表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1182/1419

1180 終末予言

 涼しくなってきた。

 異世界の秋が去ろうとしている。


 今年は農場国関連で色んなことがあり、いつも以上に目まぐるしい一年であったが、それでもやるべきことをかかすことはなかった。


 農場本拠での収穫も滞りなく終わり、貯蓄分のいくらかは農場国に住み込みの開拓者たちに配る予定。

 来年からは本格的にあっちでも農耕を始める所存だ。


 子どもたちの誕生日も例年通り盛大に祝った。

 プレゼントには、長男ジュニアにはDX超合金千手観音像を、次男ノリトにはZZガ○ダム二十八話再現セット、そして三男ショウタロウにはまだ赤ちゃんであることから最新鋭スマート機能付きガラガラを用意した。


 皆大喜びしてくれてお父さんも頑張って制作した甲斐があった。


 それからもう一つ、冬が本格的に訪れる前にやっておくことがあった。

 大地の精霊たちと戯れることだ。


 大地の精霊は、我が農場に土着してくれている霊的存在。

 自然の運行を司り、本当なら非物質の存在で目で見ることはできないが、ウチでは神々の不思議パワーで実体化し、見ることもできれば触れ合うこともできる。


「たわむれですー!」

「かみがみのたわむれですー!!」


 実体化した大地の精霊は小さな女の子の姿で滅茶苦茶可愛い。


 しかし大地に属するモノとしての在り方か、冬は地中へと還りよく年春までの長い充電期間に入る。

 なので今のうちにたくさん遊んでおこうと秋には大地の精霊たちと盛大に遊ぶのだった。


 よーし、皆で遊ぶぞー!!

 キミたち何して遊びたいー!?


「かけっこですー!」

「おにごっこですー!」

「たかおにですー!」

「いろおにですー!」

「かてんきょうこつからまつしんぢゅーですー!」


 と大地の精霊たちと色んな種目で遊んだ。


 はーはー……さすがにこの年で一日中駆け回り遊ぶのは疲れる……!?


 さあどうだー?

 大地の精霊たち楽しかったかー? 一冬分まとめて遊べたかー?


「たのしかったです―!」

「まんぞくまんぷくですー!」

「しゅうまつぶんだけ、あそべたですー!」


 そうかそうかー。

 大地の精霊たちが楽しんでくれたのならそれで。


 ……しゅうまつ?


 今大地の精霊のうちの誰かが『しゅうまつ』って言った?

 週末?

 いや、大地の精霊の言うことは基本意味ないから、いちいち引っかかるのもアレなんだが?


 反応してたらヤバいフレーズもそこそこあるしなぁ……。


「おわるほうの、しゅうまつですー!」

「せかいのおわりですー!」

「まっせをむかえるですー!」


 !?

 大地の精霊たちの言うことが本格的に不穏!?


 どういうことだ?

 またいつものスレスレ発言なのか!?


 いつもの言動がいつもなだけに読み切れない……!?

 仕方なし、もう少し詳しく聞いてみることにしよう。


「みんなと会えるのも、ことしで最後ですー」

「らいねんは、みんないなくなってるですー」

「こころの中で生きつづけるですー」

「おもいでは、あしたのいりぐちにおいてくですー」


 ……。

 ダメだ、大地の精霊たちの言葉を聞けば聞くほど不安になってくる!


 そもそもいたいけな精霊たちから、こんな不穏なワードが出てくる自体ホラーな感じでガクブルなんですけれど!


 何が? この世界に何が起こっている!?

 誰か答えてプリーズぅううううううッッ!!


   *   *   *


『……精霊界が何やら不穏ですのう』


 こういう時に頼りになるのがノーライフキングの先生だった。


 聞けば大体答えてくれる、俺たちの生き字引。


「精霊界……ですか?」

『大地の精霊たちも精霊の一部。本拠の気配に影響を受けてきているのでしょう』


 なるほど。

 元凶は精霊界にあり?


「しゅーまつですー」

「しゅーえんですー」


 やはり物騒なことを言い続ける大地の精霊たち。


 この現状でも改善できないものか。可愛い大地の精霊たちの不穏な言葉遣いは地味にくるものがある。


「そもそも精霊界って何ですか? 神々が住んでるところ?」

『そちらは神界ですな。紛らわしいですが神界と精霊界は明確に違う場所なのです』


 先生は言う。


『神々はこの世界を作り出し、今日に至るまで維持し続けている。……と思われていますが、それは正確ではありません。正解半分間違い半分といったところですな』


 ほう。

 まあこの世界の神々の性格も把握できていますからなんだか納得ですな。


『神々が、この世界の成り立ちに影響を及ぼしているとすれば、直接影響しているのが精霊です。精霊は、自然の構成素そのもの。大地や水や大気……それらが生命力をもって息づいているのは、精霊たちが宿っているからなのです』


 ……。

 そういえば大地の精霊が実体化したのはいつぞや冥神ハデスが何かやらかしたのがきっかけでしたけど。

 それもあってか大地の精霊はハデス神の管轄というイメージが漠然とあったんですが。


『もちろん神と精霊は上下関係にあります。神は、精霊に命令できるからこそ世界を管理し、時には思いのままに操ることができます。しかし逆に言えば、神がそのように全能に振る舞えるのは精霊あってのことなのです』


 ……。

 なるほど、つまり?


『何と言いますか……そう、国で例えるのならば神は、計画を立て関係各所に指示を出す王。精霊はその指示を受けて動く人足といったところですかな? それでも精霊は、神の指示なしでも世界を維持し続けますから正確でもないような……?』


 じゃあ神って何のためにいるんですか?

 いなくてもいいのか? そうだよな?


『そういうわけで神と精霊は同じようでいて管轄違いの存在でもあります。精霊には直接的な上位存在として精霊王がおり、精霊王は精霊界に住まい霊的な世界運行の中心的役割を担っているのだそうです』


 精霊王……。

 もしや、大地の精霊たちがおかしく(?)なっているのは……?


『精霊界にいる精霊王に何かしらあったのやもしれませんな。精霊界の異変は即座に精霊たちに影響を及ぼします。もし神々がおかしなことになっても、いきなりこうはなりますまい』


 そうですね。

 それに神々は大抵いつもおかしいですからね。それでいちいち影響が出ていたらどうにもなりませんて。


『大地の精霊たちの言ってることを分析する限り穏やかならぬ状況のようですな。これを聞いて看過するのはお勧めできますまい』


 俺も先生と同意見。

 発言内容から察するに『世界が滅びる』とかそんな流れになりそうだもんよ。


 世紀末の大予言を聞いた時みたいな気分だよ。


 俺たちだって農場国も少しずつ実現へと向かっている最中。それにジュニア、ノリト、ショウタロウが大人になるのを見届けないまま、すべてが終わってたまるものですかい。


 世界の危機があるのなら、この俺が打ち砕いて見せる!

 聖者として!


『問題を解明するためにも、何とかして精霊界に繋がる必要がありますのう』


 先生が前向きな助言を下さる。


 そうだなあ現状、漠然と危機感が募っているだけだし、その根拠が……。


「あぶないですー」

「きけんが、あぶないですー」


 あの大地の精霊たちの断片的な呟きしかないのでは。


 もう少し明確かつ詳細な情報がほしいところだ。

 その結果『御情報でした』というなら全然OKなのだから。


 そうだ! 精霊王!

 先ほど話題に出たすべての精霊の元締め、精霊王さんとやらに聞けばすべてがクッキリハッキリ判明するのではあるまいか!?


 先生、精霊王さんと話してみましょう!

 いつもみたく先生が、精霊王を召喚してくれれば……!?


『それはできぬのです。精霊王は、神などと違ってそうやすやすと姿を現す存在ではありませんからな。大地の精霊同様明確な形はありませんし、そもそも世界運行の中心を担っている存在ですから、気軽に物質界に下ったりもしませんしな』


 神よりもレアキャラということか……。

 一筋縄ではいかないな。


 しかしここは何としてでも精霊王とのコンタクトをとってみよう!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
bgb65790fgjc6lgv16t64n2s96rv_elf_1d0_1xo_1lufi.jpg.580.jpg
書籍版19巻、8/25発売予定!

g7ct8cpb8s6tfpdz4r6jff2ujd4_bds_1k6_n5_1
↑コミカライズ版こちらから読めます!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 何でしょうね…社長でも精霊界に現れてブラック労働させ始めた? [一言] 逆に考えるんだ、「こっちから出向けばいいんだ」と。アラクネさんでも久しぶりに召喚して「アリアドネの糸」作戦で…
[一言] ほほいと召喚されちゃう神々って…
[一言] >クッキリハッキリ ごっくろうさん。桂三枝の声が聞こえた気が… 〇芝が家電売っちゃったし未来科学館閉鎖しちゃったし。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ