなー?

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書籍版19巻、8/25発売予定!

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↑コミカライズ版こちらから読めます!
― 新着の感想 ―
[一言] UO民ですね?
[一言] 1年前のディアブロくんを読みたい人は、【384 出会い触れあい】を読み返そう♪ ^^
[一言] チェルチュちゃん、ナイス。 マスターだけだったらこの店はつぶれる。 さてイラスト入りのメニューにしているかな。 イメージは初心者にとってとても大事。
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