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第3章

「ライトニング!」

バチバチと静電気のような物体ができ、地に落ちる。

セヴェルと別れた2人は魔法の練習をしていた。

「エアスラッシュ!」

今度はつむじ風ができ、風に舞った。

「ルシェットさん、少し休憩しましょう」

「……うん……」

「ルシェットさん、これ美味しいですよ」

そう言ってエリュニスが取り出したのは薄紫色をした果実

だった。

皮を剥くと少し気泡のようなものが見える濃い紫色の実が出てきた。

「……いただきます……」

そう言って齧り付くと甘酸っぱい味が口の中に広がる。

「……これはメルカの実と言ってマナ回復にもなるんですよ」

「……へぇ……」

そう言ってまた齧り付く。ルシェットは果物の味を堪能し

ていた。

エリュニスは魔法で何を教えるか悩んでいた。

「一通りの魔法は教えたし……」

「どうしたの? エリュニス」

「えっ……いや、次に何を教えようかと思いました。……あ

っいや、ありました。ストーンです」

「ストーン? 土の魔法かな?」

「そうですよ」

そう言うとエリュニスは詠唱を開始した。

「……ストーン!」

唱え終わるとエリュニスの目の前に土が盛り上がり人の高さ

くらいまで盛り上がった。

ルシェットも真似て詠唱する。

「……ストーン……」

またルシェットの前に土が盛り上がってきた。高さは人の高さ

より長く、盛り上がった。

「上手いですね」

「……そう……かな」

「ええ」

「そろそろ戻りましょうか」

「……うん」

そうして2人は元の……貸し住宅へと戻った。

「……これだけあればしばらくは依頼しなくても大丈夫そうで

すね」

「……うん」

「しばらくはのんびり過ごしましょう」

「そうだね」

その日はエリュニスとゆっくりと過ごした。


次の日。2人はショッピングをしにきていた。

「これと、レーズンと干し肉と……」

「はいよ」

「ルシェットさん、次の店に行きますよ」

「待って……」

慌ててエリュニスの後を追う。が、ローブの裾を踏んづけてしまい

派手に転ぶ。

「おっと……」

「……あ……」

派手に転ぶはずがエリュニスに抱きとめられていた。ルシェットの頬が

羞恥で赤く染まる。

「……ありがとう……」

「いえいえ。それより怪我しなかったですか?」

「大丈夫……」

そこで初めてここが大通りということに2人は気づいた。嫉妬と羨望の

目に晒されて2人は足早に次の店に向かう。

次に来た場所は薬品や魔法道具等を扱う店だった。

「薬草と、ポーションと、包帯と消毒薬をください」

「はいはい。あー、そのだな、すまなかったな」

店主はエリュニスを紹介した人物だった。ルシェットにとっては調合品

を売って生計を立てていたので印象深い人でもある。

「いえ、大丈夫……」

「そうか、エリュニスとはうまくやってるか?」

「それも平気……」

「次の店に行きますよ」

次の店は洋服屋だった。靴下や下着の替えなどを買い込む。

「はぁ……」

「どうかしたんですか」

「だから何でもないわよ……。ちょっと綿花の値段が高くなっちゃって」

「そうなんですか」

「採ってくる? エリュニス」

「ほんと!? 助かるわ」

「じゃあ、明日採りにいってきますね」


翌日2人は店主の書いた地図を見ながら綿花のある場所を目指していた。

「……あった。綿花あったよ」

「この場所は、綿花少しだけならありましたね。早速採取しましょう」

そうして2人は綿花を採取することにした。カゴの中が少しだけ綿花で

満たされるともう周囲には綿花は残っていなかった。

「帰りましょうか」

「……うん、きゃ……」

「どうかしましたか?」

「……エアスラッシュ!」

「……ウォーン……」

「ウルフが噛み付いた後ですね。傷口を見ましょう」

エリュニスはルシェットのローブの裾を少しだけめくると消毒薬を傷口

に塗りつけた。

「ヒール。……これで大丈夫ですね」

どうやらここはウルフがいた場所らしい。それで近づけなかったのかと

2人は思った。

次のウルフがこないうちに2人は帰った。

「おかえり。綿花あった?」

「ありましたよ。少しだけですが」

「それでもいいの。これで何作ろうかしら」

上機嫌の店主を尻目に2人は次の場所へと向かった。


次に向かった先は武器屋だった。

「おお、エリュニスじゃねぇか」

「こんにちは。何か面白いものありますか?」

「それなら、これなんてどうだ?」

主人が取り出したのはダーツだった。

「これはな、先端に毒が塗ってあるんだ」

「そのダーツ、俺が買おう」

「……セヴェル」

「セヴェル君じゃないですか」

「よう、適合者……おっと、失礼した。ルシェット」

そこで初めて自分がセヴェルと同じ『適合者』の立場にいる事をルシェット

は理解した。幼き頃に言われた事を思い出す。

「お前も俺と同じか……」

「その言葉、私が幼い頃に言われたんだ」

「ルシェットさん、セヴェル君と同じなんですね」

「……言うな……お前に何がわかる、エリュニス!」

「……分かりますよ。適合者を支える立場として」

「……おいおい、喧嘩は商品を買ってからやってくれよ」

「ほらよ。……表にでろ、エリュニス!」

「駄目、喧嘩やめて」

「……ルシェット」

「ルシェットさん……」

「喧嘩しちゃ駄目……」

「……チッ。やる気が失せた」

そう言うとセヴェルは帰って行った。

「…………はぁ、なんとか助かりました」

「エリュニス……、本当に良かった」

「ルシェットさんは優しいですね」

「そうかな?」

「そうですよ」


その後2人は貸し住宅へと戻った。

しばらくの間、のんびりと過ごすことにした。

疲れが溜まっていたのか、ルシェットは寝ている時間が多かった。

その間にエリュニスは書き物を黙々と進めていた。

夜中にエリュニスは寝ているルシェットを尻目に起きだして、ある場所へと向

かっていた。

そこは大きめな屋敷だった。

「よう、エリュニス。順調か?」

エリュニスと同じ銀髪の青年が出迎えた。

「ええ、うまくやっていますよ」

そう言うとエリュニスは書き物をしていた紙を取り出し青年に手渡した。

「それでは僕は帰りますね」

「ああ、お疲れさん」

エリュニスは貸し住宅へと戻り、眠りについた。

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