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1134 内閣発足

 さて、ワッフルで甘いひと時を過ごした俺は早速、農業国作りを進めていくことにするぜ。


 とはいえ、まだまだ基礎固めの段階だが。


 目の前に広がるのはすべてがまっさらで、何から始めていいのかわからないぐらいだ。

 ホントに何から始めよう?


 とりあえず決めてみたのは役職だ。


 国の礎は人。

 人がどのような役割をもって、どのように働くかで国の形は決まってくる。


 人は城、人は石垣、人は堀内○雄ともいう。


 今までは単なる農場だったので緩かったけども、それでもこれからはしっかりとしていかなければならない。


「というわけで、これから皆さんに役職を付けていこうと思います」


 農場メンバーを集めて、用件を伝える。


「農場国を築き上げていくのに、皆さんは主要な国家の中枢となっていきます。肩書きがあった方がのちのちやりやすかろうと思い、今日の決定となりました」


 それを聞き、見慣れた顔のメンバーたちはやはり戸惑いを抑えきれぬようだ。


「肩書きかー、あんまりなれないけど。お国になるんなら仕方ないかな?」

「どうせならカッコいい名前がいいよな! 八大竜王とか!」

「九州! 十刃! 個別の十一人!」


 いやあんまり戸惑ってなさそう。

 むしろ期待たっぷり。この前向きさが農場メンバーのいいところだな。


 では俺もかまわず話を進めていくとしよう。


「それぞれの役職は勝手ながらこちらで決めさせてもらった」


 まず農場の中核を担う人たちに高い役職と大きな権限を与え、その下で働く人々の意思を集約して、効率的に動けるようにする。

 担当がハッキリすることで物事の動きも可視化できるし、真っ先にやっとくべきこととしては間違いではないはず。


「まずは、恥ずかしながら不肖この俺が農場国の代表として皆を引っ張っていくことにします。よろしくお願いします」


 ここはまあ、確認だがな。


 パチパチパチパチ……と鳴りやまぬ拍手。


「王様ってことですね!」

「頑張れ国王!」


 王様言うな!

 いまだに照れ臭いんだよ、そんな呼ばれ方!


 ……くっそ、ウチでもなんか王様以外の国家元首の呼び名を考えておくかな?

 代表とか、議長とか、首相とか……。

 エドワードさんに倣って『親方』と呼ばせてもいいかもしれない。


 それはまあ一旦置いておいて……。


「次に我がパートナーであるプラティは宰相職に就いてもらうことにした」

「「「おおー」」」


 農場メンバーたちからの関心の声が上がった。


 ある意味納得の人選であろうと思う。


 宰相と言えば国王の補佐役。

 一番近いところで国王を支え、時に王に代わって国政を賄うことすらある。

 人臣の頂点に立つ者のことだ。


 プラティならば俺の妻として、これまでずっと農場経営に携わってきたし、魔女であ人魚国王女でもあった彼女の見識は充分すぎるほどに立証済み。


 改めて俺の妻という立場から、俺を隣で支えるのにもっとも的確だということもわかるはずだ。


 プラティ、紹介を受けて高笑いした。


「ほーほほほほほッ! 旦那様の妻にして宰相ってことはつまり、王妃兼宰相ってことでもあるのよ! 二足の草鞋に少しは忙しなくなりそうだけど、まあ実力も知性もあるアタシだからこそ務めるってことね!!」


 驕るプラティ久しからず。


 しかし元々魔女として膨大な知識と溢れる実力を持ち合わせ、さらに人魚国王女として生まれて、貴種のプライドや振舞いも充分備えている。


 国家運営の補佐役として、彼女ほど相応しい人材はおるまい。


「でもまあ、不安がまったくないわけでもないんよな……」


 何今のプラティは三児の母。

 ジュニア、ノリト、ショウタロウと息子三人を育てるのに毎日が戦場。


 そう考えれば現状プラティは二足の草鞋どころか、妻として宰相として母として、三足の草鞋を履くことになってしまう。


 さすがにキャパがオーバードライヴしてしまうんじゃないのか?

 と心配していたが……。


 プラティに言わせればそれぐらいなんでもないとのこと。


 ――『ジュニアもノリトも手がかからないし、パヌたちも育児の手伝いをしてくれるしねー。むしろバリバリ働くことで、その背中を子どもたちに見せて成長を促すとするわ!』


 とのこと。

 そうするのって父親の方だと思うんだけど……? と思った。


 ともかくもプラティならばルキフ・フォカレさんやゾス・サイラにも負けない名宰相となってくれるに違いない。


 というわけで次に行ってみよう。


「オークボ」

「はッ」


 まず呼んだのはオークのオークボ。

 農場初期から一緒に頑張ってきた同志だ。


 オークである彼は巨大な体に超パワー。

 それでいて冷静な判断をすることもできる頼れる男だ。


「キミを建設大臣に任命する」

「御意」


 オークたちは建設が好きで、農場にある様々な建物が彼らの作品だ。

 繰り返すごとにノウハウも蓄積し、今では彼らの建てる家屋は色んな意味で他とは比べ物にならなくなっている。


 それらの建築技術は、農場国作りでもいかんなく発揮されるだろう。


「さらにゴブ吉」

「はい」


 次に呼び出されたのはゴブリンのゴブ吉。


 農場にいるゴブリンたちのリーダーで、オークボとオークたち同様に最古参組の一人だ。


 ゴブリンは小柄で手先も器用であるから、畑仕事を始めとして様々なことを手伝ってくれるオールラウンダーだ。

 その器用さに頼って『何かあったらとりあえずゴブリンたちにお願いしとけ』となったことも一度や二度ではない。


 そんなゴブリンたちだからこそ……。


「ゴブ吉には官房長官になってもらいたい」

「かんぼうちょうかん? 略して、かんちょう?」


 その略し方はやめろ。

 役職名は、主に俺のパッションで決められているからまとまりがなくても問題ないとは思う。


 ただ前の世界でも官房長官は各省庁のつなぎ役が仕事だったから、何でもこなせるゴブ吉たちほど、この肩書きに相応しい者はおるまい。


「さらにオーク、ゴブリンたちは何かあった際に人々を守る武力としても活動してほしいと思っている。これから益々よろしく頼む」

「「御意!!」」


 ふむ、これまでもオークボやゴブ吉らには頼りっぱなしだったが、これからは益々頼ることになりそうだなあ。


 それでは次。

 エルフのエルロンは陶芸大臣として……。


「我が君」


 はい?

 おや、オークボとゴブ吉がまだその場に残っておる?

 何やら神妙な顔つきで……はて? 一体何事であろうか?


「我が君……この場を借りてお聞きいただきたいことがあります」

「はい、聞くよ」

「我々はずっと考えてきました、それぞれ妻を迎えてから。モンスターである自分が人らしい幸せを得てもいいものかと。そのたび我が君に叱咤され、幸福であることに後ろ向きであってはならないと、みずからを奮い立たせたものです」


 そっすか……。


 たしかにコイツら、そういう内容で悩み葛藤していたことがあったなあ。

 主にバッカスのところの居酒屋で。


 オークボもゴブ吉も真面目すぎるきらいがあるから、哲学的な悩みに陥りやすいよな。

 主に結婚した時と子どもができた時か……。


 俺も一緒に頑張ってきた仲間に助言の一つもしてやんべと当時はカッコつけたこともあったが、それがまだ尾を引いていたと?


「そこれ我々は思ったのです。人としての幸せを掴むのなら、それにふさわしい立派なニンゲンになろうと」

「妻のため子のため我が君のため。モンスターだからと嘲られたり文句を付けられたりせぬように」

「非の打ちどころのない立派なニンゲンになろうと!!」


 はいはい、落ち着いて落ち着いて?


 真面目な子たちは、思い詰めると突っ走るものだな。

 それが暴走でなければいいが……と戦々恐々していたが……。


「そのために我々は……勉強してきました!!」


 ……はい?

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― 新着の感想 ―
[一言] 人間とは何かについて学び続けることで良い人間になろうとしているゾウ(催眠術で自分を人間だと思い込んでいる)の話みたいなものかな?
[一言] 建設大臣って、日本だと今は国土交通相って役職に名前が変わってんだよね。 建設の延長ってことで、道路整備もオークボに任せよう!
[一言] 〉王様以外の国家元首の呼び名 皇帝
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