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プロローグ・『人生のゴールライン』

挿絵(By みてみん)

 ――人生のゴールライン。


 その言葉を聞いたのは、もうずいぶんと前、たしか道徳か何かの授業でだったと思う。

 細かな部分は頭から抜け落ちてしまって覚えてないけど、「長い人生、山あり谷ありだけど遙か先のゴール目指して一生懸命がんばりましょう」とか、そんな感じに人の一生をマラソンに例えた励ましの類だったはずだ。

 はじめ、この言葉を聞いたときはあまりピンとこなかった。

 だって、人の一生が42・195kmのフルマラソンだとして、遙か先にあるゴールラインを小中学生のガキンチョがはっきりとイメージできるかい? 

 できやしないだろう。例え話にしたって、いくらなんでも先の長すぎる話だ。

 それは、少々時が進んだって同じだった。まだまだ、縁のない話だと思っていたんだ。

 だけど、俺は最近になって、『人生のゴールライン』というこの言葉の意味について真剣に考えてみたくなった。あるきっかけが原因でね。

 話の中じゃあマラソンを例に出してたけど、もしかしたら、いや、もしかしなくても、フルマラソンではなくスプリントレースみたいな一生を送るやつだっているんじゃないか、って。

 そういうやつは、いったい何を思って、どんなペースで、視線の先に見えてしまっているゴールラインを目指すのだろう。

 まさか、マラソンと同じペースでちんたら走ったりはしないはずだ。中にはそういうやつもいるのかもしれないが、俺だったらごめんだ。

 マラソンだろうとスプリントレースだろうと、ゴールラインが何メートル先にあろうと、そこを目指して全力で走り出さなくちゃいけない。

 そりゃあ、走る距離もペースも違うんだから、目に写る風景や体で受け止める風の肌触りだって違ってくるだろう。

 それでも、本質はまったく変わらないはずなんだ。ゴールラインを走り抜けるまでに、いかにベストを尽くせるか。大事なのは、きっとそれだけ。


 だから、俺は走り出そう。俺にとってのゴールラインまでの距離――1/4マイルの彼方を目指して。

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