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1462 ジュニアの冒険:サメマニアが喜ぶ戦い

 武泳大会一回戦。

 僕の相手はベテランの強豪シャーク将軍。


 獰猛な性格が特徴の御方だ。

 そんなシャーク将軍が繰り出す攻撃は……。


「まず見せてやるぜぇーッ! テメエのオヤジに食らわせるつもりで編み出した必殺技、その一!!」


 その二、その三があるような言い方やめてください。


「必殺シャークネード!!」


 うおおおおおおおおッ!?

 シャーク将軍の!? 両手から!? 凄まじい勢いの!? 渦が!?


 巻き込まれて回されるぅうううううッ!?


「シャーッハッハッハッハ驚いたか!? オレは聖者と戦った時、同じような方法でブチ転がされたんだぜぇ! ゆえにパクってやりかえす! 意趣返しには絶好のシチュエーションだぜぇーッ!!」


 なるほど父さんはきっと『至高の担い手』で海流を操作し、局地的な渦潮を作り出したと推測する。


 では、ギフトを持たないシャーク将軍は、一体どうやって水流を操って?

 気か!?


 ……いや、違う。

 左右の腕をグルグル回すことによって海流を作り出している!? 尋常でない高速度で!?

 意外と力技だった。


 しかしその力技に翻弄されている現状。

 フィジカル侮りがたし。


 このまま流れに身を任せていたら、バトルフィールドの外まで押し流されて場外負けになってしまう。

 ポッと出てきた試合ルール。


 ならば僕の『究極の担い手』で何とかできるはずだ。

 僕の能力は、父さんのギフトと大体同じことができるのだから。


 修行の旅の成果で空気流を掴み取ることも会得できた僕。

 より触った実感を得られる水なら、より難易度は低いはずだ。


『究極の担い手』発動! 水流を鎮めろ!


「さめぇええええええッ!?」


 激しい海流は霧散し、静謐な海が戻った。

 シャーク将軍、アナタの新技は破れましたよ。


「シャーックックックック……、なるほど歯ごたえのある敵だぜぇ」


 新しい笑い方出てきた。


「ならば聖者にぶちかますよう新技その二と行くぜぇ!!」


 ホントにその二あった!?


「当たり前よ! オレは聖者が出場する時に備えて毎年新技を用意してきたんだぜ! そのたび未発表技がストックされる道理だぜぇえーッ!!」


 ええッ、じゃあまさか。

 父さんが出場しないお陰で日の目を見なかった必殺技があと十以上はあるってことじゃないですか!?


「それ以外あると思ったか!? くらえ必殺ダブルヘッド・ジョーズ!」


 今度の技は両手から繰り出される二方面攻撃。

 一方を防げばもう一方に食いちぎられる。そういう戦略か。


 だがしかし! 向こうの手は二本、こっちも二本。

 両手でそれぞれ阻めばいいだけだ!


「それで凌いだと思うのは浅はかだぜ! すぐさま必殺その三、トリプルヘッド・ジョーズ!!」

 なにぃ!?

 両腕を防がれた状態からの三撃目……頭突きだと!?


 ガチゴンッ。

 あいたぁ……!


 目の前に火花が散った。

 頭がグワングワン言う。完全不意打ちでまともにくらってしまったが、真実ただの頭突きだった。

 なので致命傷にはならず、精々海中をジャブジャブもだえるぐらいだったが、してやられたことに変わりはない。


「シャーッハッハッハ! オレ様の鮫頭はよく効いたみたいだな! 息をつかせずガンガン行くぜぇーッ!!」


 ええーッ? まだあるの!?


「そりゃそうだぜ! テメエのオヤジに待ちぼうけを食わされた数だけ必殺技は残ってるんだぜ! 次はその四、ゴーストシャーク!!」


 霊体技!?


「必殺その五、アイス・ジョーズ!!」


 氷雪系!?


「必殺その六、シャークトパス!!」


 触手系!?

 そのあともロボシャークやらゾンビシャークやら様々バラエティ豊かなシャーク技を浴びせかけられる。

 僕はそのたび吹っ飛ばされそうになりながらもなんとか踏みとどまり、試合は長期戦へともつれこんでいった。


「……必殺その十四、シン・ジョーズ!!」

「防御全振り!」


 その技にも……耐えたぞ!

 さあもう必殺技は打ち止めか!?


「な、なんてことだ……! オレ様の必殺技すべてに耐えきりやがった……!」


 目前の事実に衝撃を受け、ワナワナと震えるシャーク将軍。


 たしかにアナタの作り上げた必殺技は、衝撃的なアイデアでこちらを驚かせるものばかりだった。

 そのインパクトでやられる寸前までのけぞらせたが、しかし押し切るところまではいけなかった。


 それは何故か。


 必殺技を編み出す……その行為にのめり込みすぎたあまり、それが達成された時点で満足してしまった。


「そうか……オレに足りなかったのは練り込みか。そのせいですべてはB級に留まってしまった……!?」

「それでも面白味はあると思いますよ」


 それはそれとして。


「農場豪農波!」

「さめぇえええええええええええッッ!!」


 満を持して反撃に、シャーク将軍はあえなく沈んだ。


「試合終了! 勝者ジュニア!!」


 終了コールと共にパチパチとまばらな拍手が成る。

 反応悪いな。長引いた分泥仕合だったか?


「負けたぜぇ……。さすが聖者の息子は精強だな」


 敗退しながらも、ケロッと立ち上がってくるのは将軍ならではの屈強さだ。


「いや、オレ自身に負けたのかもしれねえなあ。聖者との再戦を渇望するあまり、ヤツを驚愕させる新必殺技づくりにばかり没頭して真の鍛錬を怠っていた。オレ自身が強ければどんな戦いにだって負けないはずだ」


 シャーク将軍はそんなにも父さんとの再戦を楽しみにしてたんですね。

 それなのに父さんは出場を渋って……。

 いや、それは父さんの自由か……ハッキリ再戦を約束したわけじゃないしな。


「オレの心の緩みが生んだ敗北を受け入れるぜ。……小僧、テメエはこんなダゼェ失敗するんじゃねえぜぇ。後進の教訓になれたんなら、オレの無様もそこまで無意味にならねえ」


 参考にさせていただきます。

 この無秩序なまでに濫造された企画の山を。


「では敗者は余裕シャクシャークに去るとするぜ。フカーッカッカッカッカ!」


 また笑い方が増えた。

 こうして僕は何とかして一回戦を突破。

 初戦敗退というイヤンな結果は避けることができてよかった。


 それに一回戦第一試合ということは、終わってしまえば二回戦が始まるまで当面フリーになるということ。

 その点は有難い。


 残りの一回戦が消化されるまでせめてのんびりさせてもらうとするか……。


   *   *   *


「一回戦第二試合、終了!」


 と思った矢先に、もう第二試合が終わった!


 何だこのスピーディーさは!?

 シャーク将軍の必殺技全披露で大概時間のかかった第一試合への当てつけか!?


 いいか、お前ら後続がサクッと決着させるほど僕の休憩時間が短くなるんだぞ!

 そこのところ考えて『武泳大会は踊る、されど進まず』的な感じでながーく伸ばしてくれなきゃ……!


「おお、すまねえ。これに勝てれば懐かしの甥と勝負できると思ってよ。ついリキんじまった」


 ……。

 はい?


「それに相手が弱いのも悪いんだぜ。オレの本気の三分の一も受け止めきれねえとは。少しは花持たせてやるつもりで穿ったんだがな。歯応えがねえ」


 一回戦第二試合、勝者。

 王弟テトラ。


 現人魚王アロワナの弟。


 同じくアロワナおじさんの実妹プラティを母に持つ僕から見た間柄は、母の弟。

 すなわち叔父。


 そして第二試合の勝者ということは、既に第一試合に勝利した僕にとっての、二回戦での対戦相手になるということだった。

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― 新着の感想 ―
サメは日本人大好き…テトラ君も農場学校で学び強くなった…「幼少期のジュニアにやられたリベンジ」を胸に…
「YAWARA!」の猪熊柔VSマルソー(フランス)戦思い出した あの時は柔が最初に技あり食らって そのあとは防御に専念してマルソーの繰り出す技をすべて防ぎきって 出せる技が無くなって動揺した隙を狙って…
サメは最終的に 負けることが多いからね
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