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講評コメント―林理沙

 始終彼女の言葉はまるで就職活動の面接のようで、彼女自身の本心がよく伝わってこなかったことが残念だった。そのため、二つの質問を終えたのち、追加質問をいくつか行った。きっと、面接対策にいろいろな本を読んできたのだろう。他者を見習うことは良いことだが、見習おうとして流されていることに気が付かないのは思考力不足の露呈に他ならない。そもそもこの面接は準備する類のものではないので事前準備は逆効果であると思う。そのことは事前に知らせてあるはずであるが、私の意図がうまく伝わっていなかったようである。以下では彼女の話の内容についての講評を行う。

 前半では、多少冗長で結論までが長い話であったが、彼女の言った社会貢献よりも自己実現、Quality of lifeという言葉は後の目的からある程度納得できる話だった。社会貢献という言葉を最上のものとして安易に使わなかったことに好感が持てる。社会貢献が人生の目的であるとは私も思わない。いろいろ挑戦し、夢を叶えた先に、他者への貢献、つまり社会貢献があると私は考えている。まずは自己の確立とQuality of lifeの向上を目的としている、という彼女の話は納得できる。

 一方、後半でその言葉を翻すように「社会全体のため」と言ったのはよくない。この結論のせいで、結局私は彼女が何を大切にしているのか、彼女の思考の軸が分からなくなってしまった。また、状況に流されて結論を導いているのでは? という懐疑心を最終的に私に抱かせてしまった。そのあとの前半部分を補足するような質問でも補足されることはなかった。表面的な主張に終始した。とってつけたような主張からは彼女の本心を見つけることはできなかった。

 その他、無意識だと思われるが話の中で数回、議論が彼女の話の都合のいいようにすり替えられていた。加えて、客観的事実と個人的な考えを分けずに法案反対の根拠を述べていたため、彼女の思い込みの強さと視野の狭さが目立った。一つの話題を話しているはずなのに主語がずれていくため、最終的な結論が最初の結論から湾曲して導き出されていた。聞いたことのあるような言葉をつなぎ合わせたように、前後のつながりが怪しい論理展開をしていた。最初に述べた感想を抱いた最大の理由はここにある。

 結論として、最終的な判断を下すにあたって、彼女が最も重きを置く考えを私が把握することはできなかった。


 よって、上記の理由をもって、彼女への奨学金の付与を見送ることとする。

以上


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