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1152 豆国の逆襲

 物産展、宴もたけなわ。


 三大国だけでなく、それ以外の小種族&独立自治領域も参加することで予想以上の大賑わいになっている。


 今回の催しは世界各国へ大きく宣伝していたそうで、遠方からも見る人がやってきて集客数も人並外れている。


 要するに一般参加もサークル参加も大盛況ってことだ。


「ううむ……!? 限定販売の『ゴッド・フィギュア』目当てでやってきたが、こちらのエルフ作の陶器もなかなか趣が……!?」

「フィギュアと並べて飾るとキマりそうな……!?」


 新しい分野にも興味が広がりつつある。


 出展者たちも同様で……。


「この『ゴッド・フィギュア』とやら! 我らドワーフ族の創作意欲を刺激するのう! こちらで一つ新商品開発を任せてくれんか!?」

「おお! それでは技術的問題でとん挫していた1/60スケール、パーフェクトスタイルハデス神を是非とも!!」


 新たなる接触が大きな刺激となって新たなるステージを開拓する。

 いい流れだ。

 これこそ交流の有意義さだろうからな。


「……我が君、そろそろ終了時間になります」


 ゴブリンたちからの報告。


 それでは出展者の皆様に撤収準備を通達。

 一般参加者の帰宅にそなえて送迎馬車の準備もしておいてくれ。


 この分だと無事終幕。

 物産展は成功と言える終わり方をしてくれそうだな。


 ……しかし、俺はわかっていなかった。

 そうやって気を抜いた瞬間こそがもっとも危険であるのだと。


「くっくっくっく……愚かなる俗物たちよ……わかっていないようね……!」


 なんだ!?

 どこから声が? 上から!?


「この世で真に優れたる品物は何か……!? もっとも優良な、世界に向けて素晴らしい品物は何か……!? そう、それは……!!」


 それは……!?


「……豆よ!!」


 レタスレートだッッ!!


 もうわかる! 目視で確認しなくてもいい!!

 ここで脈絡もなく唐突に豆を推してくる輩は、俺の知る限りレタスレート以外に存在しない!!


 ほら、やっぱりレタスレートだ。


 天空浮かぶ浮遊城みたいな巨大建造物のてっぺんに仁王立ちするレタスレートの雄姿!!


 ……。

 ……なんだアレ!?


 何事!? レタスレートは何に乗っているの!?

 そんな巨大な浮遊建造物がふよふよ空中に浮いているなんて、ファンタジー異世界だからって、簡単に受け入れられることとそうじゃないことがあるぞ!!


 今、頭上に浮いているのはどっちかといえば後者!!

 だって今まで前例がないんだもの! 俺は前例がないと受け入れることができない保守的な人間だったんだ。


「レタスレート! レタスレート!! なんだか久しぶり!!」


 そういやアイツの顔を認めた瞬間に、なんだかしばらくぶりだという感覚に襲われた。

 実際にここ最近アイツの顔見てないなあ。

 実際見てから気づいたんだが。


 いつから会ってないんだっけ?

 農場国の話が出てくる辺りから……会ってない?


「ふふふふふふふ……、私はアンタの目から離れてひそかに準備していたのよ……!」


 準備?

 何の?


「もちろん、独立国家の建国準備よ!!」


 独立国家!?

 それは……ウチの農場国のことでしょうか?


「違う! 何で私がアンタの独立建国を手伝わなきゃいけないのよ!?

「そこはいいだろー、同じ農場の仲間なんだからー」

「それはそうかもだけど! されど結局優先すべきはヒトのことより自分のことなのよ! 人間誰よりも自分のことが一番大事!! 他人を何とかするのはまず自分のことをしっかりしてから! そうじゃないかしら!?」


 うぐぬ……!?

 たしかにそれは、反論したくとも反論できない……!


 俺自身も、人並に他人を思いやれる分別はあるあるつもりだが、それでもファーストは自分であるというごく真っ当な感覚の持ち主だ。


「つまり、私が立ち上げようという新独立国家は、私による私自身の国家! そもそもよ、これまでまったく世の中にかかわってこなかったアンタが建国するっていうのに何で、由緒正しい王族の私が許されないのよ!? おかしいでしょう!」


 それは……たしかにレタスレートは元お姫様だけど、滅ぼされた王朝のお姫様でしょう?

 もうキミに権力らしい権力は残ってないんだからそこは素直に一般人になっておこうよ?


「いいえ納得いかないわ! 私は私に許された権利を行使してやるわ! よって我が新国の設立よ!!」


 レタスレートめ……!

 農場に住んですっかり更生したと思ったのに、この土壇場でこんな問題を起こすとは!!


 新国設立という言葉が、彼女の中でくすぶっていた何かを呼び起こしてしまったか!?


「き……キミの主張はともかくとして、そのキミが乗ってるモノは何だ?」

「えー? なにー? 聞こえないー!?」

「テメエが乗り込んでる、甦った古代文明みたいな巨大なる飛行物体は何かって聞いてるんだよ!!」


 思い出したみたいに距離開いてますアピールするんじゃねえ!!


 実際俺のいる地上と、彼女のいる浮遊物体の頂上とでは、それこそビルの最上階から会話しているような感さえある。


「あー、ごめんごめん、急に風向きが変わるもんだから……。ご質問にお答えしますと……これは私は国家建設のために用意した最終決戦戦略兵器よ!!」


 最終決戦戦略兵器!?


「私の夢と野望を実体化させた究極の戦力……これ自体が動く国土として世界中を駆け巡り……強大な攻撃能力で逆らうものを駆逐する! その名も……豆・スターよ!!」


 豆・スター!?


 そういえば、これまで浮遊物体の大まかな外観説明をしていなかったけど、その形状は、まるで天体であるかのような円球!


 いや、やや楕円がかった形は天体ではなく豆! 大豆!


 超巨大な豆が、レタスレートを乗せて浮遊しているってこと!?


「しかし、こんなものどうやって拵えたんだ!? 畑で育てる普通の豆とはわけがちがうぞ!?」


 俺が異世界ファンタジーにつきものの現代知識無双やチート能力で生み出してきたいかなるものよりも巨大で、オーバーテクノロジー。

 ま、負けた……!?


 こんなもの、それこそ古代文明の何かしらを復活させた末に莫大な費用かけなくては建造することも維持することもできますまい!


「これもレタスレートの執念と気力の産物です」


 そう言いながら自らの翼で舞い降りてきたのは天使ホルコスフォン!?

 やはりコイツはレタスレートの側に着いたのか!?


「レタスレートのあまりにも強大な豆に対する愛が形となって物質化し、このような形で顕現したのです。豆・スターの大きさはそのままレタスレートの豆への大きさ……ということです」


 具現化系ってこと!?


 こんな天空の豆みたいな浮遊要塞がまさかの建造費ゼロ円! 能力者の気力精神力の見によって生み出されたという驚愕!?

 精神は肉体を凌駕するってこういうことなのか!?


「今ここに物産展で、世界各国の首脳が集まっているわ……。私にとってはちょうどいいということよ。さあ、認めてもらいましょう! この私が治める新国家の設立を!!」


 何ということだ!?


 レタスレート、こんな強硬手段に出るなんて!

 あのような空中巨大要塞を駆って、世界中の国王たちが集まる場に乗り込んで威圧的に要求!

 まるで悪役のような振る舞いじゃないか!


 つまりこれが悪役令嬢ということ!?


 そんなにしてまでキミは復活させたいというのか、かつて王族が支配していた旧体制の人間国を!?


「人間国の復活? 何言ってるの?」

「誰がそんなことを望みました」


 あれ?

 ちゃうの?


「そんな昔のことをほじくり返してどうなるというの? 知らないの? どうやったって過去は戻らないのよ?」

「それに現状の人間国は新体制でしっかり統治されていますゆえ、今更トップが交代したところで効率的ではないでしょう。我々は我々の、新しいフロンティアを開拓するのです」


 共に宣言するレタスレートとホルコスフォン。


 その新しい国とは。


「……豆国よ!」

「豆国です」

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書籍版19巻、8/25発売予定!

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↑コミカライズ版こちらから読めます!
― 新着の感想 ―
[気になる点] レタスレートのセリフ、「独立」が「独陸」になってますよ。
[良い点] デーンデーンデーンデンデデーンデンデデーン、デー↑ンデーンデーンデン↑デデーンデンデデーン(空耳 つまり次話からホルコスフォンは日本の甲冑モチーフとされる黒い衣装と黒マント着て、鉄仮面被っ…
[一言] 豆・スター……馬鹿な!? 建設するのに85京ドルかかるというアレが完成していたのか!
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